ボウリングがうまくできなくて不機嫌になった息子。
そのあとクレーンゲームも取れず、さらにイライラ。
そして、
「もう一人で歩いて帰る」
と言い出した。
今回の出来事があって、
「次からボウリングなんて行かなければいい」
「クレーンゲームもやらせないほうがいい」
と考えれば、親である私は楽になるのかもしれない。
でも、私はそれをしたくないと思った。
なぜなら、
「うまくできないからやらない」
「失敗するのが嫌だから挑戦しない」
にはなってほしくないから。
ボウリングが嫌いでも「行く」と言ったのは息子だった
息子は、ボウリングがあまり得意ではない。
本人も、何度かやってみた上で
「ボウリング好きじゃない」と言っている。
でも今回、「行く」と決めたのも息子だった。
だったら、行ってみて、
やっぱりうまくできなくて、
「やっぱり好きじゃない!」
となってもいい。
クレーンゲームだって同じ。
「やりたい」と思ってやった。
でも取れなかった。
悔しかった。
そこまで全部、息子の経験だと思う。
今回のようなことがあると、
親の私のほうが、
「また荒れたら嫌だから」と先回りしたくなる。
でも、それを繰り返したら、
失敗する経験まで奪ってしまう。
怒ることと、何をしてもいいことは違う
だから私は、
息子が怒ることそのものを止めたいわけではない。
ボウリングがうまくできなくて腹が立つ。
クレーンゲームが取れなくて悔しい。
「もう嫌だ」と思う。
それは息子の感情だから、怒っていい。
でも、機械を叩いたり蹴ったりする。
物に当たる。
土地勘のない場所から、一人で歩いて帰ろうとする。
これは別。
感情は自由だけれど、行動には境界線がある。
だから次に同じことが起きたら、
「怒ってるのは分かった。でも機械は蹴らない」
「一人になりたいのは分かった。でもここから一人で歩いて帰るのはダメ」
そこだけは親として止める。
息子が納得してくれなくてもいい。
安全に関することは、
嫌われても、怒られても、NOでいい。
「一人になりたい」ときの方法を一緒に考えておく
今回、
「一人で歩いて帰る」と言った息子。
あれは、「家に帰りたい」というより、
「一人になって気持ちを落ち着かせたい」だったのだと思う。
だったら、
一人になりたいという気持ちまで否定する必要はない。
問題は、どうやって一人になるか。
春や秋なら、車で一人で待たせることもできる。
でも真夏は熱中症の心配があって難しい。
だから、平常時に息子と、
「出先で一人になりたくなったとき、どうする?」
を考えておく。
安全な場所で少し離れる。
「10分話しかけないで」と伝える。
冷房の効いた場所で一人になる。
車で待てる季節なら車で待つ。
感情が爆発してから考えるのではなく、
自分が限界になったときの逃げ道を、本人自身が持っておく。
中学生なら、
「自分はどういうときにイライラするのか」
「どうすれば戻りやすいのか」という、
自分の取扱説明書を少しずつ作っていく時期なのかもしれない。
すぐ立ち直れなくてもいい
娘は癇癪を起こしても、立ち直るのが早い。
息子は、とても時間がかかる。
以前なら、「いつまで怒ってるの?」と
思っていたかもしれない。
でも、娘と同じ速さで立ち直る必要はない。
息子には息子の回復のペースがある。
大切なのは、
すぐに立ち直ることではなく、自分で戻ってこられること。
今回も結局、
不機嫌なままご飯屋さんに入った息子は、
食事をして、
時間が経って、
「かき氷食べる」
と言い出した。
かき氷を注文し終わるころには、いつもの息子に戻っていた。
私が機嫌を直したわけではない。
息子が自分で戻ってきた。
失敗しないことより、失敗したあとに戻れること
苦手なことでも、
「やってみたい」と思ったらやればいい。
失敗してもいい。
悔しくてもいい。
怒ってもいい。
「やっぱり嫌いだった」でもいい。
でも、そのとき、
物を壊さない。
危険な行動をしない。
そして、
「俺は今めちゃくちゃイライラしてる」
「少し一人になりたい」
と自分の状態に気づいて、安全な方法で距離を取れる。
そんなふうになっていけばいい。
失敗しない子にするのではなく、失敗しても戻ってこられる子にする。
今回の出来事を振り返って、
私はそちらを大事にしたいと思った。
親の仕事は、子どもの機嫌を直すことじゃない
そして、私自身にも必要な線引きがある。
息子の感情は、息子のもの。
私は、「怒らないようにしてあげる」ことも、
「失敗しないようにしてあげる」ことも、
「早く機嫌を直してあげる」こともできない。
私がするのは、
安全を守ること。
やってはいけない行動には境界線を引くこと。
本人が自分で戻ってくるまで待つこと。
今回、私は息子の機嫌を直せなかった。
不機嫌なままご飯屋さんに入った。
でも、ご飯を食べて時間が経ったら、
息子は自分で戻ってきた。
私は息子を機嫌よくすることはできなかったけれど、
安全だけは守った。
それでよかったのだと思う。
それでも、母は疲れる…
ここまで分かったからといって、
次から疲れなくなるわけじゃない。
また出先で、「ひとりで帰る!」と言われたら困る。
物を蹴られたら嫌だ。
何を言っても、「その言い方が嫌」と言われたら、
「もう知らん!」とも思うはず。
不機嫌なままにしておくことと、不機嫌な人のそばにいても疲れないことは別。
だから、
「あれは普通にしんどかった」
でいいんだと思う。
思春期の子どもを見守るって、
何でも受け止めることでも、
何でも許すことでも、
いつも冷静でいることでもない。
本人の感情は本人に返す。
でも、安全に関わるところでは親が止める。
そして、失敗する経験まで奪わない。
息子はこれから、
自分の感情との付き合い方を覚えていく。
私も、
息子の感情と自分の感情を分けながら、
どこまでが息子の課題で、
どこからが親として止めるところなのかを覚えていく。
親子ともに、まだ練習中。
中学2年生の夏休み。
こうやって少しずつ、
息子は自分の感情を自分で扱う練習をして、
私は息子の感情を背負わない練習をしていくのだと思う。
つづく