ポジティブ心理学では「刻苦勉励」を重視します。「自分を変え世界を変えていく」順序を大切にします。その意味で、それに成功した古今東西の偉人たちの人生を学んでいくと、その極意が学べるのです。
今回ご紹介するのは、「ワシのマークの大正製薬!!」でお馴染みのリポビタンDを生産している大正製薬を大会社に大きくした上原正吉(うえはらしょうきち)の伝記です。仲俊二郎「大正製薬 上原正吉とその妻小枝」(栄光出版社)。
本書では、上原正吉がなぜ大成功したかのエッセンスが恐縮された内容になっています。
たとえば、
・正吉は運をまかすような賭け事には興味がない。パチンコ、競輪、競馬をやったことがない。酒が飲めないので客との宴会も嫌いだ。できれば出たくない。
・かといって、(正吉)夫婦がケチというのではない。その証拠に惜しげもなく寄付をしている。・・・1981年には靖国神社に現金十億円を奉納した。
・「私が現在までの自分を顧みて、つくづく感じることは、幸運だったナーということである」後年、正吉はそう語っている。しかしこれを鵜呑みにするのは誤りだ。・・・それは(正吉の成功は)人生の目標としての商売という天職に真正面からぶつかり、智慧の限りを振り絞り、働きに働いたその意志の強さと実行力が結実したと考えるべきだろう。
などなどです。
他人の人生をそのまま自分が再現するわけには行きませんが、そのエートス(禁欲的な職業倫理)は私たちの学びになるでしょう。
大正製薬 上原正吉とその妻小枝―わずか七人の会社からの出発だった/栄光出版社