豊田工機 UH55 マシニングセンタ用
FANUC 7軸サーボバッテリーについて
■UH55のバッテリーについて (FUNUC Servo)
マシニングセンタUH55ではバックアップ用の電池が数多く使用されており、その中で、ファナック製のサーボドライバー用のバッテリーについては7軸分の電池が使用されています。
標準仕様では上図の様に左側に3軸と右側に4軸のサーボドライバーがあり、それぞれのグループ左側には電源が取り付けられています。
各軸にあるサーボドライバーには左上図の様に黄色い注意事項が書かれたカバーが付いており、そのカバーを取り外すと右上図の様にバッテリーか見えてきます。
このバッテリーはファナック見積で1個 5,100円(税別)ですので、設備1台分で7軸ありますので1回の交換で 35,700円(税別)になります。
(2014年7月16日現在)
■専用リチウム電池をアルカリ単一乾電池にする
専用のリチウム電池を一般市販のアルカリ単一乾電池にする為には、ファナックから発売されている以下のオプション部品を用意する必要がある。
バッテリーケースは一般市販品でも良いが、油煙等を考えると電池ボックスが密閉されており、ケースの樹脂部分等も耐久性がある方が良く、かなり高価だがファナック純正品を利用した。
単一アルカリ乾電池は市販品であるが、メーカーによって価格が異なる為にホームセンター等で見かける東芝製やマクセル製を参考にして8本で1,000円弱の様である。
UH55に使用されているサーボドライバーでは、必ず各軸全てにバッテリーが無くとも良く、全てのサーボドライバーにバッテリーの入力と他のドライバーへの送り用のコネクターが付いている。
その為に1ヶ所から各ドライバーへ渡り配線でバッテリーの電源を供給する事が可能だが、ファナックではこのシリーズのサーボドライバーでは6軸までを推奨している為に、2ヶ所からバッテリーを供給する。
その概略が上図で、電池1つで6軸まで対応の為に、丁度電源が2つあり3軸と4軸にサーボドライバーが分かれている事により、電池2つで左側3軸と右側4軸をバックアップする方法とした。
■電池ボックスの取り付け
本来、ファナック製の電池ボックスはカバーを切り取り取り付けているが、油煙等を考えると電装ボックスの中に設置した方が良く、左上図の様に電装ボックスの下に置いただけでも良いのだが、右上図の様に電池ボックス背面には電極があり、簡易のゴムカバーはあるが簡単に外れてしまう。
そこで左上図の様にサーボドライバーの前に電池ボックスを取り付ける取り付け板を作ってもらい、サーボドライバーの電源前に取り付けた。
この部分には右上図の様にドアロック金具があり、干渉しない位置に取り付けた。
また、電池ボックスは10mm弱ほど取付板より飛び出る為に、左図の様にボックス内側になる様にタップをたてて電池ボックス取付板をネジ止めした。
また、右上図の様にこの部分のカバー内側には図面や説明書を入れるドアポケットがある為に、ドアを閉めた時に干渉しない位置まで高く取り、後から電池交換日等を記入する場所を確保した。
電池ボックスの固定は電池カバーの両端にあるマイナスドライバー用のネジを2本緩めて、電池交換時の様にカバーを取り外すと左上図の様に上下に2本ずつの固定穴が出て来る為に、ここをM4-8mmのサラネジで固定する様にする。
電池ボックスの奥側は右上図の様になり、サーボ関係の配線等の邪魔にならない位置に配置した。
電池ボックスを取り付け後は、上図の様に電池ボックス内側に貼ってあるシールの電池セット方向に合わせて乾電池を入れてから、電池ボックスのフタを取り付ける様にする。
電池ボックスを取り付け板に取り付けた状態が左上図になるが、電池ボックスから引き出した電池ケーブルは右上図の様にサーボドライバー用電源の線材と一緒に結束しておいた。
■電池ボックスの配線
電池ボックスから引き出したケーブルはサーボの電源関係のケーブルと結束して、左上図の様にサーボのバッテリーコネクターの近くに結束しておく。
そして先にサーボ同士のバッテリーバックアップの渡り配線のケーブルを作成する。
そしてサーボドライバー間のバッテリーバックアップ用渡りケーブルを作成するが、これには左上図と右上図にあるコネクターハウジングとコネクターピンを使用して、線材を別途用意して作成する必要がある。
用意する線材は0.5spの単線で、バッテリーで使用さていた赤色と黒色を使用して作成した。
右上図の圧着用ピンを圧着する専用工具は当社に無く今回も用意していないが、装置で使用しているミニタイプのナイロンコネクター用の圧着工具で使用可能である。
渡りケーブルは2つの電源で別れたサーボドライバー3軸分と4軸分を作成するが、3軸分で2本と4軸分で3本と合計5本の渡りケーブルを作成する必要があり、ケーブル長は300mm程度の長さになる。
またコネクターハウジングは右上図の様に2種類あり、左側の茶色い方は1号機に使用されていたバッテリーのコネクターハウジングであるが、右側の黒い物が今回ファナックから購入した物である。
また2号機のバッテリーは形状も違い黒色コネクターが使用されていたが、極性を間違えない様にする。
バッテリーは基本的には設備の電源を入れたままで取り外すが、左上図の様にバッテリーから出ているコネクターをサーボドライバーから取り外し、バッテリー自体は引き出せば右上図の様に取り出せる。
バッテリーを取り外すと上図の様にバッテリーを入れていた部分が空いてしまうが、この部分には取り付けてあったカバーを取り付けておく様にする。
