「月刊 流通雑感」NO.212、2022年 5月号 | 流通雑感のブログ

流通雑感のブログ

ブログの説明を入力します。

「月刊 流通雑感」NO.212、2022年 5月号

 《目次》           

1、 社会・消費者動向

(1)  総人口、64万人減

(2)  家計の金融資産、初の2000兆円台

(3)  孤独感に関する初の政府調査

(4)  英国、急激な物価高による貧困の悪化

2、 小売業・卸売業の動向

(1)成城石井、株式上場へ

(2)二酸化炭素排出量が服の選択基準になるか?

(3)ワールドとTSIはアップサイクルで協力

(4)ファミマ、電動キックボード貸し出し

(5)ワークマン、EC宅配全廃

(6)ローソン、全国で無印良品を販売へ

(7)「サミット検定」

(8)「セブンプレミアム」初の前年割れ

3、メーカーのチャネル戦略、

(1)メーカーの値上げの難しさ

(2)固定費削減型チャネル戦略

4、その他

(1)K-POPに日本人が増加中

(2)クレジットカード不正利用、過去最悪の330億円

(3)欧米で進む社会の分断

 

新学期が始まりました。

久し振りに教室で授業が行われています。

ゼミのグループ研究は、教室でグループごとに話し合ったり、調べ物をしたりしているのですが、とても楽しそうです。あまりにも賑やかで他の教室に迷惑かもと思って、思わずドアを閉めたりしています。それにしても笑顔、笑顔で。教室でやることの大切さを痛感させられます。

その一方で、コロナの感染者数が増えています。私のゼミでも、先週、コロナの感染者が出ました。換気に気を配り、微熱があるなど体調の悪い人は自宅療養してもらいながらなんとかゼミを行っています。GWの後、どうなりますやら。また、感染者数がどっと増えないといいのですが。

皆さまも十分に注意しながら、GWを楽しんでいただきたいと思います。

私は、人事があって、業績審査報告書を書かないといけないトホホなGWです。

1、社会・消費者動向

(1)総人口、64万人減

 2021年10月1日時点の人口推計が総務省によって発表されました。

 総人口は1億2550万人で、1年前と比べて64万人の減少でした。生産年齢人口(「15歳~64歳」は総人口の59.4%で過去最低を更新しました。65歳以上の高齢者は、総人口の28.9%でこれも過去最高です。出生児数は83万人、死亡者数は144万人、出生児数が死亡者数を下回る自然減は15年連続です。

 やはり出生児数の増加が待たれますね。どうしたら出産が増えるのか?改めて考えてみる必要があるように思います。

(2)  家計の金融資産、初の2000兆円台

 日銀が発表した2021年10~12月の資金循環統計によると、21年末で家計の金融資産は、前年同期比で4.5%の増加で、2023兆円と初めて2000兆円台に乗せました。最も多かったのは、現預金で1092兆円、全体の54%でした。アメリカは現預金の割合が1割、ユーロ圏が3割となっていて、日本の現預金比率の高さが目立っています。

 なぜ、このように家計の現預金が多いのでしょうか?その理由としては、➀上がらない賃金(過去30年間で、アメリカの名目平均年収は2.6倍、ドイツやフランスは2倍程度、日本はわずか4%の増加)、収入が増えないので節約をするという説明です。➁将来不安、少子高齢化で若年層を中心に社会保障への不安が根強く、節約志向になるというのです。おそらく将来、消費税は上がるでしょうし、年金は少なくなるというのが日本人の共有認識ではないでしょうか。したがって、預金しておきたくなります。

 さらには、その預貯金を預かる金融機関が投融資に回せば日本経済は活性化するはずなのですが、その金融機関の預貸率が2021年3月末で58.1%まで低下しているのです。彼らはひたすら国債に資金を振り分けているのです。そのため、日本経済は活性化しないのですが、マイナス金利では融資してもあまり儲けないのですから積極的になれませんよね。

