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流通雑感のブログ

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「月刊 流通雑感」NO.224、2023年 5月号

 《目次》           

1、 社会・消費者動向

(1)  チャットGPTに関する動向

(2)  高級品消費、中国、世界の25%

2、 小売業・卸売業の動向

(1)  セブン&アイ、売上高11兆円突破

(2)  イオン、売上高9兆円超

(3)百貨店無し県2県、あと1店の県が17県

(4)セブン&アイ、バーニーズジャパンを売却

(5)イオン、いなげやを子会社に

(6)ヨーカ堂とヨークを統合へ

(7)アメリカのアマゾン、レジ無し店、3割閉店

(8)ウェルシア、1兆5千億円をめざす

3、メーカーのチャネル戦略、

(1)コーセーの「コスメデコルテ」大谷効果で爆売れ

(2)パナソニックの価格指定、売上高の約2割に

4、その他

(1)すかいら~くHDの配膳ロボット

 

 GWです。旅行に行く方が多いようです。観光地で外人がとても多くなりましたね。外人が東京にきて、一番驚くのは地下鉄のようです。車内の綺麗さ、車内が静かな事、時間通りの運航、乗降客が整然と並んで乗ったり、降りたりするのにも驚くようです。そして、街の綺麗さ、どうやらもう一つはシャワートイレのようです。

 私は先月、『愛されるマーケ 嫌われるマーケ』(日経クロストレンド編)という本を読み、とても印象に残っています。「ステルスマーケティング」「NO.1広告」「おとり広告」などマーケティング手段の悪用が目立ってきています。それが「嫌われるマーケ」なわけです。マーケティングには、昔から「理念」と「戦略」という二面性があるのですが、いつの間にか「戦略」だけが取り上げられるようになり、「理念」を失ってきたのだと思います。マーケターは今一度、消費者を深く理解することにエネルギーを使うべきです。「あの会社は私たちをよくわかっている」と思われると愛顧が生まれるように思うのですが。900円+税金という価格ですが、もしもよかったら一度読んでみてください。

 

1、 社会・消費者動向

(1)チャットGPTに関する動向

 チャットGPTに関する議論が起きています。

 イタリア政府は、チャットGPTを一時的に禁止しました。その理由は、利用者に適切な通知がないままデータを集め、利用者の年齢確認も不十分な点が同国の個人情報保護に関する法律に違反すると判断したからです。その後、4月28日にイタリア政府は、オープンAIがGTPを使用する際、生年月日の記入を求めるようになって、年齢確認の仕組みを取り入れたので一時使用禁止を解除しました。

 また、アメリカの非営利団体のAIデジタル政策センターは、米連邦取引委員会に「GPT―4」の商業利用を差し止めるように要請したと発表しました。「偏見や偽りを制限する必要な手段がなければ、公共の安全に対するリスクがある」とAIデジタル政策センターの会長はコメントしています。

 今のところ、欧州は規制に関する厳格な法律を作ろうとする立場のようです。日米は柔軟性のあるガイドラインで対応したいと考えているようです。どうやらポイントは、「透明性」と「説明責任」のようです。後者について、アメリカの商務省は「企業の財務諸表と同じく、信頼に足るAIであることを保証する説明責任の仕組みがいる」と指摘しています。

 まだ、当分の間、議論は続くと思いますが、その間にも個人も企業も利用が進むように考えられます。チャットGTPがどのように情報を集めているのか? その情報に基づいた文章が正しい(正当な)のかどうか? に関心が集まっているように思います。

(2)高級品消費、中国、世界の25%

 高級品市場の規模は、25年に22年比37%増の4447億ドルに達する見込みであると予想されています。その消費を国・地域別に見ると中国は25%を占めるそうです。欧米市場の割合が低下する中で中国市場の存在感が増しています。

 

2、 小売業・卸売業の動向

(1)セブン&アイ、売上高11兆円突破

 セブン&アイの23年2月期の連結営業収益(売上高に相当)が11兆8113億円(前期比35%増)になりました。日本の小売企業で、初め10兆円を超えました。

 純利益は33%増の2809億円と3年ぶりに過去最高を更新しました。営業利益は31%増の5065億円でした。21年に買収したアメリカのスピードウェイの統合効果が出たほか、ガソリン価格の高騰が利益を押し上げたようです。

 コンビニ事業は36%増の5217億円と全体の営業利益に占める割合は9割を超えています。利益でみるかぎり、コンビニ以外の事業の低迷が目立っています。

 なお、オカドの技術を採用した立体自動倉庫を稼働させたネットスーパー(「グリーンビーンズ」)は今年の夏から始めます。配送エリアは、東京都、千葉県、神奈川県です。品揃えは、生鮮食品、冷凍食品、他の食品、日用雑貨など5万品目を用意します。配達時間は朝7時から夜11時まで1時間単位で配送します。オカドの技術を採用した立体自動倉庫内では1000台以上のロボットが自律走行し、商品棚から6分間で50品目の商品を集めます。作業速度は人間の10倍です。このネットスーパーの売上高は31年2月期に6000億円にする計画です。

