阪急六甲駅に着くと、改札口を出て左側の階段を下りる。あの狭い所にバスターミナルがあり、タクシー乗り場がある。そこを左に曲がるとすぐLive House Maiden Voyage(メイデン・ヴォエッジ)がある。

余りにも近すぎて、分からない。電話をすると、電話口に出た女の人が、子機で喋りながら、すぐ私の目の前にいて驚いた。迎えに来てくれたのだが、角を曲がってさえいればなんなく辿り着いたのにと思うと、機転の利かなかった自分に唖然とする。灯台下暗し、お先真っ暗? だ。

午後6時半開場、7時開演。エレキバンドと言えばいいのか、横浜の妹からの紹介と依頼と半ば強制がなかったら行ってはいなかった。「ソネ」でずっと昔ジャズを聴いたことはあるけれど、エレキなど別の世界だと思っていたし、きっかけがなかったら、一生無縁で終わっていただろう。


2009年8月27日(木)のことだ。27日のブログが書けなかったのは、9時半過ぎにライブが終わり、演奏者と話したり一緒に写真を撮ったりしていたからだし、帰りに居酒屋で生ビールを飲み唐揚げを食べていたからだ。運悪く? すぐ側に居酒屋があるなんて。

それからJRに乗り駅に着いたが、もうバスはない(最終10時42分)。歩いて帰ろうと決心し1時間はかかる道を歩き出した。車ではよく通る道なので、逆に歩けば家に着くのである。けれどだ。車道の横に歩道がない。その横の隔離されたような歩道紛いの道を歩いて行ったら、住宅地に紛れ込んだ。そうなると迷路である。どうせその日に帰れても、ブログをその日に書き上げることは不可能だ。と言っても、このままやたら歩いていても、袋小路だ。

誰もいないひっそりとした街灯だけが頼りの道を、犬を連れた女の人が歩いていた。脱出の道を聞こうと思ったが、変なおじさんと思われても仕方がないので、それだけは止めた。すれ違うだけで、こちらも怖かったが、向こうも怖かっただろうと思う。

ライブの話の前置きが、こんなに長くなってしまった。ブログがその日に書けなかった弁解の積もりか? 

ここは何とか脱出して、再び駅に戻った。娘に、迎えに来てくれるよう携帯を鳴らした。まあ、携帯だけは便利で助かる。お守りみたいなもんだ。

PCに向かったのは28日の午前0時23分。でも、すぐに睡魔が・・。兎に角、寝た。


敬称略で話をしよう。今? 朝の8時25分だよ~。

「TRI-Offensive 1st アルバム発売記念ツアー」。今年6月24日だったかにプロデビューした3人のグループ。菰口雄矢(ギター)、岡田治郎(ベース)、小森啓資(ドラム)である。菰口雄矢は西宮出身の21才。後は分からないけど、ベース、ドラムと10才ずつ上がっているように見えた。

50cm四方くらいのテーブルが10卓。椅子は4脚ずつで40脚。つまり40人規模のライブハウスと言うことになる。入場料は当日4,300円、予約3,800円。私は予約していた。ワンドリンク500円払って、学生以来のジンロックを注文した。ビールはすぐなくなる。そして、立つ回数が増える。これだと、ちびちびやれば持ち堪えると考えたのだ。列に並んでいた時の頭の回転は尋常ではなかった。生ビール、芋焼酎、カシスソーダ、ジントニックがぐるぐる巡り、「ご注文は?」で即座に「ジンロック」。周りにはジンロックなど見当たらない。しかし、これは正解だった。「ライブはジンロック」。標語が出来た。

7時過ぎに会場の明かりが暗くなり、オンステ-ジ。がんがん鳴るギター、ベース、ドラム。耳は次第に大きな音に慣れて行った。ステージ上のカラーの照明が、時々入れ替わる。パターンはそんなにない。レッドとオレンジが点灯したかと思うとすぐにブルーとグリーンのライトが。そしてレッド、オレンジ、イイエローの照明が・・。単純だけれど、結構場を盛り上げる。

曲は殆ど激しいものだが、動物も植物も人間も、皆が口を開けて喋っているような感じ。大音響なのに音はクリアーで、普通に話しているようにも聞こえる。酔い痴れるではなく、酔う世界。菰口雄矢は、「ゆとり世代」と言って笑っていた。勉強してないって。私なんか、ゆとり世代でなくても勉強はしていない。

