表記の特別講演会が大阪公立大学で開かれ,Zoomで参加した.15時~16時40分.

講演会の趣旨としては次世代育成プログラムとして若い人の職業選択の参考に,ということかと思う.参加者はZoomで160以上,合計200数十名.

 

石渡さん(本当は先生,なのだが50年位前に同じゼミで2年間過ごし,その後も学会等で会うと少し話すこともあったりしたのでさんと呼ばせてもらう)は2014年に原子力規制庁委員になられ2期10年をほぼ勤められこの9月で任期を終えられる.今回の話は規制庁委員として活動して来られた内容に関するもので,私も先代の島崎邦彦委員の頃(2012-2014)から原子力規制庁の動きには興味を持っており石渡さんが委員になられてからは規制庁のHPにある会議のビデオを見たりしていた.初代の島崎委員の任期が短かったので石渡さんに島崎さんが厳しすぎたからですか,と聞いたら,「最初から4人の委員が同時に辞めることが無いように最初の委員の任期はバラバラにしてある」との説明をしてもらったこともあった.

 

講演タイトルは「自然ハザードに対する日本の最近の原子力規制,再審査及びバックフィット」.同じ内容の話を6月にヨーロッパの会議でされたとのこと.

 

最初に三浦教授から講演者の履歴等の説明があった.パリ大(3年),金沢大(22年),東北大(6.5年)詳細は講演者のHPにある.

 

(1) はじめに

(2) 福島第一事故後の自然ハザード関連の原子力規制

(3) 自然ハザードのバックフィット

    ① 火山の大気中の火山灰濃度(全原発)

    ② 噴火による降灰層厚(大飯美浜原発

    ③ 警報無しの津波(関電高浜)

    ④ 地震の標準応答スペクトル(全原発)

    ⑤ 地すべり

    ⑥ 津波?

 

はじめに,2011.3.11の東北沖巨大地震の経験について話された.仙台では5分程度震動が継続した.津波の跡地を調査してまわられ,引き波の影響が極めて大きいこと.福島第一原発では6基のうち3基が炉心溶融.周囲の放射能分布は同じ年の12月では浪江町等結構高かったが,2023年ではかなり下がっている.

それまで原子力規制はバラバラにされていたが,規制庁(NRA)が2012年に設立されて一つに纏めた.現在NRAの職員は1000人以上.規制委員会の会議の内容はYoutubeで公開されている.審査部局,検査部局,研究部局等.

自然ハザードに対する原子力施設の安全性の確保.生物現象も含まれる.日本では冷却水に海水を使っており,くらげが取水口に集まると困る.最近では太陽フレアの対策も含まれる.

 

ここからは津波.活断層,地震,噴火,火山灰,等について具体例の話.

特に最近は観測・分析技術の進歩もあり,あとから見直し規制をする場合がありバックフィットと呼ばれる.

例えば,大気の火山灰濃度について,1980年のMt.St.Helensのデータ(Baxter et al., 1983)から33mg/m^3とされていたが

2010年エイヤフィヤトラ火山で3㎎/m^3で支障が出て見直し.

2024.1.1能登半島地震で志賀原発では400gal敷地内断層は全く動いていない.

ともかくこの10年間,日本では各種の自然災害が起こったが,幸いなことに原発で大きな事故は起こっていない.

 

全部はフォローできていませんが,概要でした.

 

それにしても,安定大陸のヨーロッパ,北米と比べて桁で地震,火山噴火等が多い沈み込み帯の日本列島で原発が本当に長い目(100年単位)で稼働可能なものか,そこら辺の処は議論にはなかなかならないようです.