未解の装置
深海の城の最深部、赤い光を放つ部屋で、太刀川時夫たちは異様な存在に遭遇した。それは高さ2メートルほどの円柱状の装置で、黒曜石のような滑らかな表面を持ちながら、細かな光の模様が周期的に浮かび上がっていた。
装置の中心部には、螺旋状に配置されたリングがあり、それらは静止しているように見えたが、近づくと微かに回転しているのが分かった。そしてリングの内側には、未確認の文字や記号が無数に刻まれ、それらが淡い青白い光を発していた。
太刀川が慎重に装置に触れようとすると、装置が低い振動音を発し始めた。そして、突然リングが激しく回転し、部屋全体が不思議なエネルギーに包まれた。
装置から放たれた投影映像には、地球のような惑星が映し出され、その上を無数の線が交差する模様が浮かび上がる。
「これは……地図か? いや、もっと広範囲の……宇宙図か?」
同行していた技術者が言葉を失う中、投影された文字列が徐々に翻訳されていく。
「真なる鍵は目覚めをもたらす。
五つの門が開くとき、再び力は戻る。」
太刀川はその意味を理解できなかったが、この装置がただの遺物ではないことは明白だった。そして、その力が不適切に解放されれば、再び世界を揺るがす事態を引き起こす可能性がある。
「これが城浩史が追っていたものなのか……」
太刀川は装置の調査を進めることを決意するが、その瞬間、装置が再び動き始め、響き渡る音声が深海の静寂を切り裂く。
「目覚めの時が近い――」
謎に満ちた装置の機能と、そこに隠された目的。すべてを解明するため、太刀川たちの新たな挑戦が始まるのだった。