「流通雑感 臨時号NO.12」2025年 3月20日
「流通雑感 臨時号」は、住谷ゼミのOBOGの皆さんに読んでいただこうと思って発行するものです。
《近況》
*角谷比呂志「准教授麻子の事件簿2~教務課女子職員殺人事件~」がkindleストアから発売中です。
*初めてスポーツ吹き矢の船橋市大会に出場しました。6m、8m、10mと持っている資格によって、出場する部門が違います。私は、まだ2級なので6mに参加。結果は第2位でした。1位の人と6ラウンドの合計点数は同じでした。とても調子が良かったのです。今年中に初段になるのが目標です。
*日本で最初にふぐ料理の資格をとったのが下関の春帆楼です。なんとこの料理屋は、日清戦争を終わらせる日清講和条約が締結された場所でもあります。先月、そこにフグを食べるために行ってきました。翌日は嬉野温泉でのんびりさせていただきました。今月は、蟹をたべるために(タグ付きのズワイ蟹2杯)に福井県や石川県に行ってきました。
*もうすぐ花見のシーズンですね。
1.社会・消費者について
(1) キャベツ3倍、米7割高
(2) 「ドローンの町」千葉県東庄町
(3) 出生数最小、72万人
(4) マミートラック
(5) オンラインカジノの利用は違法
2,小売業について
(1)セブン、混沌と。
(2)アマゾン、売上高世界一か?
(3)ワークマン、「迷走」か、「進化」か
(4)トライアルHDが西友を買収
(5)イオン、宅配網で広告ビジネス
3,消費財メーカーについて
(1) レジ横でつるして販売するアツギの靴下・肌着
(2) 味覚糖、グミ市場で1位に
4,その他
(1)「テスラ買うな」全米でデモ
(2)フィッシュ・アンド・チップスの店舗閉鎖相次ぐ
1、社会・消費者について
(1)キャベツ3倍、米7割高
1月の消費者物価指数によると、前年同月比で、キャベツが2.9倍、白菜2.1倍、米7割プラスでした。生活実感に近い生鮮食品を含む総合は4.0%に上昇し、2年ぶりに4%台になりました。日頃手に取る野菜やコメの価格上昇は、消費者行動を節約志向に走らせるように思われます。加工食品も次々と値上げです。節約志向は当分続きそうです。
(2)「ドローンの町」千葉県東庄町
千葉県の東端に位置する東庄町は一般社団法人 国際ドローン協会と組んで、ドローンの町にしようと実験を重ねています。
・ドラッグストアの日用品を町内の個人宅に配送する実験
・中学生の下校の見守り実験
・災害時の輸送手段として活用する実証事件
次々と実験をしているのですが、すでに実用化に成功しているのが、水田の農薬散布です。従来はヘリコプターで一斉散布をしていたのですが、今ではドローンで正確な散布をしており、1反あたり1000円ほどの経費削減にもなっています。
次には、日用品のドローンによる配送を実用化するために、注文から配送までのプロセスや規制など細部を詰めているところです。
このようなドローンの活用を始め、人口減少地帯では、無人バスの運行が強く求められます。無人バス、無人タクシーが運用され、ドローンも活用されれば、過疎地の生活も便利になると思います。トヨタにも頑張ってもらいたいものです。
(3)出生数最小、72万人
2024年に日本で生まれた子供の数は(外国人を含む出生数)前年比5.0%減の72万988人でした。9年連続で過去最少を更新しました。日本人だけに限れば70万人を割る公算が大きいそうです。少子高齢化に歯止めがかかりません。結果的には、現役世代の社会保険料はさらに重くなるでしょう。出生数は10年前に比べて約3割減少しました。
(4)マミートラック
「マミートラック」「ワンオペ育児」「チャイルドペナルティー」これらの言葉は働く女性が子供を出産した後に起こる現象を表現したものです。こんなに用語が増えていることに驚きました。
「ワンオペ育児」・・・一人で一日育児をすること。
「マミートラック」・・・仕事と子育てを両立する女性の昇進が制限されたり、キャリアが狭められること。
「チャイルドペナルティー」・・・出産や育児によって賃金や就業率が下がること。
育児休暇が普及してきても、これらのことが起きているようです。大和総研は2024年、第1子の出産を機に女性の賃金や就業率がどのくらい減ったかを調べました。16~23年に毎年5万人前後の就業状態や所得を追跡調査したデータを分析したところ、女性の賃金は出産1年前と比べて54.8%減少し、8年たっても回復しなかったそうです。正規雇用者に限っても2割賃金が減っていたそうです。
今は、結婚しても夫婦で働くのが普通になっています。それにも関わらず出産するだけでマミートラックやチャイルドペナルティーが待っているようなら、女性だって考えますよね。なんとかしないとますます出産する人は減りそうです。困りました。
(5)オンラインカジノの利用は違法
OBOGの皆様、海外のオンラインカジノに接続するのは違法です。にもかかわらず約337万人が利用しているそうです。その4割が違法であることを認識していなかったそうです。
ただ、オンラインカジノをやった人は、開始から借金するまでの期間が「1週間以内」30.1%、「1か月以内」33.3%です。違法の上、借金しやすいようになっています。皆様、オンラインカジノに手を出さないように十分に気を付けてください。
2,小売業について
(1)セブン、混沌と。
セブン&アイの成長戦略の姿が見えません。
ヨークHD(イトーヨーカ堂、ヨークベニマルなどのスーパー、飲食業など)の買収の優先交渉権をベインキャピタルが得ました。出資比率などについて3月末までの合意を目指すのだそうです。ベインが買収したとして、どのようにイトーヨーカ堂などの再建を行うのでしょうか?それもさっぱりわかりません。
セブン&アイはセブン銀行への出資比率も引き下げようと検討をしているようです。これも疑問です。なぜ、そうする必要があるのでしょうか?
