
もちろん親父のものなんだが2代目のスポーツ・カブ。
南国市のSマートに停まっていた。
バイク1代目でおれが初めて乗ったのは、Ⅴベルトの変速機なしのラビット・ゲールという鈍重なものだった。
初めて乗った時、部落のはずれで角を曲がれず田んぼに突っ込んだ。親父に救助を頼みに走って帰ったっけ。
ホンダのスポーツ・カブは軽快だった。
中学生か高校生の時、これで走っていたらお巡りさんにとっ捕まった。「子どもが乗るんじゃない」と叱られただけで釈放。
あれから幾星霜、半世紀以上前のがまだ実働しているのか。
懐かしいじゃありませんか。
あれからまた幾星霜、無免許少年カミナリ族卒業し、ちゃんと2輪の免許を取り、ホンダのホークⅡという400㏄乗り回し、限定解除の免許取り、最後のスズキGS650G(刀)というわけ。
ま、単車は男のたしなみだわさ。
あんな愉快な乗り物はない。
馬よりいいんじゃなかろうか。
自転車に初めて乗れたときの愉快を想い出す。
おれは子供用自転車というのに乗ったことはない。
始めから親父の男用のものだった。
母親は自転車に乗ったことはないので婦人用はなかった。
三角乗りで始めたわけ。
こどもたちは自転車を、踏んだらモーターと言っていた。
いつかはバイクに。
親父が「こいつに乗ってみろ」と言ったのは、子ども用の自転車を買い与えなかった罪滅ぼしなのかもしれない。
少年老い易く金溜まり難し。
いまはな、自転車もないもんだから、寂しい。