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流通雑感のブログ

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「月刊 流通雑感」NO.229、2023年 10月号

 《目次》           

1、 社会・消費者動向

(1)  100歳以上、9万2139人

(2)  マーケティング従事者のチャットGPTの利用率は65%

2、 小売業・卸売業の動向

(1)そごう・西武百貨店がフォートレスに売却完了

(2)DCMがケーヨーにTOB

(3)ウェルシアの動向

(4)アメリカ連邦取引委員会がアマゾンを提訴

(5)セブン&アイ、ネット通販専用PB

3、メーカーのチャネル戦略、

(1)日立、家電に「指定価格」

(2)花王の構造改革

4、その他

(1)酒税改正

 

 秋学期が9月22日から始まりました。最初の1~2週間は、教室になじむこと(機器が教室によって違う)や受講生になじむことが必要でなんとなく落ち着かなく、疲れることが多いのです。そんな時間が過ぎて、少し落ち着いてきました。

 気候もようやく秋の気候になってきて、過ごしやすくなってきました。夜もようやくエアコンなしで寝ることができるようになってきて気持ちよく寝る事ができるようになってきたのではないでしょうか。

 そして、秋といえば食欲の秋でもあります。涼しくなると美味しい物も増えます。これから体の調子も良くなり、美味しいものも増え、快適な気候になります。秋をエンジョイしたいものです。

 

 

1、 社会・消費者動向

(1)100歳以上、9万2139人

 敬老の日、厚生労働省は全国の100歳以上の高齢者が過去最多の9万2139人になったと発表しました。全体の88.5%は女性(8万1589人)で、男性は11.5%(1万550人)でした。最高年齢は116歳だそうです。人口10万人当たり100歳以上の高齢者は73.7人でした。「人生100年時代」などといわれていますが、100歳以上のかたが9万人以上いることに改めて驚きました。なお、22年の平均寿命は女性87.09歳、男性81.05歳でした。

 私の兄弟を見ていても普通に生活していれば、80歳までは生きるんだな~と実感しています。

(2)マーケティング従事者のチャットGPTの利用率は65%

 調査会社のアイブリッジは7月、従業員100人以上の企業に在籍するマーケティング業務に従事する課長以上の役職者に対して調査しました。446人から有効回答を得ています。

 その結果、チャットGPTを知っているかに対して、知っていると回答した人の利用状況は仕事で使ったことがある人は13.5%、プライベートで使ったことがある人は22.8%、仕事でもプライベートでも使ったことがある人は37.6%でした。合計すると、利用率は73.9%でした。チャットGPTを知らないと答えた人も入れるとマーケティング従事者のチャットGPTの利用率は65%になりました。

 高い利用率ですが、仕事ではどんな目的で利用したのかを聞いているのですが、一番多いのは「自社商品・サービスのレビュー分析」で次が「ニュース記事やブログのまとめ」でした。その次は「調査結果の分析」とか「購買データの分析」とかでした。結構、情報の整理とか分析に活用しているんだということがわかりました。これからさらに活用が増えていきそうですね。

 

2、小売業・卸売業の動向

(1)そごう・西武百貨店がフォートレスに売却完了

 9月1日、セブン&アイは、そごう・西武百貨店をフォートレス・インベストメント・グループに売却しました。売却を決めてから、その実行まで半年以上かかりました。最後まで、利害関係者の理解は得られないままだったのではないでしょうか。

 そごう・西武の企業価値は、2200億円だそうです。そして、有利子負債は2938億円。この2938億円の負債の内、セブン&アイが貸し付けていた916億円をセブン&アイは放棄しました。そのため、負債は2022億円になったけです。

 セブン&アイが、このそごう・西武の企業価値(2200億円)から負債を引き算し、その他の調整額を引き算すると、実質的な株式譲渡額は8500万円だったそうです。セブン&アイは8500万円でフォートレスに売却したわけですが、フォートレスから得た買収資金約2200億円で、有利子負債の2022億円を銀行に支払ったのです。これでセブン&アイは、そごう・西武関係の負債はゼロとなったわけです。もちろん、2024年2月期の決算では、百貨店譲渡関連損失として約1331億円の特別損失を計上するそうです。セブン&アイとしては、これで百貨店問題はなくなり、百貨店を巡る負債もなくなるわけです。

