往きも帰りも車で1時間ほど掛かる。福祉施設へボランティアで行って来て、さっき家に帰ったのが5時10分だった。

3時から4時まで、ぎりぎりオカリナの演奏をしてきた。たった一人である。デイサービスで来ている利用者の皆さんとスタッフで20人ほどだったと思う(しっかり数えていなかった)。

家は2時半に出発していたので、到着してから少しの間車の中にいた。

3時前だったが、もう演奏してもいいと言うことだった。

「休まなくてもいいですか?」
施設長がそう聞いた。

「ああ、いいですよ」
私はそう答えた。

10曲の予定だと言ったが、そんなに聴いて貰えるのだろうか。完璧に演奏出来る訳はないし、完璧に近い演奏さえ出来る自信もない。でも、やらねば先へ進まない。

プログラムと言う程のものではないが、演奏した10曲を書いておこう。私の小学校時代1~3年まで担任をして下さった尊敬してやまなかった恩師が、
「記録することは大事だ。記録しか残らない」
と言っておられたことを思い出したので。

 1.ソウル(オリジナル)
 2.ボレロ
 3.千の風になって
 4.故郷の山や海(オリジナル)
 5.浜辺の歌
 6.白鳥
 7.崖の上のポニョ 
 8.早春賦
 9.万華鏡(オリジナル)
10.母さんの歌

間で何曲か口ずさんで貰って・・。まあしかし、家で練習しているようには出来ないものだ。実際には自分の実力の7割できたら成功と言えるだろう。難しい難しい。況して久し振りのことだったから。

でも、アンコールの所望があった。もう利用者の皆さんは帰る時間なのに・・。考えたが、青葉の笛にした。最後が思い切り吹けるので。

白鳥(サンサーンス)の後、聴く人も喉が渇くだろうし、短いお茶を飲む時間が採られた。余りオカリナは聴かれたことがないのか、在るおばあちゃんが「最高!」と言って下さった。そりゃあ嬉しいもんですね。

青葉の笛が終わると違うおばあちゃんが前に出てきて、「また来てね」と言って下さった。思わず握手をした。どちらのおばあちゃんも、本当の気持ちを表して下さったと思う。愛想で言っている顔ではなかったし、そんな暇なんてない筈だ。

施設長さん(女性)が、
「みんな凄くいい顔をしていましたよ」
と言って下さったのもお世辞とは思えなかった。その顔が輝いていたのを私も確かに見ていたからだ。

アンコールの前に、歌を歌いたい人がいるので伴奏をして貰えないか? とのことだったので、男の人が歌うのに合わせた。「ふるさと」を歌いたいと言って。いい声だった。アンコール曲が終わってから私の側に車椅子で来て、
「オカリナは初めてで吹いた事はないなあ。縦笛や篠笛は吹いた事がある」
と嬉々として言われた。上手かったんだろうなと思った。

車に分乗して送って行く時間で慌しい。私も早々に引き揚げた。

往きも雨、帰りも雨。だけれど、ぽつっぽつっと当たるほどの雨で、大したことはない。小糠雨でもない。小糠雨と書いただけで詩になるが、日記には真実を書いて置こう。後々思い出して、その度に嫌な気分になっても困る。

兎に角、喜んで貰えて良かった。そう、信じたい。