その上、肝心のセブンイレブンの業績は必ずしもよくありません。その将来は、➀創業家主導の株式非公開化、➁ACT(アリマンタシォン・クシュタール)の傘下入り、➂単独による現経営体制の維持、という3つの方向のどれにするのかが決まっていません。これも混沌としています。5月末の株主総会までに決まるのかどうか?
その後、伊藤忠が出資をしないことになり、創業家主導の株式の非公開化は断念することとなりました。そのため、➀ACT(アリマンタシォン・クシュタール)の傘下入り、➁単独による現経営体制の維持、のいずれかになりました。ACTは日本事務所を作りを準備していて、情報収集に余念がなく、セブン買収にむけて本格的に動き始めています。
さらにその後、井坂社長が退任することになりました。創業家の伊藤氏と一緒に株式非公開化案を進めてきた責任をとるという意味もあるようです。後任には、スティーブン・ヘイズ・ディスカス氏がなるようです。セブンの特別委員会委員長をしていた方です。この人を社長にして、買収案に対抗しようとしているのです。
そして、株価を上げるために、30年度までに2兆円の自社株買いを表明しました。また、アメリカのセブンイレブンをアメリカで株式上場し、その株を一定数売却して資金を得ながら、一定の株式は所有するようです。さらに、株の配当もこれから上げていくと表明しています。ただし、不透明な部分が多く、5年間で2兆円といわれてもスピード感が全くありません。その上、これからのセブンイレブンのどこを改革するのかを何も言わないところが物足りなさを感じさせます。おそらく単独による現体制の維持(社長は交替しました)になるものと考えられますが、スピード感のなさは致命的になるのではないかと考えています。
また、ACTはあくまで買収をあきらめないと表明しています。一体、どうなるのでしょうか?
その上、セブンイレブンの「弁当嵩上げ疑惑」で消費者は、セブンに対して疑惑の目を向けています。セブンイレブンの業績も必ずしも良くなく、将来の姿も見えません。まさに混沌としているとしか表現ができません。
(2)アマゾン、売上高世界一か?
ウォルマートの24年11月から25年1月期決算は売上高が前年同期比4%増加の1805億5400万ドル(約27兆円)でした。アマゾンの24年10月~12月期の決算では売上高が1877億9200万ドルでした。そのため、直近の四半期決算ではアマゾンが売上高世界一だということでニュースになっています。1年間の売上高でもアマゾンが1位になるかもしれないのです。2014年以降、ウォルマートは世界一の小売業を守ってきていますので、アマゾンが通年で1位になれば、大きな変化です。
そのアマゾンは、24年12月期にAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)がアマゾン全体の売上高の17%、営業利益の58%を占めています。AWSのアマゾン全体への貢献は非常に大きいものがあります。アマゾンも単に小売業だけと評価しにくい点もありますが、ウォルマートからアマゾンへという大きな変化生まれそうです。
(3)ワークマン、「迷走」か、「進化」か
「ワークマン女子」はなくなります。すべて「ワークマンカラーズ」になります。これが「迷走」なのか「進化」なのか。皆さんはどちらだと思いますか。
「ワークマン女子」は21年3月期では前期比で客数は2割増えたそうですが、23年から既存店売上高が前年同期比で減少し始めていたのです。そんな時、23年にワークマン女子から改称してワークマンカラーズを銀座に開いたら、従来より男性客が1~2割増え、全体の客数も3割伸びたそうです。これがきっかけになりワークマン女子をやめて、ワークマンカラーズを展開しようと意思決定されたようです。
「ワークマンカラーズとなって初めてカジュアル衣料の戦略が固まった。地方、男性客、ロードサイドを重視し、都市部を攻める他のアパレルとは逆張りで出店していく」と土屋常務は述べています。
カラーズは、2032年までに400店に広げる計画です。しまむらの約1400店、ユニクロの約800店を超える1500店(ワークマンなどを含めた現状の店舗数は約1000店)体制を目指すのだそうです。
夢は大きく、期待されますが、カジュアル衣料には多くのライバルがいますので、果たして計画が実現するかどうかはわかりません。とても難しい分野にでたものだな~と思います。
(4)トライアルHDが西友を買収
トライアルHD(本拠地は九州)が、7月1日付けでKKRとウォルマートから株式をすべて買い取ることがわかりました。買収金額は3826億円。トライアルは、現在、約340店舗、売上高約7000億円です。西友を買収すると国内小売業でローソンを抜いて第7位に躍進します。小が大を飲み込む買収です。
