Aさんが読みたいものを書くのではない。

あくまで「私」が読みたいものを書く。

なぜそうするかというと、他人のことは結局わからないからだ。

=======<土門蘭『ほんとうのことを書く練習』>

 

出版社から「本を書かないか」と声がかかった人がいる。

書こうか迷ったので、ある人に相談すると、

「〇〇さんの本なら読みたい」と言われたので、書いてみる気になった。

という話を聞いた。よくある話……のような気がする。

 

「あなたの話はおもしろいから、本を書いたらいいって、みんなに言われるんですよ」

こういう人にも何度か会ったことがある。

が、それで実際書いた人には、わたしは会ったことがない。

だいたい書く人は、書きたいことがあるので、勝手に書くんじゃないだろうか。

 

書き手は、自分が書きたいもの、自分が読みたいものを書くのがいい。

他人(読者)がどう評価するかは、わからないのだから。

 

書いてほしいことがあっても、著者がいま書きたいものでなかったら、

わたしは著者の書きたいものを優先する。

とにかく書きたいものを書いてもらいたい。

そのうえで、それが、ほんとうのことを書いているのか?

それを確認するのが私の仕事なのである。

 

そうしてできているのがこういう本だ。

未読の方は是非味わってもらいたい。

 

 

第89回 逆のものさし道北海道

 

5月26日火曜日です。

普段考えないことを考えて、普段考えることを考えない時間です。