 一方のフォートレスは、3メガバンクからつなぎ融資として、2300億円を借りて、セブン&アイに買収資金を支払い、直ちにヨドバシカメラにそごう・西武の資産の内、西武池袋本店やそごう千葉店、西武渋谷店の土地や建物の一部、そごう・西武子会社の株式などをヨドバシに3000億円弱で売却しました。そのため、フォートレスは、わずか1日で700億円の利益をあげた可能性があります。そして、ヨドバシカメラは、西武池袋本店、西武渋谷店、そごう千葉店に出店予定のようです。

 このようにセブン&アイにとっては、長年の課題であった赤字の百貨店事業を売却でき、フォートレスは利益をあげ、ヨドバシカメラも都心の希少な駅前の土地を取得し、3社ともにメリットがあったようです。

 従業員・百貨店のある地域の方々・出店しているハイブランドの店などは、この売却劇に不賛成の方も多かったようです。セブン&アイもずいぶんと評判をおとしました。

 さて、買収後のフォートレスはそごう・西武の再建に600億円を投じると報道されています。西武池袋本店400億円、他の店舗に200億円を投じて、そごう・西武を再建するというのです。ファンドですから、再建して、再上場させて儲けるつもりか、再建といって、途中で切り売りしていくのか、どちらかではないかと思うのですが、はたしてどうなるのでしょうか。

(2)DCMがケーヨーにTOB

 ホームセンター大手のDCMホールディングスがケーヨーに対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表しました。約523億円を投じて完全子会社化を目指すそうです。

 DCMは現在、ケーヨー株の31%強を保有しています。買い付け価格は1株1300円。ケーヨーの終値の821円を58%上回っています。買い付け期間は、10月2日から11月14日まで。TOBが成立した場合は、ケーヨーは上場廃止になります。DCMは、ケーヨーを完全子会社とし、PB商品を強化したい意向です。

 ホームセンターとドラッグストア業界は、再編がさらに進むことが予想されているので、このような買収・合併・経営統合がこれからも続くものと予想されます。

(3)ウェルシアの動向

 ウェルシアの松本社長は、「東南アジアを含めて頭一つ抜けるには3兆円の売上が必要になる」(9月19日:日本経済新聞:ニュース一言)と発言しています。当然、その実現のためにはM&Aが必要になります。これからもドラッグ業界のM&Aからは目が離せないのですが、ウェルシアが主役の一人であることは間違いないようです。

 そのウェルシアは、食品の販売にも注力していくそうです。現在のウェルシアの売上高に占める食品の売上比率は22%ですが、これを2026年2月期をめどに約30%に引き上げる計画をもっています。

 その実現のために九州に「ウェルシアプラス」を作りました。ウェルシアと九州イオンが協力して、ドラッグとスーパーの複合店を作り始めたのです。24年2月期中に熊本県や福岡県に5店舗出店するそうです。約1500㎡の売場で食品が3割を占めるというのが標準のようです。この複合店でノウハウを貯めれば、全国展開にでるかもしれません。

 また、ウェルシアは移動販売にも積極的に取組む予定で、2030年までに専用車両を現在の4台から200台にするそうです。年内に20台増やすそうです。食品・化粧品・医薬品など約600品目を積み込んで、実店舗の従業員が運転して、回るそうです。そして、大型モニターを設置して、店舗の薬剤師や管理栄養士と移動先の消費者をオンラインでつないで、健康相談、服薬指導などをするようです。これも注目される試みです。

