JR垂水駅から各駅停車で西明石まで。次の電車に乗り、加古川駅まで、また各駅停車。新快速に乗って姫路駅に着いた。全部に座る事が出来た。

姫路城の方ではなく、反対の南側に出て西方向に歩く。インターネットで調べると1.5km、タクシーで5分とあった。歩いても知れていると思った。すぐ着くような錯覚を起こしていたのか、なかなか姫路市文化センターが見えない。

人が歩くのは、1時間に4kmだと、学校で習って来た。今計算してみると、その条件では22分30秒かかる事になる。成るほど遠く感じた筈だ。


1階の「ふ列28番」に座った。1階1350席、2階300席、立ち見300人と言う大ホールだ。前から28列目で、最後尾は32列である。それでもS席で7,000円なのだ。自分で出したら高いが、チケットは貰ったものだから安いもんだ。

小太鼓の音がし、クラリネットがメロディーを奏で、お次はトランペット。何とボレロの最後の触りが演奏され、幕が開いた。何でここで、私のオカリナの曲を? と思った。何で演歌で、クラシックなのだ。意外性を狙ったものとしか考えられないのだった。

坂本冬美が振袖で現れ、歌う。正直言ってコンサートは一度も行った事はないし、そんなに意識した歌手でもなかった。じゃあ、誰が意識できる歌手かと聞かれると、分からない。

冬美「皆さん、どこからいらっしゃいました?」
冬美「ああ、神戸!」
冬美「えっ、四国? まだ行ってませんね」
お客「去年、来た」
冬美「あっ、そうだったかな?」笑い
お客「笹山」
冬美「あの、丹波笹山? よう下りて来てくれました」笑い
冬美「姫路の人はいません? ああ、あなた。道理で垢抜けしてると思った」笑い

歌は余り知らないし、プログラムもない。だから曲名は殆ど覚えていない。振袖の前に、葛飾北斎の有名な波が描かれている。草履を履いてちょこちょこっと小走りに走ったりするので、転んだらどうしようと心配してしまった。23年間歌っている百戦錬磨に、そんな心配等いらなかった。

冬美「4列目から双眼鏡で・・。油断ならんなあ。だから思いっきり塗りたくって来ました」笑い

音響もバックもいい。キーボード、ヴァイオリン、ベース、エレキギター、コントラバス、ドラム、クラリネット、サキソフォン、トランペット、トロンボーン、打楽器。いい音出してる。坂本冬美はマイクを右手で握って歌う。私は、もう声がよく出なくて、カラオケボックスなど一向に面白くなく、行く気もしない。無理に行かされると、いくら言われても歌わない。もう、あの日の声が出ない。

かつては、スナックを昼から開けて貰って、練習しまくった。かなり自身はあった。垂水の漁港のもっと西に停泊させてある船の中のスナックに、或る飲み屋のママ(どう言っていいか分からないし、呼びにくい)が、私をそこに連れて行った。いい線行くと思うから、と言う事だった。

けれど、残念ながら3位までの入賞とはならなかった。私は、審査員から、うまいと褒めて貰った。けれど、1位2位3位の人は、皆何か指摘をされていたにも拘わらず、賞を取った。私は、後にも先にもこの店? は1度しか行った事がないが、この人達は常連だとの事だった。だからか、と思うのも嫌なものだけれど・・。審査員は、大久保怜だった。私は、千昌夫の「君がすべてさ」を歌った。

また、長くなってしまった。結局、マイクをどっちの手に握るか、と言うところから逸れた。私は、五木ひろしと同じ左手で握る。ここだけ同じだ。よく歌った歌手の名は、五木ひろし、千昌夫、橋幸夫、谷村新司、堀内孝雄、三橋美智也などである。

もう、声に張りがなく、異常事態になった今、これだけ歌い続けた演歌や歌謡曲から決別しなければならなかった。これはほんとに泣くに泣けない。

坂本冬美は、こんなに話が上手く楽しい人だったのか。声が一時危ぶまれた事もあったが、完全に取り戻し、張りのある気持ちのいい程通る声が、私を惹き付けた。そうだ、坂本冬美のファンになろう。42才、頑張ってくれ。

着物、ドレス、粋な衣装と、5回換えて楽しませてくれた。途中から男の司会者が現れた。

司会「では、プレゼントを受け付けます」

全部で30人位だったか。

司会「あ、現金ですね。これが一番嬉しい」
司会「商品券ですね。全国共通」
冬美「同じお菓子が続いています」
冬美「もう、8人位同じ物」
冬美「はい、次」笑い
司会「全部貰ったら、歌に行きます」笑い

「アジアの海賊」は新鮮な感じの歌だった。

冬美「今9月。じきに12月。12月31日」笑い

紅白歌合戦で、この曲を歌う積もりだろう。もう一度聴いてみたい歌となった。

実に安心して聴ける。いい歌を歌う。最後の歌は、ドライアイスが両端からゆっくり流れ出て、足元に深い霧となった。「火の国の女」。赤い照明に、きらきらと紙ふぶきが舞台一面に舞う。イナバウアーのように、最後の振袖を纏いながら、体を後ろに反らして熱唱する。こんなに素晴らしい演出やパフォーマンスをするのか。とうとう大枚をはたいてCDを買ってしまった。

今このブログを、このCDの3回目を聴きながら書いている。


坂本冬美 全曲集

紀ノ川
ふたり咲き
冬美のソーラン節
風鈴
蛍の提灯
羅生門
雪国~駒子その愛~
能登はいらんかいね
祝い酒
おんな南部坂
女房気質
夜桜お七
あんちくしょう
火の国の女
風に立つ
あばれ太鼓~無法一代入り~


肥後は火の国よ 恋の国
燃える中岳よ 胸こがす
一つしかないこの命
くれというならくれてやる
熱か 熱か こころもからだも 熱か
惚れた女を抱きたけりゃ
火傷かくごで
抱かんとね 抱かんとね

肥後は湯の里よ 滾る国
菊池 地獄谷 血がさわぐ
たとえ地の底 針の山
来いというならついてゆく
熱か 熱か 情念も涙も 熱か
恋は一生ただひとり
それでよかなら
抱かんとね 抱かんとね

熱か 熱か 枕も吐息も 熱か
うちはひとりじゃ よう寝れん
月にかくれて
逢いに来い 逢いに来い

熱か 熱か こころもからだも 熱か
闇を流れる火の河で
うちはあんたの
夢をみる 夢をみる  

        「火の国の女」 作詞:たかたかし 作曲:猪俣公章 編曲:京 建輔


あの8つも貰ったと言うのは、姫路にしかない銘菓「玉椿」だっただろう。
(姫路名産 玉椿 伊勢屋本店 駅店 TEL 079-221-3525


ブログを書いているこの部屋で、何度も途切れる事なく、私一人に歌ってくれている。坂本冬美の歌を聴きながら、私の歌おうとする欲求は潰えて行く。けれど、このCDを聴けば聴く程、また聴きたい欲望に駆られる。歌いたいなどとは、更々思わない。

明日は、迷惑にならない程に、大音量にして聴きたいと思う。

 ♪さくら さくら 弥生の空に  
さくら さくら はな吹雪♪