. 今朝から桜島火山で地震や地殻変動が観測され、警戒レベルが3から4に上げられ、一部で避難が始まっている。2007年以降では最大規模の変異のようだが、専門家はそれほど大きな噴火が生じるとは考えていないようだ。
大正噴火は日本では1900年以降で最大の噴火であるが、その時の前兆が、柳川喜郎『桜島噴火記』に詳しくかかれていたのを思い出して見直してみた。四章「凶変の前兆」の部分。
1913年11月末、東桜島瀬戸、西桜島横山、高免で井戸水の涸れが生じている。
12月27日、瀬戸では海水が熱くなり、生簀の海老や鯛が死んだ。
1914年1月7日、加治木の温泉で湯量が増えはじめる。国分で井戸の水が増加、鹿児島市内で井戸の水が減り、水が濁る。この日から小さな有感地震がある。深夜、南岳が赤く光る。
1月8日、霧島山が爆発、都城で降灰。
1月9日、西桜島で少し強い地震。黒神、瀬戸で地熱で蛇・蛙が出てくる。
1月10日、午前2時、山頂付近で火柱。
1月11日、突き上げるようなかなり強い地震。頂上付近の崩落による遠雷のような響き、鳴動。地震頻発、含強震。山体崩落、地震増加、夕方で1時間20回(有感)。中腹から白い煙。午後7時51分、鹿児島市内で不気味な鳴動、地鳴り。地震頻発。1日の地震は238回、うち有感地震は82回。夜にかけ、地震は強まる一方。
1月12日、地震、鳴動、温泉吹き出し、10時5分、噴火開始。
箇条書きにすると少ない気がするが、異変の時間空間的な拡がり、直前の地震の強さなどは極めて大きい。今回は地震観測と地殻変動から噴火予測がされているようだが、恐らく、現象としては大正噴火と比べると1桁以上小さな変動であるような印象。
PS.(2015.8.16, 09:10)
気象庁の、桜島地震波形を見ると、8月15日11時台が一番激しくてその後徐々に収まってきているようだ。 http://www.vnet.bosai.go.jp/strace/view.php?orgid=03&netid=02&stcd=V.SKRD&tm=2015081506&comp=U&type=24H&area=030243
火口に溶岩が出ているというし、今回は一休みなのか。でも、10km深の地震も起きているし、全体として長年の膨張の蓄積があるので、今回みたいな異変が何回かあって、本当の噴火(M=3-4)が生じるのかも知れない。
PS2 (2015.8.16 11:40)
小山先生がツイートで紹介している、林(2003)歴史地震、に大正噴火の前の地震の規模評価が示されていた。http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/rzisin/kaishi_19/18-Hayashi.pdf https://mobile.twitter.com/usa_hakase/status/632714437812596736/photo/1
PS3(2015.8.18, 10:00)
もちろん,気象庁の予測は種々の観測結果や過去のデータとの突き合わせ,専門家の助言等が背景にあるので,その予測はもっとも確率の高い内容を示していると思います.ただ,それらの判断の基に,観測データをどのような地下の現象に対応するか,具体的なモデルの提示がされることが望まれます.井口先生は,桜島では変異のあといったん落ち着いてその後に噴火が生じる場合が多いことを指摘しておられ,「落ち着いた状態」で見かけ上の変化がない時,地下で何が生じているのか興味が持たれます. http://www.news24.jp/nnn/news8726625.html
PS4 (2015.8.19, 19:50)
マグマが浅所に貫入して時間が経てば、脱ガス、結晶化が進んで粘性が増加して動き辛くなる。ただ、マグマの温度が1000℃を超える場合は、粘性の増加はそれ程大きくないので、次の波で噴火することができる。霧島の新燃岳2011年の火口溶岩は920℃程度で粘性の増加が3-4桁になり、溶岩自体の大きな動きは見られなかった。桜島や浅間山の溶岩は、1000℃前後で微妙な処。貫入した深さにもよるが、これは、地盤変動や地震の震源深さから見積もれるので、噴出物の分析で温度、結晶度、ガラス含水量から貫入溶岩の粘性増加の定量的見積もりがされることが望まれる。