ただ配線の関係上、コネクターが挿し込み難くなる為にカバーは配線が終わってから取り付ける様にする。
サーボドライバーのコネクター部分には右上図の様に送りコネクターの部分には右図の様なダミープラグが取り付けてある為に、配線前に取り外しておく様にする。
しかし、末端の1つは空く事になる為に、取り外したダミープラグは保管して置き、配線が終わり電圧チェックした後に取り付けておく必要がある。
そして作成しておいた渡りケーブルを使用して、サーボドライバー間を接続しておく。
電池ボックスからのバックアップ用電源はサーボドライバーの左右どちら側から供給しても構わないが、必ず供給は上側にあるコネクターのCX5Xから供給して、次のドライバーに送る渡り線を接続するのは下側のCX5Yに接続する様にする。
これを間違えるとバックアップ用の電源が供給されなくなるおそれがある為に注意する。
電池ボックスからの配線と渡り配線が完了したならば、左上図の様に単一アルカリ乾電池を用意して右上図にある様に電池ボックス内部に記載されている電池のセット方向に合わせて乾電池をセットする。
この際に用意する乾電池はアルカリ乾電池で、普通のマンガン乾電池では寿命が著しく異なる為に、必ずアルカリ乾電池を用意する様にする。
電池ボックスに乾電池をセットすると左上図の様になるが、後は右上図の様に電池ボックスのフタを取り付ける事でサーボドライバーにバッテリーバックアップ用の電源が供給される。
電池ボックスのフタを取り付ける際には両側に凹凸の溝が付いている為に、この溝同士を合わせないと電池ボックスのフタが取り付けられない様になっている為に注意する。
また、電池ボックスのフタをする際にはフタに付いている電極がバネになっている事から、しっかりと押し付けながらネジを締めないとうまく固定できないどころか、ネジが斜めに入ってしまいネジを破損してしまう可能性がある為に十分注意してフタを取り付ける様にする。
電池ボックスのフタをした後には、左上図の様にサーボドライバーの終端コネクターにテスター棒を当てて右上図の様に乾電池4本分を直列にした6V以上の電圧がある事を確認しておく様にする。
これは渡り用のケーブル等を自作している為に、圧着不良等による断線が考えられる事から最初に設置した時には必ず確認しておくと良いだろう。
一度確認してしまえば、2度目からの電池交換作業では確認の必要は無くなる。
渡り配線の確認の為に終端コネクターをテスターによる電圧確認が完了したら、最初に取り外しておいたダミープラグを使用して終端部分には左上図の様に挿し戻しておく様にする。
今回は2組のバッテリーを取り付けた事により、2ヶ所の確認とダミープラグの取り付けを行うが、全て作業が完了すると操作パネルにあるリセットスイッチを押せば右上図の様なアラームが解除できる。
■パレット用サーボドライバーのバッテリーについて (FUNUC Servo)
UH55ではバッテリーアラームが3つあり、以下の様にそれぞれのバッテリーアラームが発生する。
パレットのバッテリー異常はATCのサーボに付いているバッテリーと勘違いしており、今回の乾電池化を行っている最中に発生してアラームがリセットで消えるものの、生産の無い日に電源を切って連休明け等に電源を入れると毎回発生すると言う報告があった。
パレットのサーボドライバーにはバッテリーが見えなかった為に見逃していたが、改めてよく見てみると左上図の様に乾電池化した7軸のドライバーと同様なバッテリー用のコネクターがコネクターの下にみえた。
その為にサーボドライバーの底を見てみると、右上図の様に電池カバーらしき形状の物が見つかった。
電池ボックスらしきカバーを開けてみると上図の様なバッテリーが現れて、このパレットチェンジャー用のサーボドライバーもバッテリーでデータがバックアップされている事がわかった。
このバッテリーは上図から見てもわかる様に、電圧も6Vの一次電池である事とバッテリーコネクターも7軸分のサーボドライバーと同じ事より、乾電池化したサーボドライバーより渡り配線でパレット用のサーボドライバーもバックアップする様にした。
■パレット用サーボドライバーへのバッテリー配線
今回のパレットチェンジャー用サーボドライバーには、左上図の様に3軸と4軸に分けて配線した3軸側の末端からバックアップ用の電源を分岐して供給する事にした。
ケーブルは予備に購入していたコネクターハウジングとコネクターピンを使用して作成して、右上図の様に3軸の末端にあるコネクターに接続して電源を引き出した。
パレットチェンジャー用のサーボドライバーに近い4軸の末端から引き出せは配線も短くなるのだが、バッテリーの消耗から考えても遠い方の3軸の末端から供給した方が望ましく、左上図の様に4軸分のサーボドライバーの下側を通して配線してある。
そして右端まで行ったバッテリーケーブルは、ここにある垂直に取り付けてあるカッチングダクトを通して持ち上げ、右上図の様にパレットチェンジャー用サーボドライバー側へ向かっているカッチングダクトを通す。
パレットチェンジャー用サーボドライバーの真横から出てきたバッテリーケーブルは、今までバッテリーが接続されていたコネクターに接続すれば完了である。
今回のこの接続により新たにバッテリーは購入する事無く、先日取り付けた電池ボックスからの電源供給だけで済む事により、以前の7軸分だけでなくパレット用も含む8軸分をバックアップできる様になった。
以 上