先日,地質学会上高地巡検前日に西穂山荘登山道を登った折のチップを薄片にしてみました.地質図(上高地図幅)では中心部は中粒花崗岩,外縁部は細粒花崗岩となっています.登山道では下部が細粒、上部が中粒花崗岩ですが、露頭は殆どなく、転石の数cmのものです。

イメージ 1
最初のは転石ですが,中粒花崗岩.少し斑状です.微文象組織が認められますが、結晶作用の条件としての意味は分かりません。薄片写真のスケールは⒑㎜
イメージ 6
最初の試料の顕微鏡写真.中粒と書きましたが,やや細粒の基質は区別できそうです.
顕微鏡写真のスケールは1㎜.


イメージ 2
これは基質が細粒で斑岩状.斑晶が結構多く、50-60%?よく上がってこれた。
イメージ 7
2番目の試料の顕微鏡写真.確かにかなり細粒な基質.また結晶の形(石英等)が不規則に見える.

イメージ 5
これも斑岩状だが斑晶量は40-50%。基質の粒度は二番目のものより少し細粒?黒雲母が細粒の角閃石に置き換わっているのを見ると、溶結凝灰岩が熱変成を受けたものの可能性もありそうだが、石質岩片は無いようだ。
イメージ 8
3番目の試料の顕微鏡写真.2番目よりも少し細粒に見える.


イメージ 3
登山道の中程,岩尾根になっている処は岩脈のようでしたが,確かに安山岩です.斑岩よりもさらに細粒の基質。
イメージ 9
4番目の試料の顕微鏡写真.完全に安山岩の組織.


イメージ 4
これは降りた谷間の転石ですが,斑岩状で斑晶が多い.基質は細粒.
イメージ 10
最後の試料の顕微鏡写真.斑岩の中では一番細粒.

きちんと連続的に見ないと分りませんが,基質の粒度は4番目を除くと最初の中粒とそれ以外の細粒で不連続のようです.黒部川花崗岩でも上部ユニットは細粒,下部ユニットは中粒とのことで,間に混合部があるそうです(Wada, Harayama, Yamaguchi, 2004, GSA Bull.).年代が問題になりますが,一連のものとして考え易いのは,細粒基質の部分はマグマの一部が噴火して,発泡・脱ガスが短時間で起こってリキダス温度の上昇による過冷却が大きかった可能性が考えられます.ほぼ同じ深さに貫入しても,火道が地表に開口しないと,発泡は限定的になり脱ガスが不十分で徐冷・中粒組織が生じると思われます.

クロスポーラ~の写真で、周囲が暗いのは薄くなっているせいで、#1500研磨のガラス板が凹面になってきているせいかも知れません。注意して均一に使用しているつもりですが、もう5年余り使っていて、平面削り出し用のチャートを持ってい無いので、対策を考えないといけません。顕微鏡写真で見ると、気泡が結構入っているのは、接着剤の粘性が少し高いせいだろうと思います。部屋の温度をもう少し上げてみるか、接着剤を変えるか。今、接着剤は、アラルダイトスタンダードですが、以前使っていたコニシボンドクイック5は粘性が低くて泡は入りにくい。ただ、混ぜて数分で固まり始めるので一回に4ー5個しか貼り付けできない。

PS この滝谷花崗閃緑岩について,マッシュ状プロトンの液の抽出に関する論文が出た.