「流通雑感 臨時号NO.14」2025年 5月20日 | 流通雑感のブログ

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「流通雑感 臨時号NO.14」2025年 5月20日

 

「流通雑感 臨時号」は、住谷ゼミのOBOGの皆さんに読んでいただこうと思って発行するものです。

《近況》

*先月の下旬、東北3大桜を見に行きました。運よく、天候に恵まれ、その上、角館の桜も弘前城の桜も満開でした。退職したら見に行きたいと思っていましたので、とても印象に残る旅となりました。角館の武家屋敷街の枝垂れ桜も見事でしたが、弘前城の桜には圧倒されました。その種類、桜の木の多さ、1本1本の大きさ(古木)、見事でしたし、圧倒されました。弘前城公園の整備のための市役所の職員が40人以上いるそうです。手入れも見事です。できることなら数年後にまたいきたいと思っています。

*5月は沖縄に行ってきました。HIYORIというホテルが好きで、またHIYORIに行ってきました。日の入りに合わせて、プールサイドでチェロの演奏があります。その後、食事です。朝はプールサイドでヨガのレッスンがあります。妻はそれが好きで、今回も参加していました。全室スイートルームで70㎡以上はあるようです。心が開放されます。

*左手親指の腱鞘炎は良くなってきていますが、完治には至っていません。もう1か月くらいはかかると思って治療しています。

 

1.社会・消費者について

(1)日本の幸福度、22カ国中最下位

(2)高校の授業料無償化によって何が起きるのか?

(3)アメリカでは高学歴エリートは民主党支持か?共和党支持か?

2,小売業について

(1)   イオン10年間の変貌

(2)   イオン、ベトナムで出店攻勢

(3)   関西フードマーケトが低価格スーパー出店

(4)   郊外消費をつかむテナント戦略

(5)   三菱商事が、三菱食品を完全子会社化へ

(6)   セブンイレブンが無人配送の公道実験

3,消費財メーカーについて

(1)   「共振の経営」で成長するユニ・チャーム

(2)   味の素、次年度最高利益(連結純利益)1200億円

4,その他

(1)外食の二極化

 

 

1、社会・消費者について

(1)日本の幸福度、22カ国中最下位

アメリカのハーバード大学の調査(22か国に住む約20万人のアンケート調査)によると以下の結果になりました。

第1位:インドネシア 8.47(幸福度ランキング)

第2位:メキシコ 8.19

第3位:フィリピン 8.11

第4位;イスラエル 8.00

第5位;ナイジェリア 7.82

第15位:アメリカ 7.18

第20位;イギリス 6.88

第22位:日本 5.93

日本は楽観主義や自由、達成感などの多くの指標でスコアが最も低かったそうです。親しい友人がいると答える人が顕著に少なく、不安や心配などを感じる人が多かったようです。30~40代でスコアが下がり、女性よりも男性の点数が低かったそうです。なお、日本からは2万人が回答したようです。

(2)高校の授業料無償化によって何が起きるのか?

「26年度から世帯年収に関係なく、年45万7000円を上限に就学支援金を支給する」事が決まりました。いわゆる高校の授業料無償化です。

私は、本来は高校に入れる成績ではない生徒も高校生になるんだろうな~とか、ますます勉強しない高校生が増えるのかな~などと思っていました。でもそれだけではありません。  いち早く、高校無償化を始めた大阪府では、名門校の府立寝屋川高校の一般入試の倍率が0.94倍でした。1909年創立の名門校です。多くの中学生は授業料が無償ならと早く合否が出る私立を選んだのです。国に先行して高校無償化が行われた自治体で始まったのは受験生の「私立シフト」でした。24年春の入試で、大阪府では公立131校のうち半数近くが定員割れしました。

政府は、高校の授業料無償化の影響を十分に考えたのでしょうか?また選挙目当てだったのでしょうか?財源は大丈夫なのでしょうか?「無料化」「引き下げ」などは有権者に受けるのでしょうが、もっと真剣に影響を考えないといけません。

(3)アメリカでは高学歴エリートは民主党支持か?共和党支持か?

