フランスのミニバイクメーカー「YCF」の12インチミニバイクレーサー**「GP107」**。 このマシンで、HSR九州で開催された「8時間耐久レース」に参戦してきました!
GP107ってなに?という方はこちらで解説しています。
HSRのレギュレーションでは、横型110ccエンジンは「SP100クラス」への参加が可能です。 参戦が決まったのはなんと1ヶ月前。有志が集まり、LINEグループ名は「変なバイクで8耐チャレンジ」。
1.マフラー製作とエンジン整備
まずはレースで戦うためのパワーアップ! 純正の下出しマフラーも悪くないのですが、限られた排気量でパワーを稼ぐにはマフラー形状が肝心です。
時間が限られる中、共に走るライダーの信国選手にマフラーをハンドメイドしてもらいました。「勘で作った」とのことですが、これがかなり良い仕上がり!
マフラーステーはメガネレンチがジャストフィットでした
エンジンも一度「全バラ」して内部を確認。 ミッション回りのベアリングを国産品に交換しました。元々のベアリングも問題ないレベルでしたが、耐久レースを見据えて念のための処置です。(横型エンジンはレギュレーションで社外品の使用OKとなっています)
また、この手のエンジンで弱点になりやすい「カムチェーンテンショナー」は強化品に交換。YCFを多く扱ってきた経験上、Zongshen系エンジンはテンショナーは新車時からの交換がお勧めです! その他、トルク管理を徹底して組み直しました。
【よくある質問:海外製エンジンはすぐバラすべき?】 「新車から全バラした方が良い?」とよく聞かれます。もちろんやった方が確実ですが、費用もかかります。個人的には、まずは「テンショナー交換」「質の良いオイルでのこまめな交換」「油温管理」を徹底すれば、大きなトラブルは防げると考えています。しばらく乗ってから定期オーバーホールという流れが当店のお勧めです(もちろん、ご要望があれば新車時からの全バラも承ります!)。
2. ドタバタのレースウィーク
マフラーが完成したのは、なんとレース週の月曜深夜(笑)。 火曜日に急ピッチで車両を仕上げ、水曜の練習走行へ。データが全くないので、走りながらセッティングを詰めていきます。
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スプロケット: 17-32 → 16-32
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メインジェット: 105 → 110
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スロージェット: 40 → 35
土曜日の練習走行でメンバー4人が揃い、最終調整。 自分はメカニック役に専念し、リアサスのイニシャル変更(1mm→3mm)やハンドルの角度微調整を行いました。
予選では、信国選手が1分36秒台を叩き出し、85台中25番グリッドを確保! HSR 8耐の歴史に、ついに「YCF」の名が刻まれた瞬間でした。
夜はメンバー集まって前夜祭
3. 波乱の決勝!8時間のドラマ
日曜日、ハーフウェットの路面状況で午前9時にスタート!
第1走者の信国選手がチームベストを更新する1分34秒台で飛ばし、小野選手、宝都賀選手と順調にバトンを繋ぎます。
しかし、4番手の自分の番で異変が。 前のライダーから聞いていた「クラッチの違和感」が、走行中に激しい「滑り」に変わりました。「これはまずい」と緊急ピットイン。
徹底的にチェックしましたが、結果的には熱ダレの影響だったのか、メカトラブルは見つからず……。ここで大幅にタイムロスし、クラス2位から最下位まで転落してしまいました。
判断ミスでチームに申し訳ない気持ちでしたが、再スタート後は滑りを感じつつもGPでの自己ベスト(1分35秒台)をマークし、なんとか食らいつきます。
その後、転倒や小雨などのアクシデントもありましたが、全員で繋ぎきり、17時に無事チェッカー!
クラス5位/総合66位!
最後に
順位こそ下位でしたが、8時間を走り抜き、YCFの名をリザルトに残すことができました。 今回8時間酷使したことで、耐久性に関する貴重なデータやクラッチ周りの課題が見えてきました。この経験は、お客様の車両メンテナンスにしっかりフィードバックしていきます!(レースエンジンの分解点検が楽しみです)
今回使用した「GP107」は既に廃盤となっていますが、後継モデルの**「GP124」**は絶賛販売中です! エンジンはカブ・モンキー系と互換性があるため、111cc以下のレース用エンジン仕様などもご提案できるかと思います。
YCFでレースを楽しみたい方、ぜひお気軽にお問い合わせください!
ショート動画にもまとめてみました
HRGのHPはこちら


















