生まれるときから人見知りでした。


だからきっとね、そう、 どうしても外に出たくなかったんだな。


外に出たら面倒くさいことがいっぱい待ってるし、

わたしひとりの世界はそこで終わるし、

責任だ不安だ家賃だローンだ学歴社会だ高齢化社会だってなんだか薄暗い毎日だし、

とりあえずわたしは面倒くさいことが一番嫌いだし。



だから

この世への道がひらいたとき、

わたしは必死でお母さんの中に残ろうとしたのです。



あまりにしつこく粘りすぎたせいで、


わたしは、

うわさの吸引機で頭からぐいんとひっぱりだされてしまいました。



ちっちゃい頃の皮膚やら骨やらってひどくやわらかいよね。

ていうか、やわらかいってレベルじゃないよね。なんかもう形状とか保つ能力がないよね。




吸引機でひっぱりだされたわたしの頭は、自然の摂理に逆らうことなく、

頭頂部を頂上に、ひどく縦長にのびたそうです。

それはもう東京タワーのピンクのマスコットキャラクターのように。

お医者さんがあわてて頭の形を整えようとするほど、ひどかったみたいです。



日がたてば自然に戻るはずの頭も、日が経っても戻る気配を見せず、

娘の将来が心配になったお父さんは、毎日毎日わたしの頭を整えようと、頭のてっぺんを

必死でたたいてくれたらしいです。


愛を感じるよ、ありがとう、パパ。



お父さんの必死のアプローチのおかげか、

成長するにつれて、わたしの頭は縦長ではなくなったのですが、

自然に逆らった何かのゆがみがでたのか、後頭部部分が槍のようにでっぱってしまいました。

まさに絶壁。

しかも、頭デカイまんま。

デカ絶壁。


小学校の頃から、そのことが気になって気になってしょうがなかったわたしですが、

家族の前では、頭のことなどみじんも気にしたこともない明るい自分を演じていました。

一生懸命わたしの頭の形を整えてくれたお父さんの前で、


頭についての泣き言が言えるだろうか。


いや、言えない。

言えるわけがない。




その日の夕食時も、頭の形のことはどこかにひっかかっていました。


NHKでやっていた生命の進化を辿る番組を横目に見ながら

お父さんが言いました。


「もしかして、なつみは、新人類なのかもしれないなぁ」


最初は言ってる意味がわからなかったのですが、彼の論旨をまとめてみるとどうやら



「人間はきっとまだまだ進化する


 それは頭脳だけじゃなくて形にもあらわれるはずだ


 進化はいつか目に見える変化となってあらわれる


 なつみの頭の形はおかしい


 それは進化した人間の形なのかもしれない」


ということでした。



あんたがたたいたからだよ!


とは、言いませんでしたが、新人類と称されたことで

生きていく希望が持てました。

きっと ホンコンもジャイアント馬場もガッツ石松もピーコもおすぎもみんな新人類なんだねっ☆



2007年の今、日本人の体型は欧米化して

小顔、足長、8頭身ですね。


むしろわたしの体は猿人あたりにもどっている気がしてならない今日このごろです。


でも、あのときはパパの意味不明な発言にほんとに救われたよ。




ありがとう、新人類。

さようなら、8頭身。