朝9時30分からだと思っていた。久し振りに見に行く小学校の運動会だった。

8時半までのバスに乗れば、楽に着く計算だった。

JR兵庫駅に着くとすぐ単線の和田岬線に乗り換えようと急いだ。切符を差し込んでそちらのホームに入ろうとしたら全部の改札に進入禁止のマークが出た。あれっと思う間もなく、明かりが消えた。朝は8時46分でお仕舞いだ。朝夕通勤時間帯だけの運行なのである。携帯電話は9時3分を指していた。切符は、20円の損失だ。まっ、ええか?


兵庫駅の南の道を、真っ直ぐ南方向に歩く事にした。その途中で、9時から始まる事を思い出した。遅れてどうと言う事はないが、はじめの式から見る方が清々しいと思うだけの事だった。

歩いたメリットもある。何と「清盛塚」があった。神戸空襲戦没者慰霊碑のある「薬仙寺」もあった。七福神の寿老人が祀ってある。今度来たら、中に入ってみようと思った。それに、心配になって道を尋ねると「運河に沿って歩き、そこからまた700メートル程歩きます」と言うような返事が返って来る。ここは小樽じゃない、神戸だ。けれど、小樽運河をも凌ぐ程の兵庫運河があるのだ。その言葉の響きがいい。そう何処にでもあるものではないのだ。「運河」。久しく聞かなかった言葉が聞かれた。

和田岬小学校に着いた時には、9時30分を回っていた。10年近く前には、この小学校の全児童数は330人位だった。今は250人に減っている。道理で児童が少ないように思えた訳だ。

「ころがせ☆どんどん」は1・2年生の大玉転がしだ。4人で1つの大玉を転がす。真ん中を押しながら走っている子が2人、ばたっと倒れた。そんな事が何組かあって、いけない事だが笑いそうになった。玉の速さにおっつけなくなるからだ。可愛いけれど、危険と紙一重である。

紅白対抗リレーは、5年生がすむと6年生。体の小さい子が物凄く速く、離れている前の2人を抜かしたり、1位で来てバトンを渡したのにバトンパスを失敗し、落としたりゾーンを越えたりしてビリになったり失格になったりした。これも何が起こるか分からず面白い。必死な子ども達には悪いが、対抗リレーと言うのは見ている方は楽しいのである。

「たまいれおうえんだん!」。これは1・2年生の玉入れで、違う学年が応援団と称して踊り、それが済むや否やもう一方の学年が玉入れをすると言う形を採っている。どんどん貯まるカゴの玉は、赤はヒガンバナに見え、白はクチナシの花に見えた。渡哲也に見えた訳ではない・・。どんどんカゴに入って行くように見えるが、一人一人の子どもを見ると球を集めてはまとめて放っていたり、カゴの下の方にに投げていたり、カゴに入れる気がないのか遠くに投げたりしていて、実に面白いものだ。白鳥が悠々と泳いでいるようだが、水の中では必死? にあしを動かしているさまにも似て、見上げるカゴ周辺では、この悠々と進んでいる白鳥のように、カゴの上で綺麗に玉が飛び交っているように見えていた。

5・6年による組体操で午前は終わるが、三重のタワーはいつ見ても凄いと思う。はらはらするけれど、拍手は俄然大きい。


これで午後の部を見るのは止めにして、近くにお昼を食べに行った。満員のようだったが、辛うじて座る事が出来た。昔何度か来ていたが、私としては気儘で不定期である。ママが驚いたように、「あらっ」と言った。

8人位でいっぱいになる。東郷青児じゃなくてそれに似たような絵をよく見かけるが、あの美女を絵から出したようなママだ。たまに行っても喜んでくれるので、また行こうと言う気になる。何の店か言っていない? 自分だけ分かっていてどうするのか?

店の名前は「艶楼(えんろ)」と言い、餃子を食べさせてくれる店だ。地下鉄の和田岬駅から公園を挟んで見えていて、お米屋さんの隣にある。もうかれこれ10年は続いていると思うのだが、最初の頃は餃子ばかりだった。焼餃子に水餃子。美味いかって? そりゃあ、基本的には美味いから行くっしょ? 

その餃子たるや、王将の餃子とは種類が違うのである。大阪辺りではよく見かけると言うのだが、私は始めてだった。パリパリに焼いたものなのだ。不思議にまた食べたいと思えて来る餃子だ。一人前で何個付いてたかなあ。ちゃんと数えていなかったので、近々もう一度行って数えて来るとしよう。それに焼き豚が加わり、段々唐揚げやマーボー豆腐なども加わり、お酒のあてとしても十分なラインナップとなった。

昼は定食で2人前付いているほうが安いけれど、私は焼き餃子2人前と唐揚げと、何とした事かビールを注文した。

「朝日だったかキリンだったか?」
そう言うママに答えた。
「キリンでもゾウさんでもいいよ」

久し振りで美味い。予定さえなかったら少しの時間入り浸っていようかと思う位だが、何故かこの「艶楼」に来ると、遠慮してか余り長居をしない。不思議と何かある時に来る。

ちょっと太ったと言っていたが、私に言わせればまだまだ痩せた部類に針は触れている。運動不足で駅などの階段をよく踏み外しそうになると言っていた。15分で出来るダイエット体操があっると言ったら、目を輝かせていた。「えっ? 15分で?」。


この店を紹介しておこう。

「艶楼(えんろ)」
神戸市兵庫区笠松通7-2-14
TEL(078)671-8089

月最後の日曜日を除いて休みなし。平日は11時から22時まで。土日や祝日は、20時で終わる。午後2時から5時までは休憩している場合もあるが、原則、通しでやっていると思う。


話は変わるが、この地下鉄海岸線は、三宮の花時計前まで続いている。これとは関係なく、ここから東に中央卸市場がある。その中に寿司屋があって「まるも」と言う。長い間行っていないが電話番号はずっと記憶している。食べ出したら話す者もなく、「ああ」とか「旨い」とかの声と、溜息が洩れる声? しか聞こえない店と言うので行ってみたのが、20年以上前の事になろうか。値段は確実に覚えていないし今は値上げになっているかも知れないが、3,000円ちょっとだったと思う。これを先ず食べる事を勧める。小さいのが8貫付いている「特上鮨」だ。時間は電話で確かめてから、予約して行って欲しい。カウンターが8人位、テーブルが10人位。中々空いていないのだ。TEL(078)671-3555。


「艶楼」で餃子、次「まるも」!



コンサートの事を書きたかったが、これ以上は長過ぎて無理だ。餃子を食べたのは9月26日の事である。日にちを書いて置かないと、読む者も書く者もこんがらがってしまう。


「艶楼」では、名残惜しいので後マーボー豆腐と紹興酒をロックで頼んでチビリとやった。昼間から飲むなんて事は滅多になかったし、そんなもんは夜飲むものだと固く信じていた私だった。まっ、たまにはいいか。

店を出ると、何だか前と横に肉が余計にくっ付いていそうで、子を孕んだ二十日鼠のように足取りが重くなったようだった。気が緩まないように常に意識して置かねば。腹はすでに弛んでいると言うのに・・。これも人生の悲哀なのか。