「流通雑感 臨時号NO.18」2025年 9月20日
「流通雑感 臨時号」は、住谷ゼミのOBOGの皆さんに読んでいただこうと思って発行するものです。
《近況》
*家のリフォーム工事が終わりました。玄関もタッチキーにしました。新しくなって気持ちがいいです。
*8月下旬に、北海道赤井川村キロロのクラブメッドに行きました。世界的にリゾートホテルを展開しているクラブメッドに一度行きたいと思っていたのです。オールインクルーシブなので、お酒も食事も多彩なアクティビティも新たにお金を払う必要はありません。バーは10時からやっています。特徴はスタッフの9割近くが外人なのです。共通言語は英語。日本語が通ぜず、困ることもありました。もうひとつは、彼らはお客さんとの距離感が近いのです。食事中にも話しかけてくるので、話をしていると一緒にテーブルに座り、一緒に夕飯を食べることになってしまいます。ただ、涼しい。そんな中で私はヨガのレッスンを3回も受けました。初めてのヨガで新鮮でした。また、行くかもしれません。
*先日、東洋大学の3期生数人と会食しました。久しぶりだったのでいろいろな話しをしているうちに、午後6時にお店に入ったのに、いつの間にか10時になっていましたので散会。とても楽しかったです。
*今月、スポーツ吹き矢で1級の資格を取りました。年内に初段になることが目標です。
1,社会・消費者について
(1) パワーカップル
(2) タンス預金、大幅減
2,小売業について
(1)スギHDがセキ薬品の株49%を取得
(2)イオンの時価総額、初めてセブン&アイを抜く
(3)ミニストップの消費期限偽装
(4)新生ヨーカ堂
(5)セブンの海外展開計画
(6)ユニクロ、国内売上高初の1兆円超え
(7)ヤオコーの南北政策
3,消費財メーカーについて
(1)失敗か?成功か?資生堂「dプログラム」値下げ
(2)ポーラ、新型店180店展開予定
4,その他
(1)日本の自動運転
(2)缶コーヒー、10年で消費量4割減
1,社会・消費者について
(1)パワーカップル
夫婦がお互いに仕事をしながら子育てをするパワーカップルが増えてきています。夫婦ともに年収が700万円以上なのは45万世帯、このうち夫婦ともに1000万円以上は11万世帯です。いずれも10年前に比べると倍増しています。これからも夫婦ともに年収が700万円以上のパワーカップルが徐々に増えていくでしょう。ただし、それが個人消費の増額に結びついていないのが現在の課題です。どうしても将来不安のため、貯蓄に回しているようです。
(2)タンス預金、大幅減
現金を自宅の金庫などで保管する「タンス預金」が2025年7月に約47兆円になったようです。23年1月には60兆円規模まで膨らんでいたので、13兆円減となった模様です。
タンス預金が減った原因としては、➀強盗リスクの意識が最初にあげられます。本当に強盗が多かったので、家に大金を置いておくのは現在でも危険です。➁金利の上昇、多少なりとも金利が上がって利子もつくようになったので、安全な銀行にタンス預金を預けたのではないかと考えられています。この他にも物価高が影響して、タンス預金が多少なりとも消費に回ったのではないかとも考えられています。
2,小売業について
(1)スギHDがセキ薬品の株49%を取得
スギHDが埼玉県(埼玉県:店舗数約300店:年商約1000億円)のセキ薬品の株式を49%取得し、今後5年かけて完全子会社化するそうです。スギHDは26年2月期の売上高は約1兆50億円の見通しです。セキ薬品と単純合計すると約1兆1000億円になります。
ウエルシアとツルハが統合すると売上高は約2兆円、マツキヨココカラ&カンパニーは約1兆1000億円。スギHDはマツキヨに肩を並べるくらいに成長してきています。
ウエルシア・ツルハ、マツキヨココカラ、コスモス薬品の3社を中心にドラッグの再編は行われるという認識だったのですが、ここにきてスギHDの成長には目を奪われます。これからは、この4社中心にドラッグの再編は進むものと思います。
(2)イオンの時価総額、初めてセブン&アイを抜く
小売業の時価総額では、ファーストリテイリングが圧倒的に1位です。2位はセブン&アイでしたが、8月21日、イオンが上場来高値を更新し、終値ベースで時価総額が5兆1922億円となり、セブン&アイの5兆1765億円をわずかに上回り小売業で初めて第2位になったのです。セブン&アイが発足した2005年以来、初めてのことでした。
イオンの株価が上がっているのは。一つは業績改善の兆しがはっきりしてきている事、もう一つは再編期待だそうです。2月にイオンモールとイオンディライトの完全子会社化が発表されました。また8月には首都圏と近畿圏でスーパー子会社を再編すると発表しています。
