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流通雑感のブログ

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月刊 流通雑感」NO.226、2023年 7月号

 《目次》           

1、 社会・消費者動向

(1)  若いカップルの新三種の神器

(2)  2040年、240大学が余る

(3)  カナダの山火事、火災面積例年の10倍

2、 小売業・卸売業の動向

(1)  イオン、低価格衣料品店をこれから展開

(2)  島根県も百貨店なし

(3)  ヨーカ堂とヨークが9月に合併

(4)  ファミマコーデ

(5)  都市型SCの「そよら」関東1号店開業

3、メーカーのチャネル戦略、

(1)「サントリー生ビール」の価格戦略

(2)パナソニック、家電量販店との共存共栄策

(3)資生堂の中国事業が7年ぶりの赤字

(4)日本たばこの低価格戦略

4、その他

(1)23年上期ヒット商品番付

(2)物流24年問題に政府も乗りだす

 

 

 梅雨の時期です。梅雨明けが待たれますが、まだまだ湿度の高い日々が続きそうです。睡眠と体調管理が大切ですね。

 7月になりましたので、今月を乗り越えると夏休みが待っています。それを楽しみにどうにか7月を乗り越えようと思っています。

 皆様も体調管理に留意されながら、梅雨の時期を乗り越え、夏を楽しみましょう。

 

 

1、 社会・消費者動向

(1)若いカップルの新三種の神器

 30歳前後の若いカップル。共働きの2人暮らし。そんなカップルが仲良く暮らすための「新三種の神器」が「ニンテンドースイッチ」「ベランダ菜園・観葉植物」「プロジェクター」だという記事を読みました。私にとってはとても意外で印象に残りました。説明している文章を読むと、それなりに理解はできるのですが、やはり意外でした。本当かな?とも思います。

(2)2040年、240大学が余る

 2022年に生まれた日本人は77万747人です。この子たちが大学に入る18年後の人口も77万人です。22年に高校から大学・短大・専門学校に進んだのは79万1千人です。40年の時に、大学・短大・専門学校が現状維持をしていると18歳全員が進学しても2万人足りません。

 大学進学率を57%と予測すると44万人となります。留学生や進学率の大幅増がなく入学定員が現状のままだと19万人弱分、全約800校の平均定員で換算すると240大学が過剰になるそうです。

 大学は確実に淘汰の時代に入るようです。私立大学は都心回帰をし、総合大学になることによって生き延びようとしています。しかし、地方の私立、地方の単科大学などはより深刻な状況になるのではないでしょうか。都心の大学も生き延びるために、教員の役割も拡大するでしょう。大学の教員にとっては、良い時代は終わりつつあるのではないでしょうか?

(3)  カナダの山火事、火災面積例年の10倍

 カナダ当局は、高温や異常乾燥によって、例年の10倍強にあたる面積で火災が起きていると報告しました。6月8日時点で429の山火事が起きていて、その半数以上が制御不可能な状態にあるそうです。

 この山火事の煙がアメリカ北東部などに流入し、深刻になっています。ニューヨーク州でも空が真っ黒になった日もありました。そして深刻な大気汚染に見舞われています。この山火事の煙は、6月下旬にはポルトガルやスペインに到達しました。ただ、スペインやポルトガルの大気の質は比較的良好だそうです。

 地球温暖化による異常気象は今年も起きています。

 

2、小売業・卸売業の動向

(1)イオン、低価格衣料品店をこれから展開

 イオンは、24年2月までに傘下のイオンリテールが運営する首都圏の3店舗で、低価格衣料品店を開業する計画です。シニアや若者など6種類の店舗を立ち上げる予定です。機能性肌着の場合、ユニクロのエアリズムより2割安く、しまむたの製品より1%程度価格を下げる予定です。

 そのような店舗を2030年までに同社の総合スーパーの8割にあたる240店舗に広げる計画です。消費の2極化が進んでいますので、低価格衣料品に対する需要はありますが、競合に勝てるかどうかがカギになりそうです。