トライアルといえば、デジタル技術をフルに活用していることで定評があります。これからトライアルは急成長しているロピアと共に、日本の小売業(スーパー業界)を変えていく可能性があります。
(5)イオン、宅配網で広告ビジネス
イオンは、「グリーンビーンズ」の配達網を使って、広告事業を始めます。広告主のメーカーから試供品の提供を受けた後、効果のありそうな消費者を選び、グリーンビーンズの配送の際に配送員が手渡しします。
消費者は、同封のQRコードから専用サイトに入り、試供品の評価をイオン送信します。イオンは、消費者の個人情報を保護しつつ、反応や意見を分析して広告主に伝えます。広告主は、購入履歴から、消費者が新製品に移行したか、固定客になったかも確認できます。
グリーンビーンズは2023年7月から開始していますが、首都圏に最大、会員が40万人強います。広告主は、試供品を配達する地域や期間を指定し、それに伴う広告料をイオンに支払います。試供品の対象は、食品か日用品が基本になります。
小売業者による広告はITを使うのが一般的で、対面販売の強みを生かすイオンの手法は珍しく、広がる小売広告に刺激を与えそうです。
3,消費財メーカーについて
(1)レジ横でつるして販売するアツギの靴下・肌着
綜合スーパーの衣料品売り場の縮小が相次いでいます。そこで、アツギは靴下・Tシャツなどの包装サイズを従来の4~6割程度に抑え、食品スーパーのレジの横でつるして販売してもらい、会計を待つ客のついで買いを狙うそうです。販路拡大の方法の一つですね。小型包装の肌着は14品目だそうです。第一に、食品スーパーがレジの横につるしてくれるかですね?第二に、たとえつるしてもそれが売れるかどうかですね。今やコンビニにも靴下や肌着が売っているんですよ。その上、食品スーパーのレジも変化していますので、果たして成功するでしょうか?個人的にはとても興味を持っています。
(2)味覚糖、グミ市場で1位に
グミ市場は、年々拡大しています。2024年は前年比17%増の1138億円で、7年前の2倍の規模になりました。ガム市場は600億円規模で横ばいなので、グミ市場はガム市場の約2倍になってきています。
そのグミ市場で味覚糖は、24年に小売店での売上高が前年比45%増の189億円となり、首位になりました。22年や23年は3位だったのですが、一躍首位になりました。
味覚糖のグミの2大銘柄は、ハードな食感の「忍者めし」と果実のみずみずしさを再現した「コロロ」です。どちらも新製品が次々と出てくるのが特徴です。新製品は24年に約100種類出ています。24年は忍者めしが前年比2.3倍、コロロが前年比1.5倍と売上高を伸ばしました。
その勢いで、味覚糖は27年に福島に新工場棟を作る予定で、生産力を強化し、海外にも進出する計画です。コロロは東南アジアや韓国などで販売します。25年春からはアメリカ向けの輸出を開始しました。味覚糖の勢いは止まらないようです。
4,その他
(1)「テスラ買うな」全米でデモ
イーロン・マスク氏に講義するデモが全米に広がりつつあります。米政府効率化省を率いるマスク氏はすでに10万人を超える早期退職者や解雇を生み出しました。さらに数万人を解雇ないし早期退職に追い込むようです。このような過激な方法に反対するアメリカ人が増えています。
ピュー・リサーチ・センターが1月27日から2月2日に実施した調査によると、アメリカ人の過半数がマスク氏に否定的な見方をしていることがわかりました。
マスク氏への講義デモは、カリフォルニア州、ニューヨーク州、ワシントン州、テキサス州など全米数十か所に広がっています。特に、テスラの販売店の前に数百人が集まって、マスク氏への講義の声をあげる事が多いそうです。「アメリカからマスクを追放する」「政府効率化省にノー」「ナチスの車だ」いろいろな抗議の声が上がっているようです。
これがテスラの業績にも影響を与えそうです。1月下旬、テスラの株は19%下落しました。1月のテスラの世界販売台数は前年同月比で17%減りました。販売台数への影響はさらに出そうです。
(2)フィッシュ・アンド・チップスの店舗閉鎖相次ぐ
イギリスの国民食といえば、フィッシュ・アンド・チップスですが、商品の平均価格が3年間で36%も上がって、客離れもあって、フィッシュ・アンド・チップスのお店の閉店があいつでいるそうです。原材料費の値上がりが厳しいようです。
あのフィッシュ・アンド・チップスが1皿8ポンド(約1500円)以上もしたら、食べないと思うな~。英国に留学していた時に何度も食べましたけど、お手軽な値段のファストフードだと思っていたのですが。私の口には合いませんでしたが。
以上