たまに、ある。
孤独、と、言っていいのかわからないけれど、
何かくすんだビロードみたいな青いひたひたした液状の何か、が
部屋の向こう側から、こっちに少しずつやってくることが。
わたしは、ひたひたから一番遠い位置に
逃げてみるんだけれども、
それはゆっくりちゃんと部屋をのみこんでいく、
どうやら逃げ場はないようだ。
ひたひたに少しでも触れないように、
つま先だちして部屋をわたって、
外にでてみても、
つま先にくっついたひたひたの青は
まるで最初からそこにいたかのように
わたしのつま先で、鮮やかな紫色のあざをつくる。
この、ひたひたは、
みんな経験するものなんだろうか。
部屋の向こうの玄関の方から
挨拶もなしに急にやってきて、
わたしの中を青でいっぱいにして、いく、ひた、ひた。
実家の誰かと電話でつながってみたって、
人ごみにまぎれてみたって
友達と話したって
終わることないひたひたの波は、
自身なんだろう。
わたし、自身なんだろう。
死ぬまでついてくるんだろう。
ごまかされたりしながらも、ずっとついてくるんだろう。
嫌いじゃないよ、ひたひたと一緒の部屋にいるのは。
嫌いじゃないよ、ひたひたのこと。
嫌いじゃないよ、わたしのこと。