(2)島根県も百貨店なし

 島根県地盤の一畑百貨店が、2024年1月14日に営業を終了すると発表しました。来年の1月になると、徳島県、山形県についで、島根県も百貨店無しになります。百貨店のない県が3県になりますが、そごう・西武百貨店の売却・引き渡しが完了すれば、さらに百貨店のない県が増えそうです。

(3)ヨーカ堂とヨークが9月に合併

 イトーヨーカ堂と食品スーパーのヨークを9月1日に合併させるとセブン&アイが発表しました。存続会社は、イトーヨーカ堂です。9月以降、イトーヨーカ堂には、ヨークマートとヨークベニマルが含まれるわけです。そうすることで26年2月期までにスーパー事業を黒字にするという計画です。

 ただし、23年2月期の最終損益はイトーヨーカ堂が152億円の赤字、ヨークは23億円の赤字です。赤字同士が合併すると黒字になるものかどうか。イトーヨーカ堂そのものは食品スーパーに業態転換し、空くスペースはテナントとするようです。3社の食品スーパーが一つになると、本社機能や商品本部を集約したり、物流や情報システムを統合することによって、コスト削減が可能だと考えているようです。

 それぞれの地域には強い食品スーパーがありますので、それらとの競争に勝って、顧客を吸引できるかどうか?3年間しか時間がありませんから、急ピッチで革新しないといけません。これから3年間、イトーヨーカ堂が何をするのかに注目です。

(4)ファミマコーデ

 ファミマは、4月下旬に男女兼用のショートパンツ(1990円)、5月23日にサンダル(2990円)を発売しました。ショートパンツは人気で品薄だそうです。これで靴下、アウター、サンダル、バッグなど全身をトータルコーディネートできるまでに品数がふえました。その気になればファミマコーデが出来るわけです。

 ファミマが衣料品の販売に力をいれる背景には、インナーなどの衣料品や雑貨の売上高を増やすだけでなく、ファミマのファンになってもらえる機会を増やしたいという狙いがあるそうです。靴下を発売した時には、よく理解できませんでしたが、継続的に衣料品や雑貨の新製品を出してくると、意味合いが変化してきますし、ファンを増やしたいという気持ちも理解できますね。平均日販は今もセブンイレブンと10万円以上の差がありますから、その差を解消するためには、PBや惣菜の品質の向上だけでは難しいので独自のPB商品が必要になると考えて、衣料品や雑貨に独自性を出そうとされているようです。

(5)都市型SCの「そよら」関東1号店開業

 イオンは都市型SCの「そよら」を23年度に5店開業します。「そら、寄って、楽しんでって!」という呼びかけに由来する名称です。ターゲットは、都会の若いファミリー層です。そのため、親子で利用しやすい店作りを目指しています。

・総合スーパーを中核としたSC機能は持っています。

・2階:ホームセンターのカインズ、その傘下のハンズの小型店「ハンズビー」も出店。トヨタの販売店も出店し、アウトドアやDIY向けにカスタマイズした車を並べています。それに隣接してキャンプ向けの食品やキャンプ用品を扱う専門店もあります。

・3階:大創産業が「ダイソー」の他に300円ショップの「スリーピー」、国内の工芸品を集めた「スタンダードプロダクツ」を開設しています。大創産業が3つの業態を同時に出店するのは国内で8か所目です。

・屋上にはフットサルコートを作ってサッカー教室を開きます。英語教室や音楽教室、幼児教室もあります。

 このような「そよら」は20年に「そよら海老名」(大阪市)を新設し、すでに大阪府内に2店舗、愛知県に1店舗開業させています。「そよら」楽しそうですね。

 

3、メーカーのチャネル戦略

(1)「サントリー生ビール」の価格戦略

 サントリーは4月に発売した「サントリー生ビール」について、他社よりも10円安く店頭想定価格を設定しました。実際は小売店が販売価格を決めるオープン価格だが、スーパーの店頭では他社のスタンダード系よりそのまま10円程度安くなっているケースが多いそうです。サントリーは、「1年目の年間販売目標は300万ケースだが、約1か月半で150万ケースを達成した」と好調さをアピールしています。

