「流通雑感 臨時号NO.17」2025年 8月20日
「流通雑感 臨時号」は、住谷ゼミのOBOGの皆さんに読んでいただこうと思って発行するものです。
《近況》
*家のリフォームをしています。一部の壁紙の張替えなどは済んだのですが、これから玄関ドアの取り換え、台所のリフォームと続きます。台所のリフォームはなかなか大変で、8月はリフォームで時間が過ぎていきそうです。2社の業者が入っていますので、その対応も必要です。
*暑い夏、年々暑くなっているように思えます。70歳代になると暑いだけで疲れます。涼しい秋が待たれますが、まだ1か月は暑いのかもしれませんね。皆様、元気でお過ごしください。
1,社会・消費者について
(1) 地域のミスコンの大変化
(2) 調理の「時給感覚」
(3) 日本人の減少過去最大の90万人
(4) 生活苦、だから手取りを増やして
2,小売業について
(1)イオン、「まいばすけっと」好調
(2)ABCマート、海外売上高比率が3割を超える
(3)コナカ、業績回復、道遠し
(4)ローソンの車中泊、現在好調
(5)イオン、スーパーの再編続く
(6)トライアル、26年6月期で売上高1兆3000億円台
(7)ヤオコーからブルーゾーンHDへ
3,消費財メーカーについて
(1)花王の「ミーミ―ミ―」ヒットするか
(2)アメリカの自動車産業、日本の車関税15%に大不満
4,その他
(1)「ジャングリア沖縄」開業
(2)豊田通商、アフリカでドラッグストア展開
1,社会・消費者について
(1)地域のミスコンの大変化
「ミス花笠」(山形県)は、24年度から性別不問とし、25年度からは既婚者も応募可になりました。これでは「ミス」という名称を変えるべきですね。
そのため、22年度から「ミスおたる」(北海道)は。名称を変更し、現在は「小樽コンシュルジュ」になっています。性別不問です。伊勢崎市(群馬県)も「観光大使ミスひまわり」を22年度から「観光特使ひまわり」とし性別不問、既婚者も応募可になりました。同様に「ミス尾道」は23年度から「尾道観光親善大使」に名称変更し、性別不問としました。
この流れは、全国の地域のミスコンに広がると思われます。ずいぶんと大きな変化です。これも人口減が大きく影響してそうです。
(2)調理の「時給感覚」
オイシックス・ラ・大知の高島社長は、「モノの値段は上がっても、家事にかける時間を短くして効率を重視するタイパ志向はどんどん強まっている。そのため、時短を訴求した商品がよく売れます。温めるだけで完成する超タイパ夕食サービス『デリOisix』は11か月で50万食売れました。消費者は、自分の時間をお金として意識する感覚である『時給感覚』を高めています」と述べています。
実感として、よくわかります。私が入っているサークルのひとつにワインサークルがあるのですが、毎回、講師の先生が調理時間を短くする工夫をされているのに感心しています。たとえば、昨日のひとつのメニューは「つぶ貝のブルゴーニュ風~香草ガーリックバターのオーブン焼き~」だったのですが、講師の先生があらかじめ生のつぶ貝を下処理してくれて、毒性のある唾液腺などを除去したものを用意してくれているのです。そのため、ブルゴーニュの料理3品も1時間くらいで完成し、その後はブルゴーニュのワインタイムでした。
調理のタイパ志向、これからも続くと思います。もちろん、美味しくないといけませんが。
(3)日本人の減少過去最大の90万人
住民基本台帳に基づく日本の人口が発表されました。日本人は、1億2065万3227人。16年連続の減少です。
死亡者数が159万人、出生者数68万人、で91万人の減少です。これは過去最大の減少です。その一方で、外国人は35万人増加しました。外国人の総数は367万人です。もうすでに外国人がいないと日本の経済は回らないようになっています。
外国人と協力し合って、安定した平和な生活を維持する事ができるように工夫していくしかないですね。
(4)生活苦、だから手取りを増やして
周知のように、日本は所得格差・資産格差が年々拡大しています。数パーセントの人たちに資産・所得が集中し、多くの人たちが生活苦を訴えています。物価高がその生活苦をさらに強めています。
そんな状態で参議院選挙が行われました。「若者が自由に使える手取りを増やして」ほしいという要望に国民民主党は「手取りを増やす」を合言葉に選挙戦を戦い、議席数を大幅に増やしました。見事に民意をすくい上げたのです。
自民党は、業界団体が要望する政策を実現し、その見返りに票を集めてきたと言われています。しかし、組織や団体に距離を置く人が増えた現在、業界向けの政策では響きません。それを自民党は理解できないのでしょう。そして候補者は60歳以上、70歳以上の方々で、日本の将来を託せません。
民意がわからない自民党は迷走するでしょう。民意を理解している国民民主党はこれからも議席数を伸ばしそうです。
2,小売業について
(1)イオン、「まいばすけっと」好調
イオンは、25年3~5月の連結決算を発表しました。最終損益は、65億円の赤字でした。ベトナムの金融子会社を巡り、不適切な会処理などがあり、特別損失が発生したからです。