(2)イオン、売上高9兆円超

 イオンの23年2月期の連結営業収益は9兆1168億円となり、過去最高を更新しました。営業利益は前期比20%増の2097億円、純利益は前期比3倍強の213億円でした。PBの売上高が8%増加し、9025億円になったことが貢献したようです。GMSも140億円の黒字になりました。ドラッグストアの営業利益は7%増の448億円と過去最高を更新しました。

 23年春にパート従業員の時給を7%引き上げたこと、水道光熱費が23年2月期は2359億円でしたが、24年2月期は2600億円を見込んでいるので、人件費と水道光熱費の増加をどこで吸収するのかが今後の課題と言えるでしょう。

(3)百貨店無し県2県、あと1店の県が17県

 百貨店は、この3年間で27店が閉店しました。現在、山形県と徳島県には百貨店があり

閉店した店名

所在地

閉店時期

大沼

山形市

20年1月

天満屋広島アルパーク店

広島市

20年1月

丸広百貨店南浦和店

さいたま市

20年2月

新潟三越

新潟市

20年3月

ほの国百貨店

愛知県豊橋市

20年3月

東急百貨店東横店

東京都渋谷区

20年3月

高島屋港南台店

横浜市

20年8月

井筒屋黒崎店

北九州市

20年8月

中合福島店

福島市

20年8月

イセタンハウス

名古屋市

20年8月

そごう西神店

神戸市

20年8月

西武岡崎店

愛知県岡崎市

20年8月

西武大津店

大津市

20年8月

そごう徳島店

徳島市

20年8月

丸広百貨店日高店

埼玉県日高市

21年2月

そごう川口店

埼玉県川口市

21年2月

三越恵比寿店

東京都渋谷区

21年2月

タカシマヤフードメゾン岡山店

岡山市

21年2月

三田阪急

兵庫県三田市

21年8月

松阪屋豊田店

愛知県豊田市

21年9月

やまき三春屋

青森県八戸市

22年4月

天満屋広島緑井店

広島市

22年6月

丸広百貨店坂戸店

埼玉県坂戸市

22年8月

小田急百貨店新宿本館

東京都新宿区

22年10月

藤丸

北海道帯広市

23年1月

東急百貨店本店

東京都渋谷区

23年1月

高島屋立川店

東京都立川市

23年1月

ません。また17の県が百貨店は1つだけです。数年後には、百貨店のない県がどっと増えそうです。百貨店がなくなるとセンチメンタルになるのですが、日常生活にはほとんど影響がない事が多いようです。SCの増加に伴って、この傾向は続くでしょう。

(4)セブン&アイ、バーニーズジャパンを売却

 セブン&アイは、2023年2月期の連結決算で売上高が11兆8113億円と日本の小売業で初めて10兆円を超えました。業績を牽引したのは北米を中心とする海外コンビニです。連結営業利益に占める国内外コンビニ事業の割合は9割超です。

 業績は好調なのですが、物言う株主からは現社長の退陣を求められています。理由は構造改革が遅いという事です。早く、コンビニ事業だけの会社になれば、利益も増え、株価も上がるはずだというのです。

 その声に応えようとして、そごう・西武百貨店の売却を決めましたが、ヨドバシカメラなどとの調整がうまく進まず、最終的売却・引き渡しにはいたっていません。そんな中、今度はバーニーズジャパンをラオックスHDに5月1日付で売却すると発表しました。構造改革の一環です。バーニーズジャパンの売却は良いでしょうが、そごう・西武百貨店の売却については、企業の社会的責任という視点が欠けているように思います。まだまだ混乱は続くのではないでしょうか。

(5)イオン、いなげやを子会社に

 イオンは、23年11月をめどにいなげやに対する出資比率を17%から51%に引き上げます。子会社にした上で、24年11月にはUSMH(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス)に統合するそうです。統合するとUSMHの売上高は約9600億円になります。イオンの吉田社長は1兆円を目指すと発言しています。イオンのPBはますます販売額を増やし、PB開発・改良も進むでしょう。いなげやは東京23区以外、マルエツは23区内ということで棲み分けするそうです。

(6)ヨーカ堂とヨークを統合へ

 7&iの井坂社長は、イトーヨーカ堂と食品スーパーのヨーク(ヨークベニマルとヨークマート)を23年内に統合すると発言しました。ヨーカ堂とヨークで本社機能・商品本部を集約化し、物流・システムを統合します。そして固定費などのコストを削減し、26年2月期までに首都圏のスーパー事業を黒字転換する予定です。6月にはヨーカ堂、ヨークにシュルガーデンを加えて、3社で構造改革に乗り出します。

 アパレルを放棄し、3社でまとまって食品スーパーとして生き抜こうというわけです。食品スーパーも競争が厳しいので、果してそう簡単に3年後に550億円の利益が出るものか疑問ですが。

 また、セブンプレミアムのようにヨークベニマルの指導力に期待しているのでしょうか?

