岩石学というのは元々博物学的な記載・分類の学問だったが,20世紀前半から相平衡論などの物理化学的な考え方が導入されて,様々な成因論が議論されるようになった.しかし一種の応用科学であり,主要なことが判ってしまうと科学の分野の中では重要性が少なくなっていく.特に古い手法はどんどん不要になってきていく.で,岩石学で生きていくためには,地球科学全体に何か役に立たないと無理だと1983年頃思った.丁度,1985年に広大に異動して,岩石学を火山学に役に立てようと思って,噴火現象を噴出物の解析から理解することに努めた.雲仙が噴火した時に,どの位の期間噴火が継続するかが判ると,避難している人々に役に立つがその問題は火山学にとっても重要な基礎的な問題でもあることに気付いた.その後噴火が1995年1月に終了したが,マグマの流出が止まった原因は4つくらいあるが,そのどれが原因かは未だ確定されていない.マグマ溜り圧の減少,火道が狭くなった,マグマの粘性が上がった,ドームが積み上がって上昇マグマを押さえつけた.Mt.St.Helensでは1986年にドーム噴出が止まったが,2004年に再度押出しが始まった.雲仙岳でそのようなことが起こらない保障はあるだろうか?