1年前の霧島新燃岳火口を埋めた溶岩がドレインバックするかどうか興味を持っていた.
 
当時私は安山岩の石基はデイサイト質で脱水してしまうと粘性が高くなるのでドレインバックはしないだろう,という予想をした.見掛け上はドレインバックはしていないようだが,精密測量をすれば少しは体積が減少しているようにも思われる.
 
あの時議論になった浅間山2004年9月噴火後の溶岩のドレインバックの指摘について,写真を見ただけで文献を調べていなかったら最近になって気付いた.国土地理院の紀要にUrabe et al.(2006)の論文が出ている.同じ内容は和文で「火山」にも掲載されていた.
 
その論文に出ている図3を見ると次のように飛行機からのSAR(合成開口レーダー)測量でプロファイルが描かれている.
 
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測定高度の誤差は3~4mとされている.
 
これで見ると10月には南壁まで厚さ15m程度の溶岩が達していたようだが,12月にはその付近は噴火前の火口底の地形に戻っている.溶岩の表面はある程度冷却されるので,皮の部分数mと下部の1~2mは残るだろうと思われるが,測定誤差ぎりぎりではあるが,完全に失われているのは不思議に思う.
 
溶岩が噴出する時は火口上に積み上がり側方に流れるので地形的には凸になると思われるが,10月の地形では全体として凹地形なので,これ自体はドレインバックなのかあるいは全体として火口側へ陥没が生じたためかも知れない.12月の段階でそれがさらに進んだようだが,北側の凸地形がどのようにして生じたものか,南壁近くの溶岩が消えてしまったのは何故か,必ずしもすっきり理解できない.
 
浅間の場合は噴石・軽石は得られているので,温度情報等があればある程度ドレインバック可能かどうかの議論はできるだろう.霧島についても混合マグマの温度は950℃程度で結晶度等のデータを得ればどの程度流動性を保ちドレインバック可能かどうかは評価できるように思う.
 
噴火予知連の国土地理院報告には霧島火口溶岩の測量結果は見当たらないが多分SAR測量は繰り返しされていると思うので,その定量的なデータが出てくるのが望まれる.
 
*早川由紀夫さんに指摘されたように昨秋の映像では,浅間山の火口内溶岩に洞穴が生じているようだ.これについてもSARあるいは現地測量で定量的な3D構造が判ると面白い. 
 
**そういえば,昨年1-2月の噴火の後,再び霧島山の国土地理院GPS基線長が伸長を続けていて再噴火が危惧されていたが,昨年11月末頃から伸長が止まりやや収縮傾向になった.韓国岳直下のマグマ溜りへのマグマ供給が止まっている可能性が強いが,その下の供給系の状況については不明なので,これで終わりになるのかどうかまだしばらく(1年?)は見守る必要がありそうだ.