母のこと---元の場所に モノが戻せない。 | 私とモノとインテリア by 久保田ひろ子
実家にかえったときのこと

きちっとしていた母が(82歳になる)
引き出しタンスの 前に
服を山のように積み重ねるようになっていた。

洗濯やアイロンをマメにする人なので
ちょっと意外だった
観察でもないが 様子を見ていると、
もとに戻すのが、どうも面倒になっている、というより
「どの引き出しに 何を入れる」 というものの仕分けができにくくなっているようだ。

私も初めは、「なんで戻さないの」と きつく言ってしまったが
途中から 歳だから仕方がない と思えるようになり、
引き出しの中を全部出して 
服をどう分けるか尋ねては、 
分類してみせるのであったが、
翌朝にはまた、服が積んである状況だった。
それでも、また私はあるべき引き出しに戻し、また翌日戻す ことを1週間ほど続けた。
引き出し1段1段にはがせるシールを貼って、エプロンなどど名前を書いてきた。

朝寒いとき着る服
お出かけの時
普段着
エプロンやひも
靴下
手袋など

とにかく、例えば、靴下を入れると決めた引き出しの中に 
手袋やハンカチやティッシュやいろんなものが混じっていて
分類の役割をはたしていないのだ。
ついに、認知症が始まりつつあるのかと
認めざるをえなかったけれど。

誰しもこうなっていくのだろう。歳をとるということは こういうことだ。
でも、温泉で卓球の玉をきちんと返してくれる母が頼もしかった。