◎ 最近、活発な霧島火山新燃岳は、桜島の火山現象と呼応するように関連して活動しているのではないかという指摘を聞いたことがある。静岡県東部では、富士火山、箱根火山、東伊豆単成火山群、東伊豆沖海底火山群が連なっている。これら各火山は、属するプレートや地質構造など相違しているが、今後、3.11地震に影響され相互に呼応するような火山異常の発生はあり得るか?
● 必ずしも理論的な検討はされていませんが,経験的に近隣の火山がお互いに活動が関連しあう場合があるようです.良く知られているのは,1983年三宅島→1986年伊豆大島噴火→1989年伊東沖噴火,というように活動が北上するように見える場合がありました.2000年に三宅島の活動があって,伊豆大島も膨張が飽和点に来て長いです.今回の地震で東日本が東に動いたので,その後ろ側は地殻にマグマを溜めこむことが可能となっており却って噴火がし難い可能性もあります.ただ,富士の場合は宝永噴火から300年以上経過してマグマがある程度蓄積されている可能性があるので注意して見守る必要があると思います.3.11の後,箱根火山と富士火山で異常が生じたので呼応している可能性もありますが,基本的には地殻の応力配置がどのようにマグマ溜りに影響しているか,ということでしょう.今回の地震の後の火山活動異常の資料は噴火予知連119回資料2に纏めてあります.
◎ 長期に渡る噴火活動において、富士山の周辺には多くの人が住み新幹線や東名高速道路などの重要なインフラがあり、噴火が社会に与える影響は非常に大きいことから、常に噴火の動向の予測することが重要である。それには噴火の予測にかかせない観測体制の維持が必要であり、噴火に伴う地震や溶岩や噴石により富士山周辺の観測機器が破損ように防ぐ対策はもちろん、破損した場合においても観測体制をバックアップするシステムを構築しておく必要がある。現在、どのような取り組みがなされているのでしょうか。(すでに技術的に確立していますか。)
● 確かに噴火が生じた時に観測機器が保全されるかどうか,今回の東日本大震災や原発震災でも問題がありましたが,恐らくこれまではそのようなバックアップは考えられていないと思います.今後,観測網が二重に機能するように図られるのが望ましいと思います.技術的な確立については,あらゆる場合を想定する必要があると思いますが,今後の課題だろうと思います.
◎ (興水ほか,2007について)本栖湖コアの富士山起源とは何か。「コア試料中の145m付近に富士山起源と思われるスコリアが認められる」との記載がある。しかし、なぜこのスコリアが富士山起源なのかが不明確である。またこのスコリアが富士山起源とするならば、145m以深の溶岩は小御岳火山から噴出したものなのだろうか。
● 記載を見ると,深度168mの下にATと考えられる火山灰が認められており,それより上の部分は古富士後期以降のものでしょう.「145m付近に富士山起源と思われるスコリア」というのはこのコアでは大半が溶岩流が出ていて,スコリアが珍しかったからそのように記述していて,本栖湖の地点でその年代でスコリアを堆積させる可能性があるのは冨士以外には考え難いため,そのような記述になったかと思います.
◎ (荒牧2007について) 防災業務用マップとして100枚近くが提供され,本文に「
これだけのマップを理解しなければ,一般化された市民向けの可能性マップなどを的確に理解することはできないといえるだろう.実際に防災の実務を担当する人は,これだけの数のマップを理解することによって,火山災害の特質を把握することができるようになり,変化に富む現象の推移に的確に対応してゆくことが可能になる.」とあるが,地元自治体職員にそれらを解析する能力を求めることは非常に酷しいと感じた.今後各自治体において,専門的知識をもった職員の育成や個別の詳細な資料の作成が求められる.また,作成された資料について,各自治体にあったマップとするため容易に編集や加工ができる電子データで提供していただきたい.
● 大変難しい問題だと思います.100枚の防災マップを理解する,と云っても作成内容に踏み込んだ理解が必要だとすると一般には難しいかと存じます.一応,シミュレーションの結果としてどういう意味か,という程度でしたらある程度読めば理解可能かと存じます.
電子ファイルでの提供を希望しておられるとのことですが,防災マップのデジタルデータのことかと思います.どの程度の容量になるのか判りませんが,富士山火山防災協議会へ問い合わせて見られてはどうでしょうか.どの程度の加工をするかによって,対応が異なるように思いますので希望を伝えられて,協議会を通して元ファイルを作成した方からファイルを送ってもらうのが現実的かと思います.
