3月6,7日,神戸大学で国際シンポジウムがあり,少し横着をしてリモート参加.

正式のタイトルは,International symposium  Submarine caldera volcanoes - The cutting edge of our understanding achieved by various approaches.

 

今日は午前Oral session 8件,午後,ポスターセッション15件,オーラルセッション 5件,

明日はOral session 13件.合計41件の発表だが,代表的な方々の話で最近出た文献の紹介もあり勉強になる.

 

O-01 GEOMARのSteffen Katterolfさん.Santoriniカルデラの周辺の深海掘削(IODP Ex.398)を始めとする探査結果の紹介.カルデラ内の1000を超えるテフラ層の化学分析がされているが対比のついていないものもあるとのこと.Preine et al., in press Nature Geosci.など.

 

O-02 Maenoさん.鬼界カルデラ形成噴火の年代学.良く整理された話で分かりやすい.この話でも出てきたが,鬼界については岩石学でも地震波探査や電磁探査でもマグマ溜りは2-4㎞の深さと極めて浅い値が出ていてちょっとびっくり.他の火山でそんなに浅い例はあまりないだろうと思うのだが.

 

O-03 Harutaさん.鬼界カルデラ噴火のカルデラ形成前の活動について.あまり大きな体積にはならない,との事.神戸グループからShimizu et al. 2024が出ている情報.

 

O-04 Suzukiさん,幸屋火砕流の発生と流動機構.判り易い英語.ガラスのSiO2量から結構なことが見えている.発生の部分でマグマと海水の混合・冷却で温度が低下して長く地表を走った可能性はないものか.

 

O-05 Maria Luisa Tejadaさん.鬼界テフラのGeochemistry.同位体も含め徹底的なデータ.

 

O-06 Seamaさん,鬼界カルデラの地球物理探査のまとめ.P波速度断面,2-6㎞で低速.Chikyu drilling結果:Tatsumi et al., Nakaoka et al.

 

O-07 Yamamotoさん.Amphibious passive seismic observation, 2020.10-2021.8 OBS. Nagaya et al.(2020)

 

O-08 Obataさん.鬼界カルデラの3D resistivity structure. これでも結構浅く低比抵抗が出ている.

 

ポスターは残念ながらリモート参加はできないが,Hamada et al.(2023)JVGRが出ていてこれでも2-4㎞の浅いマグマ溜りを推定している.ムム.

 

O-09 Kanekoさん,阿蘇・姶良・鬼界3カルデラの比較マグマ成因論.十分フォローできなかったが,年代と噴出量の関係がマグマ組成によって異なっているという図はもう少し意味合いを知りたい処.

 

O-10 Zellmerさん.学生さんの仕事の紹介だが,タウポとヒクランギ前弧の関係.堆積物の沈み込み側とデコルマンになる側との違いが重要らしい.15km厚の地殻でどうやって流紋岩マグマが生じるか.

 

O-11 Platamaさん.クラカトアのマグマ蓄積の過程について.地球化学と古地磁気学から.

 

O-12 Geshiさん.カルデラ陥没が生じる初期噴火の臨界値がマグマ溜りのサイズに相関している,という話らしい.ここでも姶良の溜り上面が5-6㎞,鬼界は3kmとしていた.

 

O-13 Sandanbataさん,海域カルデラでトラップドアタイプの変動で生じる津波について.Sumisu caldera, Kita-Ioto caldera, Kermadec, Curtis calderaでそれぞれトラップドアタイプの変動で津波が発生している.いずれも最近それぞれ論文になっている仕事.誰かが質問していたが,トラップドアタイプは陸域でもあるものか.