トウヤは家を出る前に母親に声をかけた。
「お母さん・・・」
「あらトウヤ、出かけるの?」
「うん・・・ねえ、もしかしたらしばらく帰らないかも。」
母は一瞬寂しそうな顔をしたがすぐに微笑み
「そう、気をつけてね。もしトウコちゃんに会ったら
帰って来なさいって言ってね。」
と笑いながら言った。
トウヤも笑って
「うん、トウコちゃんに会えたらお母さんが怒ってるって言っておくよ。」
と言って家を出た。
トウヤはすぐさま空を飛び、ある場所へ向かった。
目的地についたトウヤは大きな塔を見上げ
「・・・ここしかないよね。」
とつぶやいて息を大きく吐いた。
―リュウラセンの塔
Nが英雄として力を手に入れたこの場所。
目撃情報にあったレシラムと共にいるのなら
必ずここにいるはずだとトウヤには確信があった。
最上階に近づくほどにトウヤはすごく苦しくなってきた。
胸がつまる、喉が鳴る、緊張しているのか?
自分自身がなんだか分からなかった。
Nに会いたいのか会いたくないのか
もし仮に会えても何を話せばいいのか
そう思っているのに足取りは重くならず
着実に一歩一歩進んでいる。
とうとうトウヤは最上階に到着した。
…そこには白い龍と見覚えのある自分よりも
背丈の高い青年の後ろ姿があった。
「モエルーワ・・・」
龍、レシラムが鳴くと青年は振り返った。
「N…」
トウヤはここでNと再会した。