◎ (中道2007について)フィリピン海プレートがユーラシアプレートで裂かれて各々沈み込んでいくようになり、マグマの通りやすい状況を作っているように見えます。まとめの中で、ピンクで着色した部分に超臨界流体の存在が示唆され今後の研究調査を行うことがかかれ、赤矢印で書いたようにマグマ上昇が考えられるという認識で理解してよかったしょうか?この場合も、深部低周波地震は特定の範囲で発生するのでしょうか?
● 私の理解ではフィリピンプレートが沈み込むのに,伊豆-小笠原島弧が本州(北米プレート)に衝突して相模トラフ側と駿河トラフ側から沈み込み,それらが切れていてその隙間がプレートが地震波で観測されない状態でマグマが上昇し易くなっているものと思います.論文の図5にある深さ15km付近の縦波速度が小さい領域は横波速度が小さくないためにマグマが存在しているとは考えられないというのがこの論文の一つのポイントだと思います.マグマ溜りはより深い20km以深にあり流体が上昇しているものと考えられています.低周波地震はそれら流体の移動や共鳴によって生じていると考えられています.
◎ 3月11日の大地震によって活性化(あるいは沈静化)した火山の存在は確認できているのか?確認するにはどれだけの期間調査して結論づけられるのか。
● 噴火予知連絡会(119回)が開かれ,数火山で顕著な火山性地震等の活動の活発化が生じていることが示されています.富士山,箱根,焼岳,日光白根等(添付ファイルをご覧ください).
◎ 大地震が他地域の地震を促進(または沈静化)するメカニズム研究の現状を知りたい。東海地震との関連性はどう評価されているのか。また、その信頼性は?
● 23日に発表して頂いた小山(2002)以降もこのような研究は継続しています.例えば,最近のものではWatt et al.(2009)EPSL はチリ海溝の地震と噴火の関係を調べて震源域から500km以内で半減期半年程度で影響があることが示されています(添付ファイル).その引用文献にもあるように,様々な議論がされていますが短時間の関連と年単位の関連が取り上げられていてそのメカニズムは必ずしも自明ではありません.ただ,地殻応力変化は比較的正確に計算されるようになっており,今回の東北日本大地震のために東海地震は0.数%程度起こり易くなった(殆ど影響がない)ことが地震予知連でも発表されています.歪計算の信頼性は高いですが,今回の大地震で明白になったように,歪自体がどの程度蓄積されているかが判らないので,何時東海地震が起こるのかは不明のようです.
● 必ずしも理論的な検討はされていませんが,経験的に近隣の火山がお互いに活動が関連しあう場合があるようです.良く知られているのは,1983年三宅島→1986年伊豆大島噴火→1989年伊東沖噴火,というように活動が北上するように見える場合がありました.2000年に三宅島の活動があって,伊豆大島も膨張が飽和点に来て長いです.今回の地震で東日本が東に動いたので,その後ろ側は地殻にマグマを溜めこむことが可能となっており却って噴火がし難い可能性もあります.ただ,富士の場合は宝永噴火から300年以上経過してマグマがある程度蓄積されている可能性があるので注意して見守る必要があると思います.3.11の後,箱根火山と富士火山で異常が生じたので呼応している可能性もありますが,基本的には地殻の応力配置がどのようにマグマ溜りに影響しているか,ということでしょう.今回の地震の後の火山活動異常の資料は噴火予知連119回資料2に纏めてあります.
◎ 長期に渡る噴火活動において、富士山の周辺には多くの人が住み新幹線や東名高速道路などの重要なインフラがあり、噴火が社会に与える影響は非常に大きいことから、常に噴火の動向の予測することが重要である。それには噴火の予測にかかせない観測体制の維持が必要であり、噴火に伴う地震や溶岩や噴石により富士山周辺の観測機器が破損ように防ぐ対策はもちろん、破損した場合においても観測体制をバックアップするシステムを構築しておく必要がある。現在、どのような取り組みがなされているのでしょうか。(すでに技術的に確立していますか。)
● 確かに噴火が生じた時に観測機器が保全されるかどうか,今回の東日本大震災や原発震災でも問題がありましたが,恐らくこれまではそのようなバックアップは考えられていないと思います.今後,観測網が二重に機能するように図られるのが望ましいと思います.技術的な確立については,あらゆる場合を想定する必要があると思いますが,今後の課題だろうと思います.
