
リチャード・キンブル職業医師
正しかるべき正義も時として盲いることがある
孤独と絶望の逃亡生活が始まる
髪の色を変え重労働に耐えながら
彼は逃げる、執拗なジェラード警部の追跡をかわしながら
現在を今夜をそして明日を生きるために
逃亡者の中でも、あの男はいいやつにきまっている。
(そんな気がする。知らんけど)
いいやつはぽろりぽろりと死んでしまう。
いいやつだって犯罪は犯す。
犯罪を犯すやつがいいやつのわけはない?
いんや、ありうる。
怪しいのが世の中というものだ。
怪しくない世というのはあったためしはない。
うぶのねんねじゃあるまいし、
そんな世間をかきわけてきたのが大人なんだ。
■死ぬのは他人ばかり
前衛芸術家マルセル・デュシャンの言葉。
彼の墓碑銘に記されているらしい。
小林秀雄が感心していた。
吉本隆明さんも、「死は経験できない」と言っていた。
コギト・エルゴ・スム「我思う、故にわれあり」
デカルトは近代の始原を宣言した。
すべてを疑ってもなお疑いえないのは我の存在である。
「死」は?
語ることはできても経験できない。
経験できないことまで考えにゃいかんのか?
メメントモリ、ともいう。
上のは彼の有名な作品『泉』。