騒音、吐露、陶酔・・。そんな独特な世界。このバンドには、当たり前の世界。入り込めるんだろうなあ。このエレキの音に魔力が潜んでいるかも知れない。初期の音に、哀愁さえ伴って惹かれそうになった時もあったのだから。

真夏の燃えた太陽はシンバルの音となってギラギラに降り注ぐ。猛烈な炸裂。どうかなるんじゃないかと思う人もいると思う。どうなってもいいと思う人だっているだろう。好む好まざるに関わらず、それだけ強烈な音の世界だ。しかし、エンドレスと言うことはない。限界もあり形式も備わっている。ちょっと自由な形式ではあると思うけど。

2曲、3曲、3曲、2曲。そしてアンコール1曲。その間にMCが入る。小森啓資の語りに2人が口を挟むといったような。彼は喋り慣れていると思った。

去年の2月、アマチュア時代にこのライブハウスに来たことがあったそうだ。その時はお客さんがちらほら。殆ど身内だったそうだ。けれど、今日は立っている人もいる。かなり嬉しかったのだろう、力が入っていた。

このグループは、業界からも注目されていて、今後もっと大きくなると思われる。技術がしっかりしているし、指の動かし方が、ギターもベースも半端ではない。超絶技巧も凄い。私はバラードがいいけれども、それは自分の年と関係していることなので、割愛事項に入れておこう。

妹の息子が音大でベースを専攻していて、菰口君とも一緒にやったことがあると言っていた。そんな関係で、妹が是非にと奨めた訳だ。天才ギタリストで売り出しただけのことはある。オカリナしか吹けない私でもそう思った。また、ベースがこんなに鮮やかに聞こえるもんかと、初めて思った。ソロで圧倒された。ドラムも然り。それぞれがソロを受け持つ部分があって、鮮烈で楽しい。2時間半くらいあっと言う間に過ぎる。面白いと思ったのは、お客が、曲が終わっても盛大に拍手はするが、後誰もいないかのようにシーンとなることである。日本人の聴く姿勢なのだろうか。

この演奏のなかにオカリナが入ったらどうかと考えてみた。変化があって面白いかも、と思った。このバンドはJ-POPのようだが、ジャズみたいに入り込んで、私は勝手にオカリナを鳴らしたりしていた。全く吹き方も変わるけれど。

終わった後、菰口君が出て来て、私の側でタバコを吸っていた。
「横浜のもりりん知ってますか」
驚いたように私を見た。
「私は兄です」
「ああ、そうですか。以前西宮にも住んでおられたそうですね」
「ええ、そうみたいです。写真いいですか」
「構いませんよ」
私を迎えに来てくれた女の人に、私の携帯で写して貰った。妹への写メの証拠にもなると思ったからだ。

どんな会場でも、満席になることは素晴らしいことだと思う。これも横浜の妹が誘ってくれたことだが、アリア・ミハルやケンシュウを知らない人も、その非凡な音楽家兄妹のお母さんが企画したライブで、オカリナを40分ほど吹かないかと言う話が来た。ピアノの弾き語りの女性と盲目の男性のギターでの弾き語り。そして私のオカリナ。

絶好の機会だと思い、演奏することにした。東京は杉並区西荻南。西荻窪駅からすぐの「奇聞屋(きぶんや)」と言うライブハウスである。2008年9月20日(土)のことだった。ここは30名くらいで一杯になる、狭目なライブハウスだ。

この盲目の歌手は、
「いつもは4~5人しか来ていません。今日は満員で、こんなこと初めてです」
と喜んでいた。東京在住の、小学校時代の友達が自分を含めて7人集めてくれていた。それと、私の妹達とその息子達が5人来てくれていたので、人数的にも一杯になったと思う。その友達は、何人でも集めると言ったが、収容人数の関係で、そこまででとお願いした。友達って、ほんとに有り難いものだ。

現民主党代表の鳩山由紀夫氏と、どこかで一緒に写真に写っていた素晴らしい声の持ち主アリア・ミハルさんとも話せたし、写真も一緒に撮った。満員の理由を書いただけだったけれど、話しの触手がここまで伸びてしまうとは。


オカリナとは全く違う新しい音楽を聴かせて貰った。それもこれも何かの繋がりからである。そう言うつながりを有り難く思うし、それが巡り会いだと思っている。ブログは遅れたけど、行って良かったなと、静かな部屋で、思っている。時折犬が吠えているが、クマゼミは流石に声を潜めた。