◎ (興水ほか,2007について)本栖湖コアの富士山起源とは何か。「コア試料中の145m付近に富士山起源と思われるスコリアが認められる」との記載がある。しかし、なぜこのスコリアが富士山起源なのかが不明確である。またこのスコリアが富士山起源とするならば、145m以深の溶岩は小御岳火山から噴出したものなのだろうか。
● 記載を見ると,深度168mの下にATと考えられる火山灰が認められており,それより上の部分は古富士後期以降のものでしょう.「145m付近に富士山起源と思われるスコリア」というのはこのコアでは大半が溶岩流が出ていて,スコリアが珍しかったからそのように記述していて,本栖湖の地点でその年代でスコリアを堆積させる可能性があるのは冨士以外には考え難いため,そのような記述になったかと思います.
◎ (荒牧2007について) 防災業務用マップとして100枚近くが提供され,本文に「
これだけのマップを理解しなければ,一般化された市民向けの可能性マップなどを的確に理解することはできないといえるだろう.実際に防災の実務を担当する人は,これだけの数のマップを理解することによって,火山災害の特質を把握することができるようになり,変化に富む現象の推移に的確に対応してゆくことが可能になる.」とあるが,地元自治体職員にそれらを解析する能力を求めることは非常に酷しいと感じた.今後各自治体において,専門的知識をもった職員の育成や個別の詳細な資料の作成が求められる.また,作成された資料について,各自治体にあったマップとするため容易に編集や加工ができる電子データで提供していただきたい.
● 大変難しい問題だと思います.100枚の防災マップを理解する,と云っても作成内容に踏み込んだ理解が必要だとすると一般には難しいかと存じます.一応,シミュレーションの結果としてどういう意味か,という程度でしたらある程度読めば理解可能かと存じます.
電子ファイルでの提供を希望しておられるとのことですが,防災マップのデジタルデータのことかと思います.どの程度の容量になるのか判りませんが,富士山火山防災協議会へ問い合わせて見られてはどうでしょうか.どの程度の加工をするかによって,対応が異なるように思いますので希望を伝えられて,協議会を通して元ファイルを作成した方からファイルを送ってもらうのが現実的かと思います.
◎ (中道2007について)フィリピン海プレートがユーラシアプレートで裂かれて各々沈み込んでいくようになり、マグマの通りやすい状況を作っているように見えます。まとめの中で、ピンクで着色した部分に超臨界流体の存在が示唆され今後の研究調査を行うことがかかれ、赤矢印で書いたようにマグマ上昇が考えられるという認識で理解してよかったしょうか?この場合も、深部低周波地震は特定の範囲で発生するのでしょうか?
● 私の理解ではフィリピンプレートが沈み込むのに,伊豆-小笠原島弧が本州(北米プレート)に衝突して相模トラフ側と駿河トラフ側から沈み込み,それらが切れていてその隙間がプレートが地震波で観測されない状態でマグマが上昇し易くなっているものと思います.論文の図5にある深さ15km付近の縦波速度が小さい領域は横波速度が小さくないためにマグマが存在しているとは考えられないというのがこの論文の一つのポイントだと思います.マグマ溜りはより深い20km以深にあり流体が上昇しているものと考えられています.低周波地震はそれら流体の移動や共鳴によって生じていると考えられています.
◎ 3月11日の大地震によって活性化(あるいは沈静化)した火山の存在は確認できているのか?確認するにはどれだけの期間調査して結論づけられるのか。
● 噴火予知連絡会(119回)が開かれ,数火山で顕著な火山性地震等の活動の活発化が生じていることが示されています.富士山,箱根,焼岳,日光白根等(添付ファイルをご覧ください).
◎ 大地震が他地域の地震を促進(または沈静化)するメカニズム研究の現状を知りたい。東海地震との関連性はどう評価されているのか。また、その信頼性は?
● 23日に発表して頂いた小山(2002)以降もこのような研究は継続しています.例えば,最近のものではWatt et al.(2009)EPSL はチリ海溝の地震と噴火の関係を調べて震源域から500km以内で半減期半年程度で影響があることが示されています(添付ファイル).その引用文献にもあるように,様々な議論がされていますが短時間の関連と年単位の関連が取り上げられていてそのメカニズムは必ずしも自明ではありません.ただ,地殻応力変化は比較的正確に計算されるようになっており,今回の東北日本大地震のために東海地震は0.数%程度起こり易くなった(殆ど影響がない)ことが地震予知連でも発表されています.歪計算の信頼性は高いですが,今回の大地震で明白になったように,歪自体がどの程度蓄積されているかが判らないので,何時東海地震が起こるのかは不明のようです.