5月25日(土)から5月31日(金)まで,幕張メッセでJpGU2024大会が開かれている.もう自分ではついていけそうもないが,何か面白い情報でも得られないかと申し込んで,昨日からZoomで講演を見たり聞いたりしている.iPhoneとPCとで2つセッションを聞けるかと思ったが,虻蜂取らずで理解が追い付かない.

 

27日は月の着陸に成功したSLIMのセッション,Saikiさん,他,着陸が傾いた状態であったにしても太陽電池パネルに光が当たると活動してデータを送ってくれる状況,チーム写真が印象的だった.クレーター内の岩塊の成因は衝突よりも熱応力によって生じるとの事,そんなものか.

 

28日は,朝は掘削科学のセッションで一応お顔を知った方々の講演.Uminoさん,CpxのSector zoningから冷却速度を見積もる.次は火山噴火機構,Harutaさん,鬼界カルデラのカルデラ初期噴火の量を厳密に求め従来よりも小さい.Noviantiさん,鬼界噴火でのフェノバブルの役割.Takeuchiさん,浮遊軽石の評価.水中の噴煙柱でどのように発泡中のマグマが水で急冷するのか,どんどん面白くなってきている.Kanazawa(Toramaru)さん,ペレーの涙の表面組織.東北大で実験で再現させている.なかなか一物語.Mujinさん,スピノーダル分解とナノ結晶,理解が追い付かない.

 午後は活動的火山,Seamaさん鬼界カルデラの地震波探査.より稠密になったが一側線なのが気になるところ.次の比抵抗のObataさん達のデータとの整合性が欲しいところ.今日は火山学会の総会もあったようだが,論文賞を受賞されたMiyamachi et al.(2023)EPSでは姶良カルデラでの詳細なトモグラフィーで固化した溜りが深さ6-11kmに見つかっている(下図).現在の溜りは深さ15km程度にあるとのこと.固化した溜りはMiyagi et al.(2023)JPで提案された火道内対流で脱ガス結晶化したマグマが集積したものだろうか?構造探査も精度があがってくるといろいろ見えるようだ.

 

結局,最終日まで毎日適当にセッションを選びながら主に火山関係の話を聞いたが,終わってみると殆ど何も残っていないのが情けない.ちょっと印象深かったのは次の2件.

 

SVC30-05 名郷・中村:安山岩質マグマの貫入による上部地殻マグマだまりの熱進化計算:東北日本への応用.

日本の安山岩質火山のマグマ供給系のモデル化.Annen(2009)のモデルを基に深さ5㎞に継続的にマグマ貫入が生じた時の熱進化を計算している.シルの直径は10㎞としている.日本の第四紀火山についてはデータベースがかなりしっかりしているのでそれらのマグマ供給系のモデル化がうまくできれば世界に売れるような気がした.ダイアピルからマグマ供給系全体のモデル化ができるともっと面白そう.

 

SVC30-07 勝木他:Latent thermodynamic parameter in the chemical compositional variation of basalts of the Fuji volcano, Japan, identified by unsupervised machine learning. 

富士火山についての高橋他(2003)の997個の全岩化学組成分析値について,3つの時期について,独立成分分析とクラスター解析を行い,4つの独立成分と6つのクラスターを得ている.それらについてMELTS計算で可能な分別過程を見積もっている.詳細については判らなかったが,富士マグマの全体像が解ってくると面白そう.富士の成因的Petrographyの経験があるYさんなんかが入るともっとバッチリかも.