大森不二雄(東北大学名誉教授)氏の「米高等教育の危機 大学、思想の多様性を保て」(日経新聞4月28日)という文章を読んで驚きました。

私が、知識がないからと言ってしまえばそれまでなのですが、アメリカの2大政党の共和党と言えば富裕層が支持基盤で、民主党と言えば低所得者や黒人などが支持基盤だと持っていました。それが今や様変わりだというのです。

「民主党が労働者階級の政党から大卒以上の専門職・管理職などの高学歴エリートを主たる支持層とする政党へと変貌する一方、富裕層の政党とみなされてきた共和党が高等教育の学位を持たない白人非エリート層を主要な支持基盤とする政党となった」(大森)これが本当なら、どちらの政党とも混乱しているものと考えられます。今でも富裕層は共和党支持だと思うからです。今でも黒人は民主党支持だと思うからです。一つの政党さえ分断しているのかもしれません。それがアメリカの政治の混乱を引き起こしているのかもしれません。

 

2,小売業について

(1)イオン10年間の変貌

2015年のイオンと現在のイオンを比較するとどんな変化があるでしょうか。

➀15年2月期のイオンのドラッグストアはわずか980店、25年3月期には3000店を突破。今回のツルハとの経営統合で今期中に6000店突破。

➁15年2月期に2030店だった食品スーパーは、カスミやいなげやとの経営統合で25年2月期には5000店を超えました。

➂「まいばすけっと」は約1200店と倍増しています。

④総合スーパー事業の連結売上高比率は15年2月期び50%弱を占めていましたが、25年2月期には35%台に低下しました。

➄デベロッパー事業も、国内のモール数を見ると15年2月期の139から10年後に148で、この10年間は1年に1か所増加という穏やかな数字になっています。

大型店の出店を規制する法律の変化もあり、ドラッグや食品スーパー、ミニスーパーなどの小規模店に力をいれてきたために余計に大型店の成長が一段落したように見えます。

西友の買収もイオンかなと思っていたらトライアルという成長している小売企業でした。イオンの強引さ、力強さはなくなったようです。その一方で、着実に企業として成長していこうという姿も見えます。そんな10年間だったのではないでしょうか。

(2)イオン、ベトナムで出店攻勢

イオンは、現在、ベトナムでGMS12店、食品スーパー36店を展開していますが、30年ごろまでに大型スーパー(GMSやSSM)を100店に、食品スーパーは200店程度にする計画です。海外で成長しようという意思が読み取れます。

ベトナムは、人口が1億人を超え、若年層が多い事から、東南アジアの消費市場でも成長期待が高いようです。しかも、小売業は個人経営の小規模店が全体の7~8割を占めています。そのため、大型スーパー出店の絶好の機会なのです。

1月にイオンは、ハノイでGMS「イオン・スアントゥイ」を開業しました。特徴はイオン直営の総菜売り場だけで面積が1620㎡もあることです。これは食品スーパーの平均面積(1366㎡)を超えています。「家族で来店し、めいめいが好きなモノを選んで机を囲んで食べるのがベトナムの一大エンターテインメント」なのだそうです。そのため「イオン・スアントゥイ」にはイートイン用の席が3階だけで450席もあるそうです。

ベトナムの人の好みも把握しているようですし、大いに成長の可能性が高いですね。

(3)関西フードマーケトが低価格スーパー出店

23日、関西フードマーケットが大阪市内に初の低価格スーパーを出店しました。店名は「関西スーパーディリーマート市岡店」です。現在、関西に低価格を武器にしたスーパーの出店が相次いでいるために、それに対抗するために出店したそうです。近隣には、ライフ、業務スーパー、ロピア、オーケーなどがあります。「衝撃プライス」と店頭販促(POP)を付けた食品はオーケーと同等の価格に設定しています。オーケーを意識した新型店と言えるでしょう。