私にはイオンも買収されないようにグループ会社を再編しているように思われます。地域ごとに1兆円のスーパーグループを作るというのは前社長の時からの構想ですから、特に驚きません。セブン&アイだって、買収される恐れがあったのですから、イオンだって今から防止策を考えて実行していかなくてはいけません。
(3)ミニストップの消費期限偽装
ミニストップは、おにぎりや弁当など店内調理品の消費期限を偽装していた店舗が25店舗あったことを発表しました。8月から店内調理を全店で休止しています。「廃棄ロスを少なくしたいという目的のために行われていた」訳ですが、これはかなり深刻な影響を残すものと考えられます。消費者の信頼を裏切ったわけですから、信頼を取り戻すことも容易ではないと思います。
ミニストップの25年2月期の連結営業利益は34億円の赤字で、7期連続の赤字です。これだけ赤字が続いたら会社を整理してもおかしくありません。
私の想像ですが、ミニストップはローソンに売却されるかもしれません。イオンが資本関係にあるのは三菱商事ですから、ローソンに売却されるのが自然ですが、これだけ業績が悪く、イメージも悪いとローソンに断られる可能性もあります。
その場合は、好調な「まいばすけっと」に業態転換するということも考えられるかもしれません。ただし、ミニストップはFCですが、「まいばすけっと」は直営ですので、その点の調整が難しかもしれません。
いずれにせよこれでミニストップは企業として存続するのは無理になるでしょう。
(4)新生ヨーカ堂
セブン&アイは、コンビニ以外のヨーカ堂や食品スーパー、外食、専門店など約30社をヨーク・ホールディングスとして設立しました。そして、そのヨークHDをアメリカの投資ファンド、ベインキャピタルに売却しました。
そのベインキャピタルが、これからイトーヨーカ堂をどうするのかを発表しました。
➀92店舗の約7割を対象に2階以上のレイアウトを見直します。
➁衣料品や玩具、テナント管理などを商業施設運営のクリエイトリンクへ27年度以降に移管します。
➂30年までに新規に10店舗出店する予定です。
④最短で28年の新規株式公開を目指すそうです。
このような内容を発表しています。どうやら食品スーパーとして成長を目指すようです。新店舗の名称は「ヨークフーズ」となるようです。ただし、食品スーパー業界では、ロピア、オーケー、トライアルという勢いのある食品スーパー・チェーンが出てきていますし、ヤオコー、ライフコーポレーションといった強敵もいますので、食品スーパーにしたら儲けるとか成長できるというのは安易な考えのようにも思われます。28年の新規株式公開など無理なような気がします。果たして、どうなるでしょうか。
(5)セブンの海外展開計画
セブン&アイHDのディカス社長が、日本経済新聞の取材に応じて以下の事を述べています。
・北米では1300店を新規出店し、レストラン併設店も1100店設置する。
・欧州展開に意欲を見せている。
・南米では、ブラジルやチリについて関心を示している。
欧州や南米については、FC展開を担うパートナー企業を探して、5年以内の出店を目指し予定です。
・東南アジアでは、インドネシアに関心を持っているそうです。
そして、25年から30年度の間に海外に2兆円規模の投資をする予定です。
・30年度の1株当たり利益を約210円と、24年度の2.4倍にすることを目標にしています。その上で、自社株買い(約2兆円)や負債の減少を進めると述べています。
いずれもアメリカのセブンイレブンをアメリカで株式上場し、その収益をあてにしての計画のように思われます。そのため、スピード感がなく、順調にすすむのかどうかも不確かのように思われます。なんだか今のセブンイレブンはいまいちのように感じます。
(6)ユニクロ、国内売上高初の1兆円超え
2025年8月期の国内ユニクロ事業の売上高が1兆300億円前後になったことがわかりました。アパレル企業で国内売上高が1兆円を超えるのは初めての事です。ユニクロの国内店舗数は784店です。開業から41年で1兆円の大台に達しました。22年8月期からの3年間で2000億円という大幅増収を果たしました。
大幅増収の一つの要因は、店舗の大型化です。5年間で30店舗以上減らして、1店舗当たりの平均売り場面積を10%広げました。店舗を大型化し、取扱商品を増やしたのです。直営店の1店舗当たりの平均売上高は24年8月期に9億9253万円と20年8月期比で13%増えました。
もう一つの要因は、23年に「経営コックピット」というプラットフォームを立ち上げたことです。ここで顧客の声などの情報を3000万件以上収集し、独自の新素材を使ったニットの開発や既存商品の改良に生かしたようです。また、データを基に需要予測を立て、工場の生産計画と連動させ、必要な商品だけを迅速に生産し、販売までの時間を短縮しました。同時にニーズの低い商品は生産を減らして売れ残りを防いだようです。
また、英仏の著名デザイナーとコラボした「UNIQLO・・C」「UNIQLO・・U」も良く売れたようです。
