3日前にコケて捻挫して動けないので、中元さんの記事の載った岩波新書の記事を梅棹忠夫さんから合計13編を順に読んでみた。

33年前の本なので今更なのではあるが、応募二百数十編の中から選ばれただけあって、各編約16頁、著者の実践の強い動機付け、方法、結果が書かれていて面白く読むことができた。主婦の日常生活の中での生産から、会社員の職場を中心とした工夫、リストラから夫婦で看板店を開く過程、研究者の仕事の展開の工夫、など。

一番あっと思わされたのは、福井和美さんの「生態系としての書斎」。翻訳業をしておられる方だが、知的生産というものが「知識人」だけのものではなく、「庶民」には現場での知的生産があり、また、頭で考える生産は、身体性に強く影響され、日常的に動く範囲を「生態系としての書斎」とする事で、視点を変えた発想を獲る場合がある事、など示唆的。あと、作品として見ると、坂東悠紀代さんの、「想像の遊び」も面白かった。

著者とタイトル
梅棹忠夫: 「知的生産の技術」その後
加瀬茂男: 文章作りを生きがいに
金子功: 走る研究室
国本憲明: ハイテク機器を駆使する
田中邦夫: 知的生産の技術ー盲人の場合
中元正弘: 週間ニュースファイル
坂東悠紀代: 想像の遊び
福井和美: 生態系としての書斎
福田繁子: 夫婦で看板店を開く
船山信次: 天然物化学の仕事場から
松本佐智子: 家庭管理のための情報整理
溝江玲子: まずエプロンカードから
米谷茂則: 魅力ある学校図書館を作る