(4)郊外消費をつかむテナント戦略

パルコ浦和店が好調です。2025年2月期は315億円と前年同期比で、11%増です。過去最高を2期連続で更新しました。パルコ浦和店のようにインバウンド需要がほぼない郊外店では地域の消費者の需要をいかにつかむかがカギとなります。

 パルコ浦和店では、3つのカテゴリーにテナントを分けて、その組み合わせを工夫しています。

 1つ目のカテゴリーは、日常の需要に応える店舗です。食品スーパーのヤオコー(地下1階)、上層階にある無印良品(生活雑貨店)、家電量販店のノジマが中心です。「これらの店舗が日々の集客の基礎となります」。

 2つのカテゴリーは、先端のライフスタイルを紹介し、新たな需要を開拓する店舗です。サラダを主食として提供する専門店の「ウィズグリーン」を24年10月に開店しています。25年4月には新品と中古の音楽レコードを扱う「ディスクユニオン」やビンテージの古着をそろえた「トップオブザヒル」が相次いで開店しています。都市カルチャーに強い「パルコらしさ」で周辺商業施設との違いを打ち出しています。

 3つ目が期間限定のポップアップストアです。特色ある書店を集めたストアや新興ブランドの衣料品店など多彩です。新たな発見を途切れなく提供し、来店や店内回遊の頻度を高める狙いがあります。

 25年2月期は年間で130店舗を開設しました。1か月で10店舗以上となります。これはパルコ全店で最も高い水準だそうです。

 パルコ浦和店は郊外の商業ビルにとってはとても参考になる商業施設です。人々の日々の買い物に応える店舗と新たな消費を開拓する店舗を組み合わせる戦略はとても参考になります。どんなとがった店舗を誘致するか、どんな店舗をポップアップ店舗として誘致するか、店舗を探し、誘致する人のアンテナと腕が業績を左右しそうですね。また、こういう商業施設なら定期的に行きたくなりますよね。

(5)三菱商事が、三菱食品を完全子会社化へ

三菱商事は、50.1%を出資している三菱食品(日本の食品卸売業としては売上高日本一)を、TOBを通じて完全子会社にすると発表しました。TOBが成立すれば三菱食品は上場廃止となります。三菱商事のグループには、ローソンやライフコーポレーションという小売業もあります。三菱食品の国内流通網を生かして三菱商事グループの国内の流通基盤をテコ入れする予定です。

三菱食品は、成長戦略として、日本食と日本食文化の輸出拡大を掲げています。それを実現するために三菱商事の海外顧客網を活用して事業を拡大する予定です。そのためには子会社となる方が、意思決定も早くなるように考えられます。また、三菱食品は海外での物流事業への参画も検討するそうです。日本の卸売業の強みである物流システムを海外で構築するのは夢があります。

三井物産も三井食品(卸売業)をすでに経営統合しています。食品流通の再編が動き出しているように思われます。しかし、総合商社の動きは早いと思います。買収騒動でオロオロしているセブンイレブンと異なり、すでにローソンもファミリーマートも株式は上場廃止になっています。買収を想定してのことでしょう。これからの食品流通の姿は、総合商社が作っていくのかもしれません。

(6)セブンイレブンが無人配送の公道実験

 セブンイレブンが同社として初となる公道での自動走行ロボットを使った無人配送の実証実験を始めます。東京都八王子市の京王相模原線・南大沢駅近くの2店舗で、26年2月末まで実証実験を行います。原則最短20分で届ける計画で、配送料が330円で午後8時まで注文を受け付けるそうです。配送ロボットは4台用意するそうです。1人の人が複数のロボットを遠隔で見守る仕組みです。公道ではロボットは無人で走行します。