ただし、本業は好調です。営業収益(売上高に相当する)は前期比5%増の2兆5668億円、営業利益は18%増の562億円でした。営業利益は同期間としては2年ぶりに過去最高を更新しています。
PBを値下げして販売数量を伸ばす戦略が成功しているようです。また、食品スーパー事業の営業利益は98%増の69億円でした。小型スーパー「まいばすけっと」で新規出店が進みました。首都圏中心にコンビニの跡地などに積極出店し、3~5月の売上高は16%増えました。コンビニの利便性とスーパーマーケット並みの価格帯が受け入れられているようです。そのため、2030年までに現在の2倍超の2500店舗に増やすという計画を発表しました。
26年2月期の通期の業績予想は、営業収益前期比4%増の10兆5000億円、純利益47%増の400億円を見込んでいます。イオンファイナンシャルサービスの不祥事などがこれ以上なければ、通期の目標は達成されそうです。大手コンビニの近くに出店すれば成功すると言われている「まいばすけっと」はコンビニにとっても脅威なのではないでしょうか。
(2)ABCマート、海外売上高比率が3割を超える
ABCマートの25年2月期の売上高は3722億円で、海外の売上高は1166億円(31.3%)でした。25年5月時点での海外店舗数は394店で、韓国(319店)、台湾(62店)で9割超を占めています。東南アジアは、ベトナム5店舗にとどまるが、東南アジアにさらに出店しようとしています。フィリピンにも大型店舗を開業しました。今後、フィリピンで26年2月期中に2店舗目を出店し、27年2月期に最大5店舗の出店を計画しています。
ABCマートは、25年の2~3月に大阪・梅田と東京・銀座に立て続けに旗艦店を改装開業しました。インバウンド客の増加を見込んでの改装開業です。そこでABCマートを認知してもらって、ベトナムやフィリピンに帰ってもABCマートを利用してもらおうという戦略です。今のところは、順調に推移しています。
海外展開は、業態・業種問わず重要になってきていますね。
(3)コナカ、業績回復、道遠し
紳士服チェーンのコナカは、サマンサタバサリミッテドを昨年の7月に完全子会社化しました。コナカ単体の売上高に占める女性向け商品の比率は10%前後で、競合他社の20%前後と比べて見劣りするので、サマンサタバサのブランド力を活かしたり、サマンサタバサの企画力や仕入れ力に期待していたようです。
しかし、サマンサタバサ自体のブランド力が落ちており、不採算店を整理してピーク時の約半分の約110店舗に絞り込んでいます。しかし、若い女性客の支持獲得はなかなか難しいようです。そのため、コナカとの相乗効果もあまり出ていません。
25年9月期の連結最終損益は8期連続の赤字(2億4700万円)を見込んでいます。出店計画の見直し、在庫の圧縮、デジタルマーケティングの強化、サマンサタバサのブランド力強化など、コナカの課題は多く、業績回復の道はまだ遠いと言わざるを得ないでしょう。
(4)ローソンの車中泊、現在好調
ローソンの車中泊サービス(店舗の駐車場を使った車中泊サービス。1泊2500~3000円、電源やトイレ、ゴミ袋を提供する)は、一般社団法人日本RV協会が定めた条件を満たす車中泊スペース「RVパーク」として、7月14日に千葉県6店舗でサービスを始めました。8月からさらに千葉県で1店舗増やし、2026年6月まで検証的に展開します。
駐車時は、エンジンを止める必要があります。そのため、夏場はポータブルクーラーなどを各自で持ち込む必要があります。テント設置、花火、バーベキューなどは禁止です。チェックインは18時以降、チェックアウトは翌日9時までとなっています。1台につき、駐車場2台分を開放しています。決済は、クレジットカードでの事前決済が必要です。
このようにルールもいろいろとあるのですが、サービス開始後の週末の稼働率はほぼ100%だそうです。小さな子供やペット同伴者からの引き合いも強いそうです。
1年間、検証してみないとわかりませんが、ルールを破る人、騒音問題などいろいろとトラブルはでてきそうです。果たして、うまくいくのか今後も注目していく必要がありそうです。
(5)イオン、スーパーの再編続く
首都圏では、USMHのマックスバリュ関東がダイエーの関東事業とイオンマーケット(ピーコックストアを手掛けている)を統合します。近畿圏では、ダイエーが子会社の食品スーパー光洋を完全子会社化します。いずれも26年3月1日付で経営統合します。
USMHは、マックスバリュ関東、マルエツ、カスミ、いなげやを傘下に持ちますが、ダイエーの関東事業とイオンマーケットが加えられることによって、連結売上高は1兆円を超える規模になります。規模を大きくし、PB開発を増やし、合わせて効率化を進めるという狙いのようです。イオンの地域ごとのスーパーの再編はじわりじわりと続いています。
(6)トライアル、26年6月期で売上高1兆3000億円台
トライアルHDの25年6月期の連結決算は、売上高8038億円、純利益117億円でしたが、7月に約3800億円で西友を買収したことによって、26年6月期には連結売上高が1兆3225億円と1兆円を超える見通しです。純利益は、前期比96%減の5億円になる見通しです。
