平成30年司法試験再現答案 民事訴訟法 | 司法試験受験記録

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平成31年司法試験受験予定(3回目)。ロー卒。

設問1

1 課題1について

(1)ア 債務不存在確認訴訟と給付訴訟は、裁判所に対する審判要求と、原告・被告の立場に差異があるものの、権利主張の内容である訴訟物たる権利そのものは同一であり、その意味で反対形相の関係にあるといえる。

     そこで、債務の一部不存在確認訴訟の訴訟物は債権者のなす給付訴訟の場合と同様に、債務の全額から自認額を控除した、その余の債務の存否である。

   イ 本件についてみると、債務の全額は、請求の原因の要旨から、400万円であると考えられる。そして、自認額は請求の趣旨等から150万円である。

     したがって、Bの訴えの訴訟物は、債務の全額400万円から自認額150万円を控除した、250万円の債務の存否である。

(2)そうだとすると、Aの訴えは、250万円部分において訴訟物がBの訴えと同一であるから、二重起訴(民事訴訟法(以下法令名略)142条)とならないか。

   債務の不存在確認訴訟では執行力が生じることはなく、給付訴訟による方が紛争解決に資する。

   そうだとすれば、給付訴訟が提起された場合、債務の不存在確認訴訟は確認の利益を失い不適法却下とすべきである。

   したがって、同一債権につき給付訴訟を提起することは二重起訴とならず、適法となる。

(3)AはCをBと共同被告とすることができるか。

   訴訟の目的である義務が数人について同一の事実上の原因に基づくときは、その数人は、共同被告として訴えられることができる(38条)。

   本件についてみると、訴訟の目的である不法行為に基づく債務は、本件事故という同一の事実上の原因に基づくものである。

   したがって、AはCをBと共同被告とすることができる。

2 課題2について

 Cは甲市に住んでいることから、Cへの訴えは甲地裁に提起することができる。そして、Cへの請求とBへの請求は同一事故に起因するものであるから、両請求は「密接な関連」を有する。上述の通り、38条前段の要件を満たす。

 したがって、AがBとCを共同被告とする訴えを甲地裁に提起することができる(3条の6)。

設問2

1 Dは診療記録が220条4号ハ(197条1項2号も参照)の文書にあたるとして、文書提出義務はないと反論することが考えられる。

2(1) 同条項の趣旨は、患者や顧客等のプライバシー保護と開示されないことへの期待を守ることにある。

(2) 診療記録には患者たるAの記録が載っているところ、Aはすでに自ら後遺症に関する診断書及び診療記録の写しをすでに提出しており、これに関連する残りの診療記録が提出されたとしても、上記趣旨を害しない。

(3) したがって、診療記録は220条4号ハの文書には当たらず、220条4号柱書の原則通り、Dに文書提出義務が認められる。

設問3

1 主張(ア)について

 控訴は、原則として、請求と判決を比べたときに、前者が後者に及ばないときにすることができる。そうだとすれば、第一審で補助参加しておらずなんらの訴訟行為も行っていないBが、Aが控訴をしていないのにもかかわらず、単独で控訴することはできないと考える。

2 主張(イ)について

(1)「訴訟の結果」(42条)とは、主文を導くために必要な理由中の判断も含まれる。

   そして、「利害関係」(同条)とは、法律上の利害関係に限られる。

(2)本件についてみると、Cに対する請求が棄却されたのはCに過失が認められなかったためである。したがって、Cに過失がないことは、「訴訟の結果」に含まれる。そして、Cにも過失が認められれば、Bの負担を減らすことができるから、Bには「利害関係」が認められる。

(3)したがって、Bは補助参加できる。

3 まとめ

 以上より、Bは補助参加の要件を満たすが、控訴をすることはできないので、結局Bの控訴は不適法である。

 

以上(1528文字)

 

 

【雑感】

・これはFをくらっても文句言えない…

 

・設問1の課題2、3条の6を引くという…あせって7条と見間違えた…。設問3の主張(ア)は意味不明。

 
 
 
 
 

※本記事(平成30年司法試験再現答案 民事訴訟法)について

…問題文と答案構成用紙のみを参照し、ミス等も含めて本番で書いた答案をできるだけ忠実に再現したものであり、内容や形式面の正確性は一切担保できません。