大学時代の同級生の小林さんからメールでYoutubeの案内があった.英国の大学にパーマネントポジションを持つ娘の小林千晶さんが,科学ライブショー「ユニバース」第48回(4月17日配信)にゲスト出演とのこと. (36) 【第48回】科学ライブショー「ユニバース」on YouTube Live - YouTube

 

全体は1時間余りあるので,2日に分けて拝見.案内役は国立天文台の伊藤哲也先生で,ゲストコーナーの小林千晶さんの話は約40分,なかなか面白く見ることができた.

 

ゲストコーナーは「銀河考古学」とのタイトルで,今はスペクトルで銀河のある場所の元素組成(比)を正確に求めることができ,またその組成比が判ると,それを生成した過程を判定できることから,各星の元素の由来(発生過程)を辿れるということらしい.「銀河考古学」で検索すると,ちゃんとそのタイトルの教科書(2015)by千葉征司も出ているが,まだ日進月歩の分野でもあるらしい.

 

元素合成は5種類あるとのこと.①ビッグバン(これは軽い元素のみ),②小質量星,③大質量星の核崩壊ー超新星,④白色矮星の連星系(Type 1a超新星),⑤2つの中性子星の合体.Kobayashi et al.(2020 ApJ)では周期律表に各元素がどの過程でどの程度生じるかを評価して一覧表にしたものが出ている(Fig.39!).各元素について,縦軸が太陽組成に対する相対比,横軸が宇宙の年齢を基準とした時間で,太陽系生成(46億年前)が縦の点線で示されている.地球で多いSi,Mg,O辺りの元素の大半は,青色の③核崩壊ー超新星で生じたもののようだ.Co,Fe,Ni等の遷移元素は赤色の白色矮星の連星系による超新星由来らしい.B, Beが足りないのは何か理由があったはずだが,Kが説明できていないのは?重い元素の中で注目は金元素が全然説明できていないらしい.この論文が出てから,沢山の報道機関から著者にインタビューの申し込みがあったとのこと.金元素の由来は確かに気になる処.

 

 

私達の世代の学部時代は大学紛争で東大理学部でもストライキが3か月位行われ履修時間不足で卒業が1月延びた(1969年).ストライキを決めた時の学生自治会執行部は鳥海委員長(地質)+野本副委員長(天文),次期が唐牛宏委員長(天文)+小林副委員長(地質)だったと記憶している.千晶さんは野本研で学位を取られており2代に渡った因縁?ともかく千晶さんはサイエンスで素晴らしい活躍をしておられるので,金元素の謎も解決されることを期待. 

 

(素人で記事に間違いがあるでしょうがご寛恕願います)