トライアルは、「スーパーセンター」の他に、今期中にも小型スーパー「トライアルGO」を東京近郊で13店舗開店する予定です。「まいばすけっと」の成長に刺激されたことは確かでしょう。
今後は、西友にトライアルのタブレット端末付き買い物カートを導入する事、両社で重複するメーカー品の仕入れ統合や物流・製造拠点の共通化など課題は山積みです。
でも来年になるとトライアルは、日本の小売企業売上高ベスト10に入ってくるのではないでしょうか。
(7)ヤオコーからブルーゾーンHDへ
10月から「ヤオコー」は、持ち株会社に移行します。その名前は「ブルーゾーンホールディングス」。「ブルーゾーン」とは、「健康長寿の人が多く住む地域」を意味しているそうです。「地域住民の食生活はもちろん、健康支援サービスまで次世代のスーパーとして顧客との新たな関係」を模索していくそうです。ヤオコーがどのように変貌していくのか楽しみです。
3,消費財メーカーについて
(1)花王の「ミーミ―ミ―」ヒットするか
花王は、24年春からヘアケア事業改革を行ってきています。ヘアケアの花王のシェアは、09年の22.7%から23年には12%に落ちたからです。
花王はマスマーケット対応で低価格品中心でしたが、24年春から低価格帯商品と高価格帯商品に分けて、高価格帯商品を発売してきました。
まず、低価格帯商品については、24年4月にリブランディング第1弾として、「エッセンシャル」、第2弾として24年10月に「セグレタ」、第3弾として25年3月に「メリット」を発売してきました。一方で、高価格帯商品として、24年4月に第1弾として30歳代向けに「メルト」を発売、24年11月には40歳代対象に「ジアンサー」を発売、そして今回、第3弾として25年8月に10代~20代向けに「ミーミーミー」を発売します。
なお低価格帯は700円前後、高価格帯は1400円以上です。「ミーミーミー」は花王としては珍しく赤い容器です。「気分が上がる」「部屋に置きたくなると」と若い世代からは好評のようです。
花王は、「メルト」と「ジアンサー」の投入で花王のシェアは4位に浮上しています。今回の「ミーミーミー」の投入で若い世代を捉える事が出来れば。ヘアケア事業のV字回復も夢ではありません。
私は、相変わらず「メリット」を使っているんですが、時代は変化し、今は、シャンプーに1,500円以上支払う時代のようです。
(2)アメリカの自動車産業、日本の車関税15%に大不満
現在、日本への自動車関税は27.5%なのですが、それを15%に引き下げると合意しました。しかし、アメリカのメーカーの多くが完成車や部品を輸入するメキシコやカナダなどの税率は25%のままなのです。その上、日本が得意とするハイブリッド車は日本メーカーの寡占状態にあり、そのハイブリッド車がこれからアメリカ市場で成長しそうなのです。これではアメリカの自動車産業は不満でしょう。これからやはり対日自動車関税は〇〇にするといった修正もありえるかもしれません。
4,その他
(1)「ジャングリア沖縄」開業
ジャングリア沖縄が25日開業しました。海外客のチケットが国内客よりも高い二重価格を国内の主要パークで初めて採用しました
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国内客 |
海外客 |
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パークの入場料 |
12歳以上 |
6930円 |
8800円 |
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4~11歳 |
4950円 |
5940円 |
私は、日本に住んでいる人と海外に住んでいる人によって、入場料が違うようなビジネスをやっていいのかと疑問でしたが、海外では多いのだそうです。。
なお、商圏は飛行機で4時間圏に住む20億人だそうです。大自然をテーマにした22のアトラクションがどの程度人々を引き付けるのか楽しみです。ただ、那覇空港から車で1時間半かかるのは弱点かもしれませんね。私も年内に行く予定です。テレビで、次々と「ジャングリア沖縄」が紹介されていますが、70歳代の人が楽しめるアトラクションは少ないような感じですね。小さな子供も無理そうですし、対象が限定されるような気がして、「ジャングリア沖縄」は成功するのかと、今は多少疑問です。
(2)豊田通商、アフリカでドラッグストア展開
ケニアを中心に150店以上を展開するドラッグストア「グッドライフファーマシー」を豊田通商が完全子会社にしました。
豊田通商は薬局や病院向けに24カ国で医薬品の卸売りや製造を手掛けています。「グッドライフファーマシー」の完全子会社化によって、消費者に直接販売する販売経路ができました。アフリカでは偽造医薬品の流通が社会問題になっていますので、品質の高い医薬品の流通を豊田通商が担うようになっていくのではないでしょうか。
このニュースを読んで、「やられた感」を覚えました。いい仕事をやっているな~と思います。
以上