(7)アメリカのアマゾン、レジ無し店、3割閉店

 「アマゾン・ゴー」(レジ無し、コンビニのような店)を2018年に出店しはじめ、3月末には29店舗まで展開していたのですが、8店舗を閉鎖したそうです。利用客が少ない店を閉鎖して、収益の改善を急ぐそうです。

 レジ無しとかスマホレジとかは、アメリカでは一時ほどの勢いはなく、閉店とか削減が続いています。レジ無しとかスマートカートとかにすることによって万引きも増えたようです。やはり、日本流のセミセルフレジ(スキャンは店員、清算は客が自分でやる)がいいのでしょうか。

(8)ウェルシア、1兆5千億円をめざす

 イオングループのウェルシアHDは、2026年2月期の連結売上高を1兆5千億円にする計画を発表しました。23年2月期は前期比12%増の1兆1442億円でしたので、31%増にする必要があります。

 そのために、調剤薬局併設店を5%増やし、80%まで高める計画です。また、生鮮食品や総菜の取り扱いも増やしていく予定です。イオン九州と共同出資会社を設立し、スーパーとドラッグの複合業態を磨いてきています。その技術を九州だけでなく他の地域にも広げていく予定です。

 もう一つがM&Aです。今後、中堅ドラッグとのM&Aを進めていくようです。そして、31年2月期には3兆円というシナリオも描いています。

 ドラッグ大手が、売上高1兆円を超えるようになってきました。これからさらに業界内で買収・合併が増えていくように思います。

 

3、メーカーのチャネル戦略

(1)コーセーの「コスメデコルテ」大谷効果で爆売れ

 コーセーの小林社長は、グローバル、ジェンダー、ジェネレーションの「3G」の観点から大谷選手が最適と判断し、「大谷選手の肌を守りたい」と説得して、22年末に広告キャラクター契約が成立しました。

 今年のWBC旋風の中、大谷選手のロッカールームで、コスメデコルテの化粧水とクリームがインスタグラムに載り、一気にブームに火を付けたようです。コーセーの調べでは、主要百貨店でのコスメデコルテの主要商品であるリポソーム美容液の男性購入者が通常の7~8倍になっているそうです。大谷効果で時には店頭に行列ができることもあるそうです。大谷選手の価値が爆上がりですから、ますます広告のキャラクター契約が増えそうですね。

(2)パナソニックの価格指定、売上高の約2割に

 パナソニックが約1年前に本格導入した実質的な値下げ防止策である「指定価格」制の対象が、家電販売額の約20%になったと明らかにしました。本格導入前は、約8%だったので、1年間で倍増した形です。今後は30%に引き上げる計画です。

 パナソニックが家電量販店で売れ残った自社製品の返品に応じる代わりに、販売価格を指定するという形です。従来は、新製品の発売から販売終了までの間に2~3割値下がりしていました。

 指定価格制にすることによって、パナソニックは家電量販店に支払う販売奨励金が大幅に減少しているそうです。また、モデルチェンジも頻繁に行う必要がなくなりました。家電量販店側も在庫を抱える必要がなくなったわけです。

 公正取委員会が再販売価格維持の禁止の運用を緩和したために出てきたやり方です。メーカーにとっては都合が良いでしょう。消費者にとってはどうなのでしょうか?

 

4、その他

(1)すかいら~くHDの配膳ロボット

 すかいら~くHDは、わずか1年半で2100店に計3000台の配膳ロボットを導入しました。ネコ型の配膳ロボット「べラボット」が活躍中です。笑顔やウィンクなどの表情でもてなします。

 このべラボットを導入すれば、それでお終いではありません。元店長などの現場運営を熟知している人をインストラクターに抜擢し、彼ら17人が一日でひとり100店舗前後の店舗に出向き、最適ルートの設定や活用のコツを伝授し、普及させてきているのです。その結果、ガストでは従業員の歩行数が42%、片付け時間が35%減少し、ピーク時の回転率が2%上昇しています。

 また、このロボットから、日々、「走行距離」「仕事をこなした回数」「料理を提供したテーブル数」「平均速度」の4つのデータが取得できます。特に「走行距離」を問題にしています。効率の良い店舗では走行距離が7キロ近いのですが、全店舗の平均は3キロ弱です。そのため、効率の悪い店舗では導線を見直し、ロボファーストの店舗設計をすることによって効率を改善しています。

 私も配膳ロボットのいる店に入ったことがあります。注文はテーブルに置かれているタブレットで注文します。配膳はロボットです。何となく憎めないロボットで、特に抵抗はありませんでした。ファミリーレストランは効率が良くなってきているんだと実感しました。これから配膳ロボットはますます普及しそうです。

 

                                      以上