小学校低学年の夏休みのこと


宿題の中に、家のお手伝いをしましょうというものがあり、何をしたらいいか母に聞いてみた



すると母は間髪入れず、『床の雑巾がけにして』と言う


しかも、『夜、夕食が終わってからやって』とのこと




やり方を聞くと、階段→玄関→ダイニング→キッチンの順に雑巾がけをするのだが、床のゴミを残さず集めながら拭いてきなさいと…



我が家は5人家族、夜ともなると1日分のゴミがかなり溜まっている



夏休みで家にいる時間が多いから余計だ



ゴミの中でも特に多かったのが 〝髪の毛〟



雑巾で拭き始めると、かなりの量の髪の毛がホコリと一緒に絡まりながら集まるので



『うわっ気持ち悪いー』



と思わず顔をしかめた


あっという間にゴミだらけになる雑巾を見ると、違うお手伝いが良かったなぁと一気に気が滅入ってきた


学校の掃除の時間みたいに、ほうきでゴミを集めてから雑巾がけをした方がいいのにと思ったけど


それを言うと余計な口答えをしているようで、母の機嫌が悪くなりそうだから言わないでおいた


集められた大量の髪の毛は、時々雑巾を持つ右手に触れる

その度に『うわっ…!』と思わず声が出た


夕食後のリビングからは、家族がくつろぎながらテレビを見ている気配がする

キッチンでは母が鼻歌まじりで洗い物をしている


一方私は、ずっと、気持ち悪い髪の毛と格闘していた


すると母がやってきて、『ほら、ここにもゴミがあるでしょ』と部屋の隅を指差した

まだこれから拭こうとしてた所なのに…
追い討ちをかけてくる母に対して心の中でつぶやいた


さらにダイニング、キッチンの方へ来ると、食べ物の食べこぼしのゴミや、醤油や油のシミのようなものまであり、全部吹き終わるまでとんでもなく長く感じた

多分…
その時からだと思う

床に落ちている髪の毛に過剰反応してしまうようになったのは…


温泉や銭湯の脱衣所、プールの更衣室、自宅の浴室や排水溝など、ちょっとでも髪の毛が見えるとゾッとしてしまう


母もきっと、自分ではやりたくなかったから私に雑巾がけをさせたんだろうと、子どもながらに思ったのだった






私の元気の素