帝王切開をした訳でもないのに
私の下腹部には、大きな傷跡がある。
帝王切開をした人と同じお腹の場所に
同じような、似たような傷をもつ。
子宮全摘をした時の傷だ。
帝王切開をするお母さんたちは
子どもに出会う喜びと楽しみと
そして、不安を抱えて帝王切開をする。
同じ場所に、同じような傷があるのに
私には、子どもはいない。
今までも、これからも、子どもはいない。
なんの楽しみもなく、喜びもなく
ただただ、不安と心配の葛藤の中で
開腹されたお腹に今も残る傷跡…
お腹の傷は
痛いし、かゆいし、ケロイドになったりもする。
お腹に傷が残ったとしても
子どもを無事に迎えられた人のことを
ああ、いいな〜、私もそうありたかったな〜
と思うことがある。
同じようにお腹に傷ができたのに
私は子どもを授かることができなかったから。
お母さんになった人のことを
いいな〜、羨ましいな〜と思ってしまう時は
『ダメダメ!!
私は、自分のために頑張ったんだよ!
自分の命のために頑張ったんだよ!
なんの喜びもない中で、お腹を切ったんだ。
アンタ、偉いよ!よく頑張ったよ!!
絶望しかない中で、手術を受けたんだから!
もう子どもを宿すことができないかもしれない
って思いながら
あの日、手術室に向かったんだから!
アンタ、偉いよ!よくやってるよ!頑張ってるよ!
凄いよ!誰にでもできることじゃないよ!!』
そうやって、自分に言い聞かせる。
強く強く言い聞かせる。
そして、挫けそうな自分を抱きしめる。
どんなにつらくても、苦しくても
どんなにしんどくても、悲しくても
なるべく人のことは
妬んだり、羨んだり、恨んだり、憎んだりしたくない。
人と比べて、自分のことを可哀想だなんて思いたくない。
それでも、時々
お腹の傷を見ては、落ち込むこともある。
だけど、どんな時でも、私は私の1番の味方でありたい。
また今日も
『アンタ、偉いよ!頑張ってるよ!
ほんと凄いよ!私はアンタが大好きだよ❤️』
と言って、自分を抱きしめる。