 ビールの価格を巡っては前哨戦があったようです。22年10月、各社は主力商品を350ml缶で約10円値上げしました・サントリーも「ザ・プレミアム・モルツ」は値上げしたのですが、糖質ゼロの「パーフェクトサントリービール(PSB)」は価格を据え置いたのです。ここからPSBの販売は伸びて息を吹き返したのです。サントリーはこの経験に味を占めたのかもしれません。

 また、23年10月のビール減税と同時に第三のビールの酒税は37.8円から46.99円に上がります。第三のビールにとっては逆風です。第三のビールのトップブランドはサントリーの「金麦」です。打撃を受けるのは必須です。そのため、減税以降は、プレモルと金麦の間にあるスタンド市場を確立させたいという思いがあるようです。

 しかし、たった10円の差が、それほどビール類の売上に影響があるとは驚きです。それだけブランド力が落ちているのでしょうか。サントリーの価格戦略は「おきて破り」と言われているようですが、他社はどのような対抗策をとるんでしょうか?今後のビール市場の価格に注目です。

(2)パナソニック、家電量販店との共存共栄策

 パナソニックの家電量販店対策の方向性が明白になってきました。メーカーも家電量販店も適正利潤を確保できるように取り引きしましょうという方向性です。その方策として、以下の2点が指摘されます。

➀返品に応じる代わりに販売価格を指定する。・・・・2022年から洗濯機などの一部製品で本格的に導入しています。発売から一定期間が過ぎた製品の値崩れの防止が目的です。23年3月期は対象商品が一気に増え、パナソニックの家電製品の2割(金額ベース)に拡大しました。前期の営業利益への貢献額は、100億円を超えるもようです。導入した家電量販店のバイヤーの中には「売上高も粗利も増えた」と話す人もいます。ただ、問題は売れなかったものは自ら在庫を回収しないといけないという点です。

➁家電量販店とのデータ連携。・・・・店頭商品の販売動向や在庫データをリアルタイムで共有する計画で、地域や店舗ごとの売れ行きをみながら工場の生産量を調整します。一部の家電量販店とは、ドラム式洗濯機で試験導入を始めています。この実験では「ほぼ欠品がなく、実需に対して供給ができている」と手ごたえをパナソニックの執行役員は話しています。そして、洗濯機以外も幅広い家電を対象に、複数の家電量販店にデータ連携を呼び掛けています。データ連携を広げることによって、流通在庫を減らし、欠品をゼロにすることを目指しています。

 この➀と➁で家電量販店との取引を円滑にし、双方に取ってメリットのあるものにしていこうという方針です。

(3)資生堂の中国事業が7年ぶりの赤字

 資生堂は中国事業に力をいれています。中国事業の21年12月期の売上高は2747億円と19年12月期から3割増加し、22年12月期は2582億円と初めて日本事業を(2376億円)上回ったのです。ところが、22年12月期は7年ぶりの赤字になったのです。

 中国事業に力をいれている資生堂が中国事業で赤字では企業としては困った問題です。

資生堂は中国事業でECでの販売拡大を急ぎました。そして、現地のインフルエンサーであるKOL(キー・オピニオン・リーダー)にマーケティング費用を集中投入する手法を採用しました。即効性は高く、中国事業の売上高は伸びたのですが、利益が悪化したのです。他社の追随もありECサイト上での価格競争に巻き込まれ、特売を何度も打たざるを得なくなったのです。時には、値下げして売った商品がすぐにサイトで転売されるという事態も起き、ブランドが傷ついたのです。

 資生堂は、中国で価格訴求により短期的な増収を狙うのではなく、顧客との接点を地道に増やして商品の魅力を長期で伝えるブランド訴求に軸足を移すと言っています。なぜ、最初からそのように行わなかったのが大いに疑問です。それでライブコマースに日本の担当者が出演し、日本の流行や商品へのこだわりを交えながら商品を紹介したり、現地の美容部員を集め、期間限定店で対面販売する取り組みを実施しようとしています。どうもやることが後手後手ですね。資生堂は大丈夫なのでしょうか?あれだけ資生堂の財産(日用雑貨部門とか海外の事業部)などを売却し、資金はあるのでしょうが、なんだかとても不安ですね。