 そのため、「豊かさなき2000兆円」は、日本経済の停滞を映し出していますし、果たしてマイナス金利政策が正しいのかという疑問の声も上がっています。

(3)孤独感に関する初の政府調査

 全国の16歳以上の2万人を無作為抽出。2021年12月時点での状況をたずねました。有効回答は1万1867人(回答率59.3%)でした。

 「孤独だと感じることがあるか」という質問に対して、「しばしば・常にある」(4.5%)、「時々」14.5%、「たまに」(17.4%)でした。この「しばしば・常にある」、「時々」、「たまに」を合計すると36.4%です。これが高い数字なのかどうかは、初の調査なのでわかりません。ただ、「しばしば・常に孤独を感じる」という割合を年代別にみると、20代(7.7%)、30代(7.9%)なのに、70代が1.8%なので、若い世代の方が高い事を問題にする報道もありました。しかし、70歳代は若者が言う孤独に慣れているとも解釈できますから、一概にそのような理解をするのもどうかと思います。

 初の調査なので、数年後の調査結果が待たれます。

(4)英国、急激な物価高による貧困の悪化

 英国で急激な物価高による貧困の悪化に懸念が広がっています。4月から電気・ガス料金は平均5割上がり、他にも食料品や衣類などあらゆる品目が値上がりしています。電気・ガスについては、標準家庭のモデルケースでは年間で693ポンド(約11万4千円)上がり、1971ポンドになりました。ガソリンの全国平均小売価格は1年前より約3割高くなりました。ミネラルウォーターは16%、衣服11%など2桁の上昇も目につきます。

 支出の10%以上をエネルギーが占める世帯数の数は、250万から500万世帯へと倍増したそうです。この物価高によって、所得が最低生活水準を下回る市民は数百万人増えるという推計も出ています。

 日本は英国ほど急激なインフレではないように思いますが、インフレが進行していることは事実です。このインフレは低所得者にとっては深刻です。ロシア・ウクライナの戦争が一刻も早く終わって、インフレもゆるやかになってくれるといいのですが。

 

2、小売業・卸売業の動向

(1)成城石井、株式上場へ

 ローソンの完全子会社である成城石井を、2022年度中に東京証券取引所に新規上場する予定であることが報道されました。ローソンは成城石井を2014年に約550億円で買収しました。その成城石井は、22年2月期で売上高が1092億円、純利益は73億円と、ローソンの子会社で最も稼いでいます。

 そのローソンを新規上場すると時価総額は2000億円を上回る可能性があるそうです。ローソンは持ち株比率を50%以下にする予定です。上場によって得た利益をどのように使うかはわかっていませんが、22年2月期のセブンイレブンの広告宣伝費が455億円で、ローソンは109億円なので、広告宣伝費にもう少し資金を使うようになるのかもしれません。資金の使途は不明ですが、先行投資する資金ができる事は確実ですので、今年の後半からのローソンの事業展開は注目されます。

(2)二酸化炭素排出量が服の選択基準になるか?

 日本総合研究所の試算によると、国内に供給される衣類から排出されるCO2は、原材料調達から廃棄まで年間9500万トンにのぼることが報告されてます。世界のファッション産業の排出量の4.5%に相当する規模でファッション業界は環境負荷が大きい産業と

なっています。

 このような状況の中で、フランスでは新品の服を企業が廃棄することを禁止する規制が始まりました。そのため、脱炭素社会の実現には、消費者が負荷の少ないものを正しく選べるようにすることが大切だという認識が広がってきています。

 そのため、日本のアダストリアは新ブランド「オー・ゼロ・ユー」で素材から商品ができる工程で出るCO2排出量と水の使用量を表示します。このような先端的な取り組みが消費者に評価されて、このブランドが良く売れたら、多くの商品がこのような表示になるのでしょうが、果たしてどれだけの消費者の支持がえられるのでしょうか。日本の消費者はまだ欧米に比べて環境意識が低いという認識があります。

 アパレルの企業は、アダストリアのような取り組みをすると同時に消費者に対する情報発信も強化する必要があるものと考えられます。

(3)ワールドとTSIはアップサイクルで協力

 環境問題で、ワールドとTSIはサステナブル素材を使った商品の訴求で協力しています。

 ペットボトルから作られた糸や生分解性で土にかえる天然素材の生地、トリアセテートやレーヨンなどの再生繊維を使った服に「Together with Earth」というオリジナルタグをつけています。3月30日から92店舗を対象に順次開始しています。キャンペーンは4月26日までだそうです。期間限定です。どれだけ消費者が反応するのか試しているのでしょう。このような取り組みが期間限定ではなく、恒常的に実施することが大切なように思いますが。

