動きが悪くなったiPadの解約(AU)と,Softbank,iPhoneの予約にショッピングセンターに寄ったのだが結構待つことになり,その間に近くのカフェで,火山学会60周年特集号の岩森論文を読みだしたら面白く(最近の進歩が極めて判り易く解説されている),手続きが終わってからも読み続けて読み終えた.

タイトルは「マントル対流と全地球ダイナミックス」で,火山の立場から考えると大規模な場の問題でもあるのだが,最近は地震のトモグラフィ,対流シミュレーション,マントル物性学,火山岩組成(地球化学)等がからみあっていろいろな要素の評価が可能になっている現状,マントル組成の多様性が2つの端成分の追加で説明できること,そして未だに未解決な問題が山積している状況などが判り易く解説されていて,堪能させられた.現状の到達点としては’Top-down dynamics'で上部からの冷却が主導してマントルのダイナミクスが理解できる.

1.はじめに,ではマントルの構造や対流が地球のダイナミックスを理解する上で中心的なものであることが記されている. 

2.マントル対流の基本構造では,マントルを連続体力学で扱うのに基本的な質量,運動量,エネルギーの保存則で扱い,慣性項は無視できるなどの条件について記される.状態方程式としてpMELTSもあるが最近Perple Xというのがあるとのこと(Connolly, 2005).対流の様式について簡単なモデルからより複雑な場合について記される.マントルレイリー数は10^6-8程度.熱の輸送量の見積もりや,熱境界層(プレートやD''層)の厚さの観測等.

3.マントル対流の実相,重力,熱流量,地震波速度,電磁波観測等で得られる制約条件から,3-1 プレート運動とアセノスフェアの対流,3-2 二層対流と全マントル対流,3-3 コアとマントルの相互作用,について主要な文献の評価をしながら全体像について言えることと判っていない点について詳述されている.

4.地球化学プローブとマントルの不均質構造,は著者がこの10年余り取り組んできた問題.地震波トモグラフィがCTスキャンに相当し,地球化学プローブ(火山岩組成)が血液検査に相当するとして,お互いに相補的な情報を与えてくれることを述べている.火山岩の同位体組成等が主成分分析,独立成分分析等で端成分を調べると,メルト成分と,流体成分の2つで表されること.地球の東半球では親水成分に富み,西半球では親水成分に乏しいこと,それらが内核の速度分布と対応し,全体として上位からの冷却で内核まで地域性が生じている可能性があることが記されている.つまりTop-down dynamics.

この分野を引っ張っている当事者ならではの迫力のある総説でうならされた.