T.Uenoさんが,先姶良火砕噴出物の主要な試料を以前送ってくれていたので,その薄片を作ってみました.

まずは,福山降下軽石.約8万年前で,5-10㎞^3のプリニー式噴火.
写真の右下のルーペ印をクリックすると拡大します.薄片全体の幅は48㎜,顕微鏡写真のスケールは1㎜です.
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角閃石,斜長石,普通輝石,斜方輝石,磁鉄鉱の斑晶

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 普通輝石の周囲に角閃石が取り囲んでいる斑晶もあります(左中央).姶良噴火(大隅降下軽石,入戸火砕流などではOpx+Cpx+Mt+Pl+Qzが斑晶だったと思いますが,福山では角閃石斑晶が多いのが特徴.

次は岩戸火砕流堆積物.約5万年前で,3-5km^3 (火山灰アトラスではVEI=6).
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普通に,斜方輝石,普通輝石,斜長石斑晶

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石英斑晶もあり,ガラス包有物が目立ちます.どうも,角閃石斑晶はないようです.

最後は,深港火砕噴火.約3万年前で,1km^3.
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白っぽく見える粒子はObsidianです.

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Obsidianの中には角閃石,斜長石,石英,磁鉄鉱,斜方輝石の斑晶.

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火山灰アトラスにBiotite斑晶があるというので見直したら,ちゃんと黒雲母斑晶があった.

こうしてみると,岩戸は姶良噴火とほぼ同じ斑晶鉱物組み合わせですが,福山では角閃石斑晶,深港では角閃石と黒雲母斑晶があるのが異なっているようです.これらが何処から出たものかまだ勉強不足で知りませんが,姶良カルデラのマグマ溜りの前身に由来するなら,斑晶鉱物組み合わせがこのように変化するのは温度・組成がかなり変動したものと考えられます.それも一定方向への変化ではなく行ったり来たりの変動があったことになります.

姶良噴出物についてはAramaki(1971)Amer Mineral.が高温高圧実験で斜長石と石英の共存実験から温度・圧力の推定を行っておられますが,苦鉄質鉱物の有無の条件についても検討がされると良いと思いました.