以前に予告したとおり、同人活動に関連する事件の判例をご紹介します。

栄えある1回目は「ときめきメモリアル」(アダルトアニメ)事件です。
平成11年の判例なので、ちょっと古いのですが、同人活動をされている方は知っておいて損は無い事件かと思います。(「大人向け」な作品を作られている方は特にね。)

■どんな事件だったの?
「ときめきメモリアル」の同人アダルトアニメを制作していた会社に対して、コナミ側が販売差し止めと損害賠償を求めて提訴。

■訴えの根拠は?
「著作権」と「著作者人格権」の侵害
(「ときめきメモリアル」の主人公・藤崎詩織の図柄を無断使用したことに対して)

■裁判所の判決は?
コナミ側の訴えを認め、アニメ制作会社に対して販売差し止め及び200万円の損害賠償支払いを命じた。


まず、とても重要なことからお話します。

裁判において下された結論は、後に同じような事件が起きた場合の「前例」として採用されることが多いということです。この場合の前例を『判例』と呼びます。

つまり、今後同人活動をされている方が同じように著作権者から訴えられた場合、事件の内容が似たようなものであれば、上記の判例が採用される可能性が高いということになります。


さて、この事件で争点となったのは、著作権の「複製権・翻案権」と著作者同一権の「同一性保持権」と呼ばれるものでした。

「複製」とは内容的に著作物と同一の物を作成することを意味し、「翻案」とは二次創作物を作成することを意味します。
また、「同一性保持」とは著作物の改変を著作者以外の者が行うことを許さないという意味です。

そして裁判所は、アニメ制作会社は著作権者(コナミ)が持つこれらの権利を侵害しているという結論を下したのです。

なお、この事件では「著作物=藤崎詩織の図柄」として争われたようです。
したがって、ゲームの内容が同一でなくても複製権の侵害が認められたようですね。

こうして見ると、同人活動というのは、かなり著作権者(作者または制作会社)の黙認のもとに成り立っているんだなぁって思ってみたり。

もし200万円もの損害賠償請求を求められたら・・・なーんて考えるとゾッとしますね。
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