 ウェルシアの積極的な動きが目立っています。

(4)アメリカ連邦取引委員会がアマゾンを提訴

 アメリカの連邦取引委員会(日本の公正取引委員会)がアマゾンを反トラスト法(独禁法)違反の疑いで提訴しました。

 連邦取引委員会が問題にしている点は以下の通りです。

➀販売サイトに出店している小規模事業者に高額の手数料を請求してること。

➁事業者が他の競合サイトで安く販売した場合に、アマゾンのサイトでは検索しづらくするといった不利益を与えている。

➂アマゾンが自社商品を優先的にサイトの見えやすい位置に掲載する点も問題点。

④アマゾンにビジネス継続を依存する何十万の事業者は月額の手数料に加えて、広告料などの支払いも求められる。多くの事業者は、こうした費用の総額が総収入の50%近くに及ぶ。

 連邦取引委員会のこれらの指摘は、独占的な地位を乱用し競争を阻害し、消費者や出店する中小事業者に不利益をもたらしているという主張です。日本流に言えば、「優越的地位の濫用」行為です。この連邦取引委員会の提訴によって、アマゾンの株価は4%下落しました。もしも、裁判でアマゾンが敗訴すれば、アマゾンはビジネスモデルの修正を余儀なくされるでしょう。

(5)セブン&アイ、ネット通販専用PB

 セブン&アイは、ネット通販専用のPBを開発し、販売します。「イトーヨーカドーネットスーパー」を通じて販売します。24年度内に約1000品まで増やす計画です。

 商品には、取り外して捨てる手間を省くラベルの付いていないお茶や水、家庭向けに大容量の冷凍食品などを用意する予定のようです。ヨーカドーによると「付加価値の高い商品やお得感のある大容量品などを通じて新たな顧客を開拓する」のだそうです。いずれにしてもネット通販専用のPBを小売業が開発するのは珍しいのではないでしょうか。

 

3、メーカーのチャネル戦略

(1)日立、家電に「指定価格」

 日立が9月26日、家電の販売価格を指定する制度を国内市場向けに始めると発表しました。11月以降に発売する洗濯機、冷蔵庫、掃除機、調理家電など白物全製品の約1割などを対象に価格をしています。その代り売れ残り品は日立が引き取ります(返品に応じます)「日立が在庫リスクを負うことで価格指定ができるようになる」と発言しています。

 パナソニックについで国内では2社目です。また、日立は「日立家電品正規取扱店」制度を10月4日から始めます。正規取扱店は日立が認定し、家電の販売から設置、修理まで手掛ける店舗です。すでに15000店が制度に参加する見込みで、指定価格品もこの正規取扱店に卸します。

 パナソニックがこの制度で利益を拡大してしているので、利益重視でパナソニックの真似をしていると考えられます。

 ただ、パナソニック、日立が価格競争から逃れるためにこのような制度をとると小売業のPB家電や海外メーカーの家電に需要が逃げていく可能性があり、パナソニックや日立のシェアが下がる可能性があります。

(2)花王の構造改革

 花王が収益の低迷にあえいでいます。2023年12月期に5期連続の最終減益になります。かつて19%あった自己資本利益率は23年12月期に予想で5.9%まで低下します。そのため、構造改革費用600億円を計上し、花王は構造改革します。

 第一に、8月に中国での紙おむつ生産を終了しました。現地企業との価格競争に陥り、生産撤退に追い込まれたのです。この費用に80億円がかかります。

 第二に化粧品です。18年から50あったブランドを段階的に縮小してきましたが、今も30のブランドがあります。このうちの19ブランドに資源を集中し、残る10ブランドについては廃止、ブランドの統合、ブランドの売却などを考えているようです。その一方で、「モルトンブラウン」や「センサイ」、「キュレル」などは海外での販売地域を拡大していくそうです。この費用に50億円を想定しているようです。

 その他に、工場の生産体制の見直し、各事業領域での選択と集中を行うものと思われます。花王が再び輝くためには、早めに膿を出して、技術力を背景とした商品差別化を徹底できるかどうかにかかっているのではないでしょうか。

 

4、その他

(1)酒税改正

 10月1日の酒税改正で、350mlあたりの税額が、第三のビールは約9円上がり46.99円になり、ビールは70円から63.35円に下がります。ビールの350ml缶は店頭で6円ほど安い225円前後になる見込みです。第三のビールは、店頭価格が182円程度にあがります。そのため、第三のビールからビールへと需要がシフトするのではないかと想定されています。

以上