昨日、東京赤羽のモーツァルト・サロンにおいて、「根津理恵子ピアノリサイタル」が行われました。
根津理恵子さんは、モーツァルト・サロンのコンサートでは、ピアノトリオやデュオリサイタルなど過去に何度もご出演されていますが、ソロリサイタルは今回が初めてでした。
また、今回のプログラムの中に、私がどうしても生の演奏で聴いてみたい特別な曲もありましたので、前回お会いした3月よりとても楽しみにしておりました。
さて、今回のプログラムですが、
ハイドン:ピアノ・ソナタ Hob.XVI-46
シマノフスカ:ノクターン
ショパン:ノクターン 遺作
パデレフスキ:ミセラネアOp.16より
ノクターン
主題と変奏
~休憩~
ショパン:4つのマズルカ Op.24
シューマン:謝肉祭 Op.9
今回のプログラムは、シマノフスカ、ショパン、パデレフスキというポーランドの3人の作曲家と、その近隣のオーストリア、ドイツの作曲家の曲で構成されています。
根津さんは以前、ポーランドに留学されたご経験があり、そのご経験から「曲が表現する風景やにおい、イメージが明確になった」そうですが、今回のプログラムではポーランドの作曲家の生年順に並べたことから、そのポーランドの風景の変遷とその時代時代の香りまで感じることができました。
19世紀のヨーロッパで最初の偉大な職業的ピアニストの一人であったシマノフスカ。
その曲調はショパンに多大に影響を与えたようです。
そしてパデレフスキは、優れたピアニスト、作曲家でありながら、1919年にはポーランド共和国の首相になり、晩年にはショパン全集の編集に携わるなど、シマノフスカ - ショパン - パデレフスキという、ポーランドの音楽の歴史の繋がりが理解できました。
また、ショパンの「4つのマズルカ」において、有名なポーランドの民族舞踊の一つであるマズルカから、根津さんの類まれな音楽性により、様々な舞台の風景や人々の日々の営みや顔の表情なども感じることができました。
根津さんのお話しでは、ポーランドと日本は1919年に国交を樹立したそうです。
1919年といえば、パデレフスキが首相になった年で、以来ポーランドには親日家が多いそうです。
「来年はちょうど国交樹立100年になり、ポーランドの作曲家の曲を聴く機会が増えるかもしれません」とお話しになっていましたが、ちなみに私個人の「行ってみたい国ランキング」の第1位はポーランドなので、私にとってはとても嬉しいお話しでした。
そして、この日記の冒頭に書いた私にとって特別な曲は、ショパンの「ノクターン 遺作」。
この曲は、2001年に公開された映画「戦場のピアニスト」で使用されて有名になったそうですが、残念ながら私は映画を観ておりません。
初めて聴いたのは、2010年にCDでチェロとピアノの演奏でしたが、初めて聴いたはずがなぜか懐かしささえ感じました。
その後、根津さんのホームページでこの曲を聴いたところ、震えが起こるほどの衝撃を受けました。
一音一音に魂を込め、表情豊に演奏する根津さんは、「凄い!」
それ以来、YouTubeで何度も根津さんの演奏を聴いていました。
昨年3月に母が亡くなった際、根津さんの演奏するこの曲が私を救ってくれました。
甘く切ないだけでなく、暗闇の中の彼方にほのかな明かりが見えるようなこの曲は、最大限の癒しとともに、暗闇を抜け出すための道標になってくれました。
そして昨日、根津さんの演奏は、ご自身の様々なご経験から、「温かさと優しさ」がさらに加わり、円熟味を感じるほどの演奏に目頭が熱くなりました。最近の大失敗の後、何かと忙しい日々が続き、イラついた毎日を過ごしていた私でしたが、根津さんのこの演奏のおかげでイラつきも霧消しました。
そして、最後の曲の「謝肉祭」。
この曲はシューマンの代表作の一つで、「謝肉祭」で行われる仮面劇や舞踏会などの華やかな情景が描かれています。
それぞれに表題がつけられた20曲で構成される大作で、様々な人物が登場しますが、その登場人物を抒情的な美しいメロディでいかに的確に演奏するかが問われます。
今回の根津さんの演奏は、見事なほどの集中力、そして類まれな技術力、表現力を最大限に発揮し、それぞれの登場人物を実に生き生きと表現していました。
一般社団法人 国際育英文化協会 代表理事 伊藤様のご挨拶の中に、「根津さんの、真珠のように上品な輝きの音色で奏でる細かな音符とそれをネックレスにしたように繋いでいくフレーズに、いつもうっとりしてしまいます。」とありますが、これこそまさに根津さんの魅力を表わす絶妙な表現といえるでしょう。
まさに「天性の才能」。
本当に素晴らしいと思います。
終演後、根津理恵子さんとお話しさせていただきました。
ピアニストの根津理恵子さん
短い髪型に変わって驚きましたが、とってもお似合いです。
そして、素晴らしい演奏を聴かせていただき、ありがとうございました。
ショパンのノクターンは、最高の思い出になりました。
また、8月の2台ピアノのコンサートにお邪魔させていただきますので、今後もよろしくおねがいいたします。