ファストリのグループ全体を見ると、連結売上高は25年8月期で3兆4000億円です。1位のインディテックス(「ZARA」などを運営)の約6兆7000億円には遠く及びませんが、2位のH&Mの3兆7000億円の背中が見えてきました。ファストリの海外事業の売上比率は55.2%です。H&Mを追い越すには、さらなる海外での成長が必要になります。
(7)ヤオコーの南北政策
ヤオコーは、25年3月期、36期連続の増収増益(単体ベース)を達成しました。業界では、「最強スーパー」とも呼ばれているようです。
ヤオコーは、商圏シェア25%を目指しています。25年3月期は18%でした。前期の17.1%から0.9%上昇しました。同社は、個店経営で有名になりましたが、今や、企業としての戦略もしっかりしているようです。
基本は、「南北政策」です。国道16号線を境に、都内やさいたま市などを「南エリア」、埼玉県北や北関東を「北エリア」とし、ヤングファミリー層の多い南、中高年層を中心とした北で異なる品揃えをしているようです。基本的には、北は魚、南は肉が好まれる傾向がありますので、北の店は魚を強調した品揃え、南の店は肉を強調する品揃えにしています。そのため、チラシ広告も南と北で掲載商品が異なっています。この基本政策が成功要因の一つになっているようです。
ヤオコーと言えば、惣菜の充実が目立つのですが、惣菜の製法は店舗の主任を通じ、現場の従業員に浸透させるようにしています。また、本部のスーパーバイザーが仕様通りに製造できているかを確認し、従業員の技術が衰えていないかトレーナーが確認して店舗巡回しているそうです。もう単なる個店経営ではなくなっているのですね。本部が基本戦略を作成し、それを店舗主体で実施するようにしながら、本部がバックアップしているという姿でしょうか。ヤオコーの堅実な成長は当分続きそうですね。
3,消費財メーカーについて
(1)失敗か?成功か?資生堂「dプログラム」値下げ
高価格帯重視の資生堂が敏感肌向けスキンケアブランド「dプログラム」を刷新し、価格を1割以上値下げしました。容量は据え置き、価格は従来よりも400~600円下げたのです。狙いは、この分野で1位の花王のキュレルに追いつこうというものです。
あえて価格戦略に出た資生堂。高価格帯重視の資生堂がどうしたのでしょうか?これは一つの実験なのでしょうが、果して成功するモノなのか、とても興味があります。
(2)ポーラ、新型店180店展開予定
ポーラは、「ポーラ ギンザ」を刷新します。併設するサロンの施術対象を顔だけでなく、全身に広げて来店動機を高め、化粧品の販売拡大につなげる予定です。そのような店舗を27年までに180か所開く予定です。
施術の価格は2万8000円~5万3000円までのメニューで、従来の約2倍の価格帯です。30代以上の富裕層を顧客に想定しています。
ポーラの売上高の6割は委託販売店の売上なのですが、17年12月末に4200店あった店舗は、25年3月末時点で約半分の2400店まで減少しているのです。この状況を高級サロン店で挽回しようと考えているのではないでしょうか?
エステも様々ありますから、ポーラの新業態も成功するのかどうか?難しい面もあるのではないでしょうか。
4,その他
(1)日本の自動運転
日本の自動運転だが、商用車の領域でじわりと前進している。運転手不足が深刻なトラックやバスの分野で、日本の物流や人流を支える切り札になるかもしれません。当面の目標は「レベル4」の27年の実現です。すでに自動運転の走行実験がトラック、バスの分野でも行われています。いずれ高速道路を走るトラックは自動運転車になるでしょう。
個人的には、バスの自動運転を早く始めて欲しいと思っています。地方でも車の運転ができない人は数多くいます。バスが自動運転で、もっと多く走ってくれればどれだけ助かるか。
自動運転のバスの実用化に大いに期待しています。
(2)缶コーヒー、10年で消費量4割減
缶コーヒーの国内需要が低迷しています。缶コーヒーの消費量は2013年からの10年間で4割減っています。
需要低迷の背景には、コーヒー豆の値上がりがあると言われていますが、それ以上に、飲み方の多様化、競合の激化が一番の理由ではないでしょうか。
・紙パックのコーヒー飲料
・ペットボトルのコーヒー飲料
・ドトールコーヒーショップ
・スターバックス
・セブンカフェやマチカフェ(ローソン)
これらの競合が出てきています。その中で缶コーヒーなりに頑張っているように思います。缶コーヒーといえば、自販機ですが、24年の自販機は391万台で10年前より2割減っています。それだけ自販機も採算の合わないものが出てきているという事でしょう。
私は、コーヒーは飲まなくなったのですが、もしも購入するとしたらペットボトルに入っているものになりそうです。なんだか一気に飲むものではないような気がするからです。日本で誕生した缶コーヒーが生き残るといいのですが。
以上