茶殼の枕もよい。
日本人にとって三度の食事はもちろん、ときに一服いただくお茶の葉を捨てないで根気よく金ざるなどにためておき、カラカラに干して枕に入れる。
ソバ殻とまぜるのもよい。
よい香りがして気持よく休める。
コーヒー豆の出がらしを同様にするのもよいそうだ。
コーヒーマニアは試してみるといいだろう。
現在、ソバ殻と並ぶのがパンヤの枕である。
パンヤとはどんなものか知らない人が多いが、これはカポックの木の種子を包む綿毛状の繊維である。
カポックをマライ語でパニア(またはパニアラ)といい、これがポルトガル語でパンハとかわり、さらに日本語化してパンヤとなったといわれる。
こう記せばお察しがつくように、これは江戸中期に南蛮貿易によって日本に伝わってきたもの。
カポックの木はパンヤ科の15メートルにも生育する落葉高木で、東南アジアの熱帯地方に自生し、栽培もされている。
この果実は長さ12センチ・直径5センチほどの楕円状で、中に150個ほどの種子が繊維に包まれて入り、この繊維が絹糸状の光沢をもつ軽くて弾力性に富むパンヤである。
これは弱いので紡績用には向かないが、布団や枕やクッションの詰物として利用され、印肉の基材や救命用具の詰物にもされる。
熱帯の木であるからさし木が簡単で、3年ほどで収穫があり、10年もすれば一本の木から600個もの実がとれ、一個の実から約5グラムの繊維がとれる。
類似の木はインドワタノキなどあり、品質は劣るがインドカポックとよばれ、真のカポックをジャワカポックと市場では区別されている。
パンヤ『大和本草』では斑枝花は木なり、木綿とは別物なり、ぱんやは蛮語なりとある。
一般には木綿といわれたらしい。
『日本永代蔵』にも、「はんやの括り枕に身がこそばく」とあり、歌舞伎や浄瑠璃のセリフにも、くたくたに疲れきった様子を「パンヤのごとし」といっているからかなり普及していたと思われる。
パンヤは弾力があり軽くて柔らかく日光に干すとよくふくらみ、打直しが不要という独特の性質があるが、保温性が高いのが欠点である。
江戸時代の箱枕の小枕にはパンヤの他に真綿や、繭のいちばん外側を原料とした絹綿やもめん綿も用い、最近はポリエステル綿も使われているが、これらは保温と保湿力にすぐれるので枕には不向きである。