(4)ファミマ、電動キックボード貸し出し

 ファミリーマートは、最大600店舗超に電動キックボードの貸し出し拠点を設置するそうです。具体的には、電動キックボードのシェアリングサービスを手掛けるLuupに出資し、同社の車両をコンビニで借りたり、返却したりできるようにするそうです。まずは、東京都、横浜市、大阪市、京都府の店舗に貸し出し拠点を設置するようです。

 電動キックボードの利用者が、果たして公道を走ってくれるのかどうか?歩道を走る人が増加するのではないかと心配になります。電動キックボード利用中の事故、歩行者の怪我などが生じた時、ファミリーマートはどのような対応をとるのでしょうか。社会的責任が増している状況で、この意思決定は果たしてどうか?疑問に思います。

(5)ワークマン、EC宅配全廃

 ワークマンが、5年以内にEC宅配を全廃し、店頭受け取りのみにすることにしました。

➀現状でも、店頭受け取りが約8割に達しています。原則700円以上の送料を嫌って、店頭受け取りを選んでいるようです。

➁ワークマンの扱う商材は、飲食料品のようなすぐに必要という商材ではありません。

➂店頭受け取りなら加盟店の売上になるのですが、宅配だと本部の売上になります。加盟店第一のFCとしては、加盟店の売上・利益の向上に貢献するのが本筋です。

 その上、ワークマンでは宅配のコストは店頭への配送のおよそ10倍かかると言われていますので、EC宅配全廃という意思決定になったようです。このような意思決定をする企業があってもよいと思います。

(6)ローソン、全国で無印良品を販売へ

 ローソンは、首都圏の約110店舗で無印良品の商品を取り扱っています。文具や化粧品、靴下など約170品目に日用品に加え、レトルトカレーや菓子など約30品目です。従来品に比べて販売額が約2割伸び、店舗全体の売上高を2~5%押し上げているそうです。

 そのため、ローソンは全国1万4千店でも無印良品を取り扱うことにしました。順次取扱店を拡大し、23年中には全国の店舗で取り扱うそうです。ただし、ローソンストア100は除くそうです。

(7)「サミット検定」

 いろいろな検定がありますが、まさかスーパーの「サミット検定」があるとは思ってもみませんでした。

・「桜木町コレットマーレ店」店長と「コルモピア 五反野店」店長、共通する趣味は次のうちどれか?

・サミットストアの店舗の中で、店舗間の直線距離が最も近いのは次のうちどれか?

などなどの質問が続きます。

 驚くのは、受験者数がウェブで4837人、郵送が582人で合計5419人もサミット検定を受けているという点です。81点以上なら1級、2級、3級にも認定証を届けています。満点の人は「サミットマスター」の称号を送っています。

 買い物客とのコミュニケーションをとってきていて、5千人以上のサミットマニアを育ててきたことに驚きました。

(8)「セブンプレミアム」初の前年割れ

 セブン&アイHDの2022年2月期の連結決算は、純利益が前期比18%増、営業収益が52%増の8兆7497億円でした。アメリカのスピードウェイの買収効果が大いに出ているようです。今や、セブン&アイの増益は海外コンビニ頼りになっています。

 国内に目を転じると、「セブンプレミアム」の売上高が、前年比5%減となり、開始以来初の前年割れでした。そのため、23年2月期中に1200アイテムのリニューアルを進めています。イトーヨーカ堂の営業利益は16億円。たしかに、百貨店事業の売却の後は、総合スーパーをどうするのかという問題がよりクローズアップされてくると思います。

 

