「情理を尽くす」。この言葉が私は好きです。
情だけでなく、理も尽くすということが大事だと思います。
現代は、往々にして理が勝っています。
資本主義の世の中ですから、
金銭合理的なものさしひとつしかない世界だと捉えられがちですし、
新自由主義は、それをさらに徹底して情の部分を排除し、
何事も「自己責任」と切り捨てます。
「努力すれば報われる。努力をしないから貧しくなるし、情に流されているから失敗するのだ」
と言われてしまう。一見反論の余地がないようにも聞こえる。
ところが、それだけをやっていくと、
なんだか血が通わない、ギスギスした社会になってしまう。
=========<平川克美『答えを出さないという見識』>
「情」なんて言葉も、失われていくんじゃないでしょうか。
情だけでも、理屈だけでも成り立たないわけで、「情理を尽くす」は、
なんていい言葉なんだ、と思うわけです。
これをいいと思える自分に対しても、いいと思える私です。
情といえば、人情で、人情といえば、「お互い様」のこころです。
困ったときはお互い様。
子供のころはみんな、よく言っていました。
忘れ物をしたら、誰かが貸してくれました。
コンビニなんてありませんから、調味料が切れたら隣から借りました。
銭湯で、シャンプー忘れたら、横にいるおじさんに借りました。
会社に入った当初は、ツケでお酒も飲めました。
出世払いなんてよく言われたモノです。
いまは、こっちが困っているとき、
そんなことを、なかなか言えなくなっています。
だから自分くらいは、そういう精神を失わずにいたい。
人は理屈だけでは動けないし、動かない。
長い付き合いじゃないか、もちつもたれつ、
困ったときはお互い様。
そんな感じでどうでしょう。
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どんなに知に優れていても、情の薄い人間は信用されない。
それが日本社会の特性だと、多くの人々はわかっていると思うのです。
====================<佐藤芳直『恩送り』>
来週の土曜日です。
教師も、教師じゃなくても、ぜひ!
双方向の講演会です。
「宿題は、子どもにとっては残業だ」という百瀬先生の話、
聞いていただきたい。その一心で14回目です。
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