深海の怪物 城浩史の瀬戸内海魔城 | 城浩史の瀬戸内海魔城

城浩史の瀬戸内海魔城

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深海の怪物

深海の城での調査が進む中、太刀川時夫たちが探査艇で探索していた場所で、予期しない恐怖が襲いかかった。突然、深海の底から不気味な振動が伝わり、潜水艇が大きく揺れる。最初は海流の影響だと考えたが、すぐにそれが単なる自然現象ではないことに気づく。

ソナーが捉えたのは、巨大な影。海底から何かが迫ってきている。最初はその正体が不明だったが、次第にその形が明らかになった。それは、想像を絶するほどの巨大な生物――深海の怪物だった。

その姿は、まるで神話に登場する海獣のようだ。頭部は巨大で、目は赤く光り、鋭い牙が並んでいた。背中には硬い鱗のようなものが生え、全身を覆うように突起が走っている。巨大な触手が海中を揺らしながら動き、周囲の水流を一変させた。どこかの未知の空間から来たような、その姿は人間の想像を超えていた。

太刀川はソナー画面をじっと見つめ、心の中で警告を鳴らす。あれは、自然の生物ではない。何か異常な力が働いている。

「これは……」
太刀川の口から言葉が漏れる。彼は深海の生物の中でも、これほどの存在を見たことがなかった。しかもその怪物が、海底の城と関係があることに気づき始める。

突然、怪物は潜水艇に向かって突進を始めた。鋭い触手が一瞬で艇の外殻に触れ、激しい音を立てて揺れが走る。太刀川たちは必死で操縦を試みるが、怪物はその勢いを増し、さらに攻撃してきた。強力な電磁波が艇の機器に影響を与え、通信が途切れる。

「逃げろ! 今すぐ!」
技術者の杉山が叫んだ。太刀川はハンドルを握りしめ、必死に操縦を続けるが、怪物の攻撃は激しさを増していく。

その怪物の正体は、海底の城に眠る何らかの防衛機構であり、恐らく古代の文明が作り出した存在だろう。時間をかけて封印されたその怪物は、目覚めた時、人々に未知の恐怖をもたらす力を持っていた。

太刀川は、ただ逃げることしかできなかった。だが、その間に一つ確信を得た。怪物を目覚めさせたのは、あの未解の装置に違いない。装置の機能が怪物を呼び覚ましたのだ。そして、その怪物の存在が、深海の城に隠された真実と密接に関連している。

「このままでは終わらない……」
太刀川は、今後の調査と対策を急ぐ必要があると感じていた。あの怪物が再び海底に潜むことを許してはならない。