霧島新燃岳火口溶岩のドレイン・バックについて,その流出速度がどのように求められるのか判らないでいた.
第0近似としては,粘性抵抗の大半は細い火道部分にあると考えれば,火道を自重で降りる式
Q=π(ρ1gh+ρ2gL)r^4/(8ηL)
で与えられると考えられる(Kazahaya et al., 1995BV).ただ,上部の開いた火口の部分がどのように効くのか,いろいろ教科書やネット,論文を調べても出てこなかった.
計算機実験ができればよいのだが,少し程遠い.
ということで,たまたま以前アナログ流体実験をやったES君が大学に居られるのでお願いして一緒に実験を試みようとしている.先日最初の実験をともかくやってみた.
装置は単純で上に漏斗,その下にアクリルパイプ(内径7mm)をつなぎ,それを通って落ちる流体(水飴)をビーカーで受けて,その重量を測定して流量を見積もろうというもの.上の漏斗にも粗い目盛を付けて流下した量を測定した.
結果は,

というもの.温度は23℃.右側の上の図は漏斗の中の水飴の体積,ほぼ線形に減っている.右下の図は下のビーカーに落ちた水飴の流量(単位時間当たりの重量増加量).最初の110分は上方の漏斗から水飴が供給されて,下に入る流量もほぼ一定(少し減っていくのは液面が降下する効果と思われる).110分頃から漏斗からの水飴供給はなくなり,パイプ中の水飴が自重で流下していくが,その部分の流量は110分迄の流量よりも少し(10-20%)低くなっている.データが暴れているのは,上方から気泡が入ってそれが抜ける時に間欠的な挙動をするため.110分より前から漏斗の部分からパイプの中心線に沿って細く空気が流入しており、それがパイプ内部で太い気泡になって下の出口で流量のばらつきを生んでいる。130分以降は気泡が多くなり液体部分が飛び飛びになった状態で流下しており流下量も少ない.
今回の実験はまだ不十分だが,定常流という意味では火道で自重での流下の式を用いると,今回の漏斗からの供給がある場合(火口溶岩が存在する効果)は10-20%流量が増える,という可能性が考えられる.もっと正確なデータを得られるように工夫し,漏斗の形も変えて実験をしてみたいものだ.(相似則を満足するかどうか、まだきちんと検討していません)