子供の人気定番マンガ「アンパンマン」は、子供はもちろん大人も知っている超有名なキャラクターの一つ。
だが、頑なにNHKしか見ないウチの家族は、あろうことか人気アニメ「アンパンマン」の存在を誰一人知らなかった。もちろん私もその中の一員なのであった。
そんな私が小学校低学年の頃、クラスの中で数人のグループごとに分かれて、「アンパンマン」の劇をする事になった。
私のグループも、メンバーの中で、それぞれアンパンマン役、食パンマン役、みんな自分の好きなキャラクターを選び、配役が決まっていく。
私はこれがやりたい!という役もなく、きまった私の役は、バイキンマン。
そして、配役のお面を自作してくるのが、宿題となった。
私は家に帰って、バイキンマンのお面を作ろうと試みた。
母に劇に使うバイキンマンのお面作る旨を伝えると紙と色鉛筆を出してくれた。
そして、バイキンマンを描き始めた。
「ばい菌」から想像しうる、とにかく怖い顔をイメージして...
尖った様な角を生やし...
目は鋭くつり上がり...
口からは牙も出て...
色は緑だろう!
絵を描く事が好きだった私は、バイキンマンならぬバイ菌まんを黙々と描き上げた。
「お母さん、出来たよ」と、自信有り気に見せました。
「怖い顔だね〜、よく出来たね」という様な事を言ってくれた気がする。
我ながら頑張って良く描けたと思う「バイ菌マン」をお面にして、ワクワクしながら翌日学校へ持って行った。
そこで私の目には驚くべき光景を目にする事になる。
なんと、他のグループのバイキンマン役の子達のお面が、どれもこれも、皆同じ顔なのだ!
黒とグレーの2色使いで、目は丸っこく、牙なんて生えて無い、そして、とにかく怖くない!
その中で緑の顔をしたお面は私一人だけである。
それ以上の衝撃は、
他の役のアンパンマンにしても、食パンマンにしても、カレーパンマンにしても、全てのキャラクターにおいて、どのグループの配役の子も似たり寄ったりのお面を作ってきていた事。
絵が上手い下手はあったとしても、共通点があり、完成型は同じものを目指して描いているのがはっきりと分かる。
私は、急にその場に居るのが恥ずかしくなった。明らかに、私のバイキンマンは「バイ菌マン」だから。
同じグループの男子に言われました。
「そのバイキンマン変わってるね」と…。
混乱しました。でも、すぐに分かりました。
「アンパンマン」という何かが存在するんだ、という事を。
私はその時初めて「アンパンマン」というアニメの事を知った。
当時「それいけ!アンパンマン」は日本テレの大変ホットなアニメだったのは間違いない。それは、小学生にとって知っていて当然のはず。
その存在を知らないので、「アンパンマン」というのは、学校の先生が考えた「お遊戯」だと思っていた。
まさか、全国区で放映されているアニメだなんて、思いもよらなかったのでたる。
私の気分はクラスの中で一人だけ、仲間外れになってしまったようだった。
そんな中、劇は始まりました。
内容ははっきり覚えて居ませんが、お決まりのストーリーで、アンパンマンがバイキンマンをやっつけて、一見落着。という感じで。
「バイバイキーン」というセリフがあった様な...。
そして、終わった後に、グループで記念撮影をしました。
私は緑の、そのお面を被りながら…。
その後、その事が理由で特にいじめられたりはしないが、
「実は私、アンパンマンを知らなかった」という事は、誰にも言えなかった。
私にとってそれは恥ずかし過ぎだった。
みんなと同じ様に描けなかった事が、恥ずかしくて「間違った」とショックを受けていた。
しかし今改めて考えてみると、それは、本当に間違いだったのだろうか?
後半に続く…