3、メーカーのチャネル戦略

(1)メーカーの値上げの難しさ

 値上げが続いています。ただ、実際にはメーカーが出荷製品の価格を値上げるのは難しいようようです。花王のメリーズの場合を見てみましょう。

「店頭価格を決めるのは小売なので、交渉するは出荷価格。『メリーズ』の場合、出荷時の価格は通常価格、月間特売の価格、チラシ特売の価格の3段階で設定している。これらを一律に値上げすると、売上が下がるリスクがあるため、通常価格のみ10%の値上げを交渉している。特売時の価格などは一律に定めない。それぞれの小売と個別に交渉するため、実際には店頭価格の値上げ幅は多様になる」「花王は卸を介さず小売と直接取引しているので、機動的に価格交渉ができるのが強みだ。値上げで売上が下がったり、競合の新製品にシェアをとられたりすることも考えられるが、小売と頻繁に交渉しながら価格を修正していく考えだ」このように花王の竹内専務は話しています。

 「メリーズ」10%値上げと新聞報道されるのですが、実際には「通常価格」、「月間特売の価格」、「チラシ特売の価格」と3種類の価格があるのだそうです。その上、値上げしても売上高は下げたくないというのですから、なおさら難しいですね。そのため、なかなかメーカーの値上げが、店頭価格に反映されにくいというわけです。

(2)固定費削減型チャネル戦略

ワタミの弁当宅配サービス「ワタミの宅食」が、森永乳業の機能性素材を配合した乳飲料とのセット販売を全国で開始しました。弁当と飲料の組み合わせメニューは需要があるのかもしれませんね。別の見方をするとワタミの宅配(全国約800人の配達員がいる)というチャネルには一定の固定費がかかっていますから、そのチャネルに他社の商品を乗せることによって、チャネルの固定費が削減されます。森永乳業からみたら、他社のチャネルに自社商品を乗せるという感じだと思いますが、ワタミからすればチャネルの固定費の削減になると思います。どちらにとっても有効な戦略だと思います。

 

4、その他

(1)K-POPに日本人が増加中

 韓国のTWICEは、9人中3人が日本人です。IVEのレイ(カワイイルックスが人気)も日本人、Billlieのツキ(中学生の時に韓国に渡り、モデルをしながらデビューに向けてトレーニング、21年11月に韓国でアイドルデビュー)も日本人、元HKT48の宮脇咲良は、BTSの所属事務所HYBEと契約し、5月に新グループの一員として再デビューの予定です。

 韓国エンタメ業界を通じて日本人がグローバルに活躍することは素晴らしい事ですが、彼女らが日本では夢を実現できなかったことに日本のエンタメ業界は大いに反省すべきではないでしょうか?今のままでは、グローバルに活躍したいと思っている中学生や高校生はますます韓国に行くのではないでしょうか。

(2)クレジットカード不正利用、過去最悪の330億円

 2021年のクレジットカード不正利用による被害額は330億円余りに上がり、過去最悪でした。不正利用の原因は2つです。➀消費者がフィッシングサイトや店舗での利用などで情報が盗まれてしまうことによる被害、➁企業がサイバー攻撃などによりハッキングされることによる被害、です。

 消費者ができる事としては、➀まず怪しいサイトに近づかないことです。「安いは危険」と肝に命じる事です。➁プラウザソフトを最新バージョンにアップデートするのも危険なサイトに近づかないためには有効だそうです。➂カード利用の明細を1件1件確認することも大切なようです。

 カード利用の明細を私も総額しかチェクしていないので、なるべく1件1件確認するようにしたいと思います。また、時々、パスワードを変更するのも有効なようです。

(3)  欧米で進む社会の分断

 フランスの大統領選挙が行われました。マクロン大統領の再選となったのですが、フランス社会における分断が報道されています。「教育格差」(エリート養成校グランゼコールの出身者が社会を仕切っているそうです。この「エリート」「非エリート」という格差)と「「地域格差」(首都と地方)が解消されていないのが、「極右勢力」の台頭の理由となっているのだそうです。この社会の分断、格差は欧米に広がっているといわれています。

 日本でも所得格差は広がっています。首都圏と地方の格差も拡大してきています。それでも働こうとすれば職があること、自民党に対抗するような低所得者や地方の味方であると明言する政党がない事などから日本では大きなうねりは生じていませんが、格差社会の修正は日本にも求められていると思います。                                                         以上