2009年10月7日(水)


八ケ岳ロイヤルホテル。ここでも朝食はバイキングにした。従業員の人達は、フロントにしろ売店にしろ、とても優しくて友好的だった。勝手な言い分かも知れないが、文句を言うとしたら、小さな子どもの食事代も取る所だ。パンを2切れか3切れ食べただけで900円は高い。そこら辺を考えてくれたら高得点を上げられるのに。

窓の外は雨だった。

何処の国かは分からないが、外国人男性と何度かバイキングの同じ場所に立った。小さな鮭の1切れを皿に取り、次に鯖を取った。私も続いて同じ事をした。鮭は兎も角、鯖には目がない。2切れ皿に置いた。同じ食をすると、国は関係なくなくなるのだろうか。仕草を見ていると、外国人には見えなかった。


台風18号が迫っている。出来るだけ出発を早める事にした。

出掛けに、またあの外国人と出会った。写真を撮っている所を珍しそうに眺めてから、駐車広場へと降りて行った。木で作られた素朴な馬達が玄関の外に並べられている。孫が、大きいのと小さいのをくっ付けて、「これはママ、これはりょーちゃん」と言って、ママと二人でしゃがんで被写体になっていた。


少し大粒の雨。


紅葉を見る場合ではなく、先を急いだ。

それでも、霧の中で美しく佇む木立を発見した。すぐさま車を降りて、見入った。紅葉でなくても靄の中の緑がこんなに映えるとは。これは携帯に収めた。今、ディズニーランドのミッキーから交代して、待ち受け画面になっている。木の葉の緑がなかったら、正に水墨画の世界である。


旅とは面白いもので、時々素晴らしい偶然に出会う。「平山郁夫シルクロード美術館」の目の前に来ていた。行こうとも何とも・・。ここにそんな美術館がある事さえ知らなかった。

〒408-0031 山梨県北杜市長坂町小荒間2000-6
TEL(0551)32-0225

是非観たかった。入館料は一人1200円だ。みな入館料が高いと思ったのか関心が今一なかったのか、私だけが観る事になった。後で聞いた事だが、それぞれやる事があって、全然退屈しなかったと笑っていた。ならば良かった。


雨は少し激しくなっている。


7月5日から12月13日まで、新館開館1周年記念として「ガンダーラ ー仏像のふるさとー」を開催していた。仏陀、弥勒菩薩、鬼子母神などが平山コレクションで観られるのだ。時間を掛けたかったが、待たせていると思うと、心は引き摺られながらも足は速くなる。

私が佇んだ弥勒菩薩の説明だけを書き写して置こう。


2・3世紀。62.0×36.5cm。灰色片岩。

髪の一部を頭頂に結び、残りをおろす束髪垂髪にしたバラモン形の菩薩。水瓶を持つ左手を欠損するが、弥勒菩薩であろう。釈迦の次にこの世に出現し、仏陀になると信じられた菩薩である。頭頂に束ねた髪の結び方は、ギリシアのアポロン神像やアフロディーテ女神像によくみられる、ギリシアの若者の髪型クロービュスである。

こんなに魅力的な石像が2・3世紀に作られていたとは驚きである。


二階に上がると常設で平山郁夫の真骨頂、シリーズ制作「大シルクロード」が展示してある。

東大寺大仏殿 2007 72.7×53.0。
ブルーの池に緑の木、金色の月が眩い。

トムミュクの遺跡 2007 65.2×90.9。
修学院離宮浴龍池 2004 80.3×116.7。

等があり、印象としては、茶色系統の色が巧みに使われていると思った。


シルクロードの絵は圧巻で、1面に4つ、対面した反対側に4つと言う構成になっている。向かって左が夜の4つ。右が日の4つだ。それぞれ対面している絵は、人数とラクダの数が一致している。例えば「シルクロード行くキャラバン(東・太陽)」「シルクロード行くキャラバン(西・月)」と言う具合で、それぞれ人7人なら乗っているラクダも7頭である。月は輝きを増し、美しい金色をしている。


平山郁夫「祈りの行進・聖地ルルド・フランス」は、2008年の再興第93回院展出品作である。6曲1隻 紙本彩色 約5.4mの傑作。「静かな行進は、人間の苦しみと救いの歩みである」。

群衆は灯りを持っている。灯りは、深い青色の服を着た人々の手に、黄土色に輝いている。空も暗く青く、星が輝いている。一人左寄りの少女の服が赤いのと、横にコリーだろうか犬がいるのが極めて印象的だった。

1200円の値打ち十分である。結構鑑賞している人達もいるものだ。 


先ほどより激しくなった雨。


勢い良く車に乗り込んだ。

後は一路神戸を目指すだけである。暗い自動車道を、スリップしないように走らせる。

どこだったかサービスエリアに大きな袋の「むき甘栗」(小袋70g6袋入り)があった。早速買った。栗は旨い。剥いてあるから食べ易いが、すぐになくなるのが欠点だ。

中国河北省産の栗が使用されている。1000円だった。輸入者は丸成商事株式会社 東京都練馬区豊玉北1-5-3。


夜9時過ぎには神戸に着いた。


台風18号はその後神戸にも突進し、真夜中は暴風が吹き荒れた。だが、朝になるとその猛威は他の地に移っていた。

5日間の結婚祝いの旅は、静かに幕を閉じていた。