(4)日本たばこの低価格戦略

 日本たばこが、海外ではタバコを値上げしているのですが、国内では低価格戦略を徹底し、シェアを拡大しています。

 紙巻きたばこは、1996年度に年間3483億本の販売本数でしたが、2022年度には926億本となり、7割超減少しています。22年度の売上高は4割減の2兆5129億円でした。日本たばこは、低価格となる470円以下の紙巻きたばこでの市場シェアは21年初めに2割に満たなかったのですが、現在では5割に近づいています。低価格戦略がシェアを拡大してるのです。

 日本たばこは、19年から紙巻きたばこの新商品の多くを400~500円で発売してきた。競合は500円台半ばが中心なので、相対的に安価です。こうした低価格戦略は、同社にとっては「歴史的試み」だそうです。牽引しているのは22年6月発売の「キャメル・クラフト」430円です。メビウスの廉価版「Eシリーズ」(500円)も発売しました。

 紙巻きたばこのJTの低価格戦略は残存者利益の獲得に本質があると言われています。「中長期的に低・中価格帯の紙巻きたばこでシェアを6割達成したい」と日本たばこの担当者は発言しています。また、日本たばこは加熱式タバコでも低価格戦略で巻き返しを図ろうとしています。

 

4、その他

(1)23年上期ヒット商品番付

【横綱】5類移行:WBC世界一

【大関】Chat GPT:インバウンド復活

【関脇】ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー:THE FIRST SLAM DUNK

【小結】ユニクロ「ラウンドミニショルダーバッグ」:東急歌舞伎町タワー

 新型コロナが5類に移行したのは大きな変化でした。マスクを外した人も見られるようになってきています。電車の中だとほとんどの人がマスクをしていますが、外を歩いている人はマスクをしていない人も増えました。そのため、飲み会や会食も増えています。

 WBCも大きな話題になり、テレビの視聴率も驚くほど高いものでした。その上、劇的な試合も多く、その上、日本が優勝したので興奮はピークに達し、話題になりました。

 Chat GPTにも驚きました。これから仕事も大きく変化していくでしょうし、パソコンも大きく変わりそうです。また、新型コロナの5類移行にもなって外国人の日本への旅行者も増え、インバウンドが復活しています。円安、日本の物価の安さも海外の人が日本にくる大きな要因となっているようです。

 関脇、小結あたりになってくると、私にはあまりピンときませんが、これらが話題になったり、ヒットしたりしているようです。

(2)物流24年問題に政府も乗りだす

 物流24年問題に政府も対策を講じ始めました。①通販業者に送料無料表示の変更を要請します、➁再配達は24年度に現在の12%から半減する目標を打ち出し、再配達削減の取り組みを財政支援します、➂運転手の待機時間や荷物の積み下ろし時間の削減に取り組むように、一定の物流量をかかえる荷主に計画策定を義務付ける予定です。その他に、高速道路のトラック速度の上限引き上げも行う予定です。これらの対策を講じなければ、24年度に14%、30年度に34%の輸送力が不足するという民間試算があります。

 このような動向の中、コンビニは配送回数の見直しを行っています。セブンイレブンは、加工食品の配送を当日中から翌日に変更します。また、1日4回配送している弁当などを3回に減らします。ローソンも弁当などの配送を1日3回から2回に減らします。

 北海道の荷物が25年に30%、30年に39%運べなくなるという民間の試算もあるため、北海道のイオン北海道、北雄ラッキー、トライアルHD、西友に物流企業など14社が集まって、研究会を開催しています。いかにして倉庫や輸送網を共有し、配送を効率化するか協議していくようです。北海道は広く、冬には積雪もあり、輸送の効率化が是非とも必要です。このようにトラック運転手の残業規制が強化される2024年問題を前に、政府も荷主も動き始めています。

                                      以上