今春,写真家の田沼武能さんが93で亡くなったという記事につられて図書館で「地蔵さまと私」という福音館の「たくさんのふしぎ」シリーズの1冊を予約して借りて感心した.最近,近くの図書館の子供コーナーを見ていたら,このシリーズがずらっと並んでいる棚を見てオオ.少しパラパラ見て2冊借りた.

 

2019.12.417号 「地球の中に潜っていくと」 入船徹男文,関口シュン絵

お爺さんと孫二人がダイヤモンド号で地球内部の探検.日本海溝から潜っていくのだが,時間を早送りするタイムマシンが思いがけず,なるほど.淡緑色に輝くマントル,灰色のコアなど,プリュームに乗って新たなホットスポット火山から地表へ戻る.って云う夢を見た,という楽しいお話.

 

2015.2,359号 「イースター島,ちいさくて大きな島」 野村哲也文・写真.

近くに陸地の無い絶海の孤島.モアイ像がきっかけで15回も現地を訪れ,10×20㎞の島の隅々まで見て廻り,島の人々(人口5700人)との交流や歴史が写真と文章で描かれる.当方は火山地形が興味だったが,新鮮な地形はあるが噴火の記録は無いようだ.モアイ像はプナ・パウと呼ばれる赤色の凝灰岩の石切り場の石材が使われている.

 

「イースター島の岩石学」で検索すると,Baker et al.(1974)CMP等が出てくる.この論文によると,島は3つの火山体からなり,東端のPoikeが古く,南西のRano Kauは火口径1.5kmのタフリング,中央のMt. Terevakaは比較的新しい山体.漸移ソレアイト,ハワイアイト,粗面岩,流紋岩から成り,ハワイアイトが最も多い.年代はKaneoka & Katsui(1985)BVSJがRano Kauの玄武岩2個(0.5-0.7Ma)とRano KauのObsidian(0.24Ma)について求めている.井口さん達のマグネの測定(Miki et al., 1998 PEPI)では全部正磁化でBrune期と考えられている.日本人も志ある方は行っておられる。

 

まあ,ともかく,科学のエッセンスみたいな「たくさんのふしぎ」が発刊されているのは素晴らしいが,最近の国の科学・文化離れはなんとも云いようがない.