 果たして需要はあるのでしょうか。ロボットは無事に注文した家に行けるのでしょうか。課題はまだまだあると思いますが、実験してみる事はいい事だと思います。

 

3,消費財メーカーについて

(1)「共振の経営」で成長するユニ・チャーム

ユニ・チャームは、24年12月期の連結決算は売上高9889億円、営業利益率14%(花王の営業利益率は9%)で、25年12月期には売上高で1兆250億円と初めて1兆円を超える見通しです。社員数は1万6000人に達し、8割は外国籍です、海外売上高比率は6割、世界約80カ国・地域に展開しています。

このグローバル企業がなぜうまくいっているのか?答えは複数あるのでしょうが、その一つとして「共振の経営」を指摘する事が出来ます。共振の経営とは「経営層は現場の生の情報に触れ、現場の従業員は経営層の視点を学ぶ」ことだそうです。違う言葉で表現すると「双方の知恵や工夫が振り子のように共鳴し合うことで全社員が一丸となって共通の目標に向かうことを共振の経営と表現した」のだそうです。

「現場の従業員が経営層の視点を学ぶ」ことのひとつに、社長のカバン持ちを幹部候補生がおこなっている。社内外の会合や出張まで同行する制度です。経営層の考え方を肌身で学ぶ機会になり、累計で60人強が参加し、一部は実際に幹部社員になっています。

また、「創業精神を具体的に学ぶ機会が少なかった」ために共振館を建設した。最大の特徴は、失敗事例を詳しく、写真や実物と共にパネルで展示しています。いずれも参入から撤退にいたった経緯まで細かく説明している。その失敗事例とは、「ゴールドタワー」「どんちゃか才能教室」「アカデミック ユニ・チャーム」などです。「創業者の理念や過去の失敗、成功の歴史を社員が体感して具体的に学べる」場所として共振舘は機能しているようです。

また、8割の外国籍の社員にも同じことをするように努めています。たとえば、海外の幹部社員を集め、共振舘や工場などを見学してもらって、その後、茶道に取り組んでもらったりしている。海外の社員にも経営理念を伝えようと努力しています。

このようなユニ・チャームの人材教育が順調な成長(25年で売上高5倍)の要因の一つであることは間違いないと思います。

(2)味の素、次年度最高利益(連結純利益)1200億円

味の素の25年3月期の連結決算は、売上高1兆5305億円(前期比6%増)、純利益702億円(前期比19%減)でした。

また、26年3月期の連結決算の予想では、売上高1兆6180億円(前期比6%増)、事業利益1800億円(前期比13%増)で、連結純利益は1200億円(前期比71%増)だそうです。

事業別にみると、ヘルスケア等の事業は、事業利益170億円の増益です。生成AI向け半導体の電子材料が好調なのです。味の素は単なる調味料会社ではなく、他企業へ販売している電子材料がずいぶんと貢献しているのです。調味料・食品事業部は50億円の増益です。冷凍食品事業は19億円の増益です。このように見てくると味の素の電子材料の利益貢献度が高い事がわかります。実は、食品も甘味料を他企業に販売しています。そのシェアも高く、味の素は単なる消費財メーカーではないのです。そのような視点で味の素を見る事も必要ではないでしょうか。

 

4,その他

(1)外食の二極化

外食産業では、ファストフード店が好調なのですが、居酒屋の売上高は、まだコロナ前の6~7割と低迷しています。

一方、消費者の側から見ると、2024年に2人以上世帯の支出額はインフレもあって過去最高になりました。コロナ前に比べて9%増です。対照的に単身世帯は右肩下がりでコロナ前のレべルに戻っていません。実質ベースでコロナ前の83%です。

お酒を大量に飲む人が減少していますし、お酒自体を飲まない人も増えていますから居酒屋は苦しいかもしれません。職場でお酒を飲みにいくことも少ないようですね。また、インフレになっていますので年金暮しの単身者は厳しいので外食を控えているのかもしれません。

                                      以上