1月中旬頃から気象庁の火山ライブカメラ等で阿蘇中岳の噴煙を時々見ているが,なかなか活発だ.下の写真は気象庁のライブカメラの今日の映像.

一見すると毎秒数トン出ているようにも見えるが,実際はもっと小さい値かもしれない.*1
火山噴火予知連絡会の資料にはまだ記載はないようだ.SO2は多い時は1000トン/日を超えるようだ.
少し異なるが,類似した活動を継続している桜島火山で見ると,火山灰放出量の見積もりは10-100万トン/月となっている.桜島のSO2放出量は1000-2000トン程度なので,阿蘇より少し多い(但し昨年前半のデータでこの頃は多分阿蘇の活動は昨年末以来の活動ほど活発でなかったかもしれない).
毎秒1トンで1日約10万トン,月300万トンになる.雲仙岳の活発な時期は溶岩ドームの噴出は1日50万トンだったので毎秒5トン程度.阿蘇の現在の活動はそれより1桁低い活動かもしれない.
桜島は安山岩,雲仙はデイサイト,阿蘇は玄武岩質安山岩?なのでガラス組成や温度も異なるだろう.産総研の資料だと良く発泡したマイクロライトの少ないガラス質のスコリアのようで,基本は火道を上昇したマグマが発泡破砕して生じた火山灰が少し波はあるもののほぼ連続的に噴出している.余り冷えないマグマ溜まりからマグマが細い火道を上昇して発泡・破砕して噴出しているというイメージで良いだろうか.国土地理院のGNSSデータでは阿蘇の基線長は昨年末までは収縮気味だったものがやや伸長に転じており現在の活発な火山灰噴出と対応しているようだ.
昔,小野晃司さん達(1995)がJVGRに阿蘇の火山灰噴火について書いておられるのと基本的に同じ現象が現在も起こっているようだ.
噴火活動の分類としては,Kozono et al.(2013 BV)の噴出率ー総噴出量図で,プリニー式,溶岩ドーム噴火とは異なる分類の活動で,噴出率は小さいが総噴出量はある程度大きな「灰噴火」というものになるのかも知れない.溶岩ドーム噴火と区分するのにうまいパラメータで分類図示できると面白いのだが.また,そのような状態が長期間維持される噴火モデルも分かると面白そうだ.ある意味では桜島は間欠的なブルカノ式+灰噴火で,阿蘇は灰噴火なので,このような低噴出率の定常的な灰噴火の多様性を組成・温度・含水量・粘性の違いでうまく説明できるものかもしれない.
*1 噴煙が直径20mで毎秒5mで上昇し、火山灰が200gr/m^3の密度だとすると、毎秒0.3トンの噴出率になる。
*2 3月から4月にかけては,弱い灰噴火が続いていたようだが,4月下旬からまた活発化して中程度の噴煙量になっているように見える.(4月29日)