
J.P.サルトル『ユダヤ人』(岩波新書 1956年第1刷 2023年第75刷)
スティーブン・ジェイ・グールド『ワンダフル・ライフ』(ハヤカワ文庫 1993年早川書房刊の文庫化版2003年)
2冊とも読みだした。
■『ユダヤ人』はなんと新本。990円もした。
パレスチナとイスラエルのガザ侵攻に関して参考になればと殊勝な考え。
ナチスのユダヤ人撲滅とかキリスト教徒がユダヤから迫害・追放されたとか情報はあるが、あたしらの経験にはとても組み込まれていない。反ユダヤ主義が、ですからとても空想的なものに見える。
サルトルの言うように、ユダヤ人が存在しなくても黒人とか「黄禍」とかの別の対象を誂えるだろう。
蔑視は最も安価に買えるプライド保存の資料だ。
マルクスの『ユダヤ人問題によせて』を再読しなさいと言う方も多いでしょうが。
■『ワンダフル・ライフ』
これは、かなりよれている古本。
ベストセラーになったポピュラー・サイエンス本です。
以前読んだアンドリュー・パーカー『眼の誕生』(草思社 2006年)の兄貴分にあたる。
これがね、文庫本のくせに600頁もありしかも活字が小さい。たぶん8ポイント。年寄りにはつらい。
カンブリア紀の生物爆発をバージェス(カナディアン・ロッキーの2400mの高地)頁岩で発見された化石から解きほぐしていく。おもしろくないはずがない。
今日のニュースでは、「中国科学技術大学によりますと、同大学の衛煒副研究員、董琳慧博士課程学生、黄方教授らの研究は、初期の動物に有害な作用をもたらしていた硫化物やバリウムイオンが海水から除去され、カンブリア爆発を引き起こしたことを発見しました。」とありました。なんのことやらわかりませんけど。
えーと、申し訳ないけどサルトルよりこっちがおもしろそう。
まあ、2冊とも読んでしまうでしょう。