居心地と安全性を備えた住まい -3ページ目
私たち建築家は「近代」という枠組みのなかにどっぷりと浸って建築を考えてきました。

自然から囲い取られた領域のなかで抽象的な図式を設定し、そのなかでパズルを解くように建築を組み上げてきたのです。

いったん囲い取った領域を外してしまったらお手上げです。

そのような囲いがいかに脆弱なものであったかを思い知らされたのが3.11の大震災だったのです。

これまでの私の建築への関心は、この囲いをいかにして取り去って建築をつくることが可能かという問題にありました。

それは生きた自然のなかに建築を解放することであり、自然のなかに建築が溶け込むことです。

かつての伝統的な民家を想い起こせば、その実現は容易なように思われるかもしれません。

しかしその実現を阻んでいるのは私たちの暮らしている社会なのです。

私たちは東京のような都市のなかですべて近代のシステムによってコントロールされています。

東京にいるとほとんど無意識に過ごしていますが、被災地に行くと全く違った社会に遭遇します。

震災後、被災地に大量に設営された仮設住宅こそ、三陸に突如持ち込まれた近代ではないでしょうか。

東京に無数に存在するワンルーム、あるいは2DKのマンション、それを平屋で並列したのが仮設住宅です。

あれほど個人